11月1日(土)、国立新美術館で開催中の第118回日展に行ってきました。(会期10月31日~11月23日)
私が日展に通い始めたのは、私が2016年1月にブログを始め、そこで知り合った日本画の石井清子さんの入選作を拝見するために行った2016年10月の改組 第3回 日展からで、その後、毎年通い、今年は記念すべき10回目になります。
これまで、多くの素晴らしい作品、そして多くの作家の方々を知ることができ、私の美術を愛好する気持ちを深める機会となりました。
日展は、日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門で開催されていますが、私がいつも拝見するのは、日本画、洋画、彫刻の3部門であり、ブログでは、私が愛する作家の皆さんの作品を紹介していきたいと思います。
それでは、順次、作品に触れていこうと思いますが、初めにこのブログで紹介する作家のお名前を記載しておきます。(敬称は省略させていただきます。)
〇【日本画】石井清子、福田季生、山下保子、西田幸一郎、村居正之、藤島大千、田島奈須美、藤島博文、池内璋美、中村賢次、鍵谷節子、佐藤和歌子、中村妃菜、岸野圭作、小熊香奈子、米田陽稀
〇【洋画】木原和敏、福井欧夏、山本大貴、亀山裕昭、池田清明、大友義博、中島健太、小野月世、松本貴子、渡邊裕公、徳田明子、中島あけみ、緒方かな子、大谷喜男、山本和夫、田中知子、髙野寿隆、藤生薫里
〇【彫刻】寒河江淳二、山田朝彦、上田ふみ、堤直美、小野啓亘、上田努
【日本画部門】
「廻る」石井清子 福岡県・入選
冒頭に書いたとおり、10年前、私が最初に日展に訪れるきっかけを与えてくれた石井清子さんの作品です。
石井清子さんは、当時から、飼い猫のジル(白い猫)とクレア(黒・茶の縞で毛足の長い猫)の2匹の猫を中心に描いており、愛猫が飼い主に見せる寛いだ姿を愛情たっぷりに描く作品が印象的でした。
残念ながら、この2匹の猫たちは、今は虹の向こうで暮らしていますが、石井清子さんの作品の中では今でもその可愛いらしい姿を見ることができます。
この2匹がいなくなって暫くは、石井清子さんのブログに猫が登場することはなかったのですが、少し前、目がぱっちりとした三毛猫が登場し、今は、この三毛猫のアリスちゃんが石井清子さんの飼い猫になり、この作品にも登場しています。
この作品は、ご覧の通り、猫たちが、遊泳するような姿で、ぐるぐる回るように描かれており、一匹一匹の愛らしい姿に味わい深さを感じます。
加えて、作品名が「廻る」とあり、「輪廻」という言葉が思い浮かび、世代が違う猫たちの命が繋がっていく印象を受けます。
人が動物をペットとして飼い、共に生活していくときの「動物への様々な思い」を表現するような作品ではないかと感じます。
「どこまでも飛んでゆけ」福田季生 京都府・入選
私のブログで度々登場する福田季生さんの作品です。
私が福田季生さんの作品に出会ったのは、日展の日本画部門に限って春に開催される9年前の日春展であり、その後、毎年の日春展、日展、更には個展とこれまで多くの作品を拝見し、ブログでも紹介させていただきました。
今回の作品は、振り袖姿の2人の女性が、笑顔を見せながら紙飛行機を飛ばす姿が描かれています。
艶やかな振袖が美しく、目を引く作品ですが、本来、振り袖姿のときはお淑やかにすべきところ、紙飛行機を飛ばす二人の姿は、子供のようにとても無邪気に感じます。
子供から大人へと成長する女性の両面性を、正に、この作品は描いているのではないか感じるところであり、どこまでも飛んでいく飛行機に若い女性たちの健やかな未来を感じます。
「秋を着る人」山下保子 神奈川県・会員
山下保子さんの描く女性像は、上品で優雅、落ち着きがあり、また、四季を感じることもできます。10年前初めて山下保子さんの作品を拝見した時から、毎年、拝見するのを楽しみにしています。
この作品は、いつものご婦人を中心に、秋に咲く花々が上品に散りばめられ、心休まる作品と感じました。
「まなざし」西田幸一郎 京都府・会員
凛として、清々しい佇まいの女性ですが、その眼差しには憂いを感じます。
私の独断ですが、日展日本画部門において、女性を描く作品としては、西田幸一郎氏の作品は、山下保子さんと双璧ではないかと感じています。
「富士黎明」村居正之 大阪府・理事・審査員
「岩絵具「群青」を駆使し、豊かで深みのある青の階調で独自の世界を描き出す」村居正之氏の作品の対象は、重厚な古代の建造物等から、最近は厳かな富士と推移してきました。
対象は違えど、村居氏の作品と見間違うことのない、青の魅力を堪能できる作品です。
「分断―DIVIED PEOPLE」藤島大千 茨城県・会員・審査員
「分断―DIVIED PEOPLE」と名付けられたこの作品は、地域紛争、民族間の紛争、絶えない戦争を憂え、切実に訴える作品として、心を打たれる作品です。
兵士の姿と対峙される民衆の憂える姿、特に中央の女性の視線が多くのことを語っているように思います。
昨年、出品された、中央に描かれた兵士の視線にインパクトがある「War」という作品との共通性に、藤島氏の戦争に対する強い思いを感じることができます。
「妖精の夜」田島奈須美 神奈川県・会員
2017年に「妖精の女王(シェークスピア真夏の夜の夢)」で内閣総理大臣賞を受賞した田島奈須美さんの「妖精」を題材とした作品です。
妖精や花、猫などが登場するエネルギッシュで、インパクトのある田島奈須美さんの作品にいつも魅了されます。
また、額縁に描かれた猫の姿も魅力的です。
「双虹双鶴図」藤島博文 茨城県・会員
「色葉散る」池内璋美 京都府・会員・審査員
「祈炎」中村賢次 熊本県・会員
「花の宴」鍵谷節子 大阪府・会員
「神蹄八脚」佐藤和歌子 熊本県・会員
「草深の家」中村妃菜 熊本県・入選
若手の中村妃菜さんは、ここ数年、朽ちかけた家屋をテーマに作品を制作されており、執念を感じる細密な表現力には目を見張るものがあります。これまで拝見してきた作品の印象は、まだまだ一定ではなく、日々努力され、挑戦を続けていることを感じます。
今後、注目していきたい作家のお一人です。
「微風」岸野圭作 長野県・会員 内閣総理大臣賞
「花つどう」小熊香奈子 和歌山県・入選
「夢の島荘」米田陽稀 熊本県・新入選
昨年の新日春展において、「大物一本釣り」という作品で新入選された米田陽稀さんの作品です。
猫を題材として、独創的で楽しい作品で印象に残った方ですが、今回、この猫の世界を描いた作品で、日展新入選ということで更なる一歩を踏み出しました。
今後、楽しみな作家さんです。
【洋画部門】
10年前、日展の洋画部門を初めて拝見した以降、何人かの大好きな作家さんを知ることができ、毎回、その作家さんの作品を楽しみに作品を拝見してきました。
今回、昨年亡くなられた中山忠彦先生の作品がなく、大変寂しく思いました。
ただ、これから取り上げる木原和敏さん、福井欧夏さん、池田清明さん、大友義博さん、小野月世さん、徳田明子さん、中島あけみさんといった方々の作品は、私が特に好きな作家さんであり、最近では、亀山裕昭さんや、昨年日展新入選の緒方かな子さんの作品を楽しみにしています。
「Black coffee」 木原和敏 広島県・会員・審査員
柔らかい光に溢れ、穏やかな風と息吹きを感ずる極上の木原和敏さんの作品です。
女性の美しさはもとより、身につけるアクセサリー、衣服、そしてこの作品ではコーヒーカップの一つ一つをとっても可憐で尊いものに感じます。
「光の橋」福井欧夏 東京都・会員
淡い光が差す、神秘的な自然の風景を背景として、重厚な白いドレスを纏う女性が描かれています。
視線の先には、2羽の青みがかった小鳥が仲良く並んでいます。
上品で優美な福井欧夏さんの魅力的な作品です。
「門出」山本大貴 東京都・特選・新入選
白日会展をはじめ写実絵画の世界で人気の山本大貴さんの作品です。
新入選とあるので、これまで日展には出展されていなかったと思われます。
ただ、流石、新入選で「特選」とあり、その実力は誰もが認めるところではないでしょうか。
「red light」亀山裕昭 千葉県・特選
写実的な風景を描く亀山裕昭の作品です。今回、特選を受賞されました。
私がこれまで拝見した亀山裕昭さん作品は、人物が登場しない作品が多かったように思いますが、この作品には、人物が描かれ、この街で生活しています。
「red light」という作品名から、作品を見てみると、赤信号が点灯している横断歩道を赤い服を着た女の子が歩いているのがわかります。
また、手前の縁石に俯いて腰掛ける老人が注目されるところですが、よく見ると、その老人の前方に一羽の鳩があたかも対峙するかのように羽を休めています。
こうした一つ一つの街の息吹が楽しめる亀山さんの作品です。
「若きチェリスト」池田清明 神奈川県・会員・審査員
「韻」大友義博 東京都・会員
「忘れえぬひと」中島健太 神奈川県・会員
「花影」小野月世 東京都・入選
「calling」松本貴子 奈良県・会員
「神の声を聞け!」渡邊裕公 愛媛県・会員
「現の夢」徳田明子 東京都・入選
光がまだらに差し、深みを感じる水面に、仰向けに浮かび虚空を見つめる女性の姿が神秘的に描かれた作品です。
ジョン・エヴァレット・ミレーの名作「オフィーリア」をも連想しますが、徳田明子さんの作品は、女性の情念をも写し取るような独自の雰囲気がある作品です。
ただ、とても残念なことに、展示位置が上段であり、近くで見れないことが大変残念でした。
「予兆」中島あけみ 東京都・入選
毎回、拝見するのを楽しみにしている、美しい裸婦像を描く中島あけみさんの作品です。
重心を片足に乗せるコントラポストのポーズの後ろ姿は、女性らしい柔らかい体の曲線を存分に感じられる美しい作品です。
ただ、中島あけみさんのファンの一人としては、上段の展示には、よく作品を見ることができず、とても残念でした。
「ほそ道」緒方かな子 広島県・入選
白日会展でも活躍している緒方かな子さんの作品です。
美しい娘さんをモデルとした作品ですが、歴史と趣を感じる細道に、若々しい輝きを引きたてる花柄の着物を着たすっきりとした立ち姿に、和の伝統の「粋」を感じる作品ではないでしょうか。
「マイ・ウェイ」大谷喜男 栃木県・会員 内閣総理大臣賞
「初詣・震災・兎の記憶」山本和夫 埼玉県・入選
奥深い山道に、深く深く積もった雪景色が見事な作品です。
題名の中に「兎の記憶」とあるので、兎の気配を探したところ、上段、右奥の森の中に兎の姿を見つけ感動しました。
「ennui(アンニュイ)」田中知子 滋賀県・入選
「成人の日に」髙野寿隆 佐賀県・入選
成人式の晴れ姿を描いた作品、少し緊張した様子が印象的です。
背景をぼかし、美しい着物や、女性の表情が引き立つような表現に、うれし涙で娘を見つめる親の視線を感じる作品と思いました。
「花に惹かれて」藤生薫里 埼玉県・入選


藤生薫里さんは、よく存じ上げない方ですが、その独特な色彩、確かな描写が印象に残りました。
【彫刻部門】
彫刻部門は、毎年、寒河江淳二氏の作品を中心に鑑賞させてもらっています。
今年も寒河江淳二氏の作品は、しなやかで女性らしい動きのある作品と感じました。
山田朝彦氏、上田ふみさんの女性の作品も魅力的でした。
「気が通る さらに」寒河江淳二 東京都会員
「和光」【石膏】山田朝彦 東京都・理事
「みすずかる」【樹脂】上田ふみ 千葉県・会員・審査員
「双笛譜」【樹脂】堤直美 静岡県・会員 文部科学大臣賞
「地平の向こう」【石膏】小野啓亘 滋賀県・会員
「猫と少年」【樹脂】上田努 愛知県・会員
以上、今年の日展も存分に楽しませていただきました。








































































