昨日、東京・六本木の国立新美術館ではじまった、「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」(会期平成30年2月14日(水)~5月7日(月)に行ってきました。
今回、絵画コレクターとして知られるスイスの実業家エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890-1956年)のコレクションの全ての作品がチューリヒ美術館に移管されることになり、コレクションの全体像を紹介する最後の機会として、日本での展覧会が実現したとのことです。
本展ではドラクロワ、ドガ、マネ、ルノワール、ファン・ゴッホ、ゴーギャン、モネ、セザンヌ、マティス、ピカソなど64点の作品が展示され、特に、その中の目玉となるのが、絵画史上、最も有名な少女像ともいわれるルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」とセザンヌの「赤いチョッキの少年」、4メートルを超えるモネ晩年の睡蓮の大作が展示されています。
ルノワールファンの私にとって、「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」が来ることを知ってから、待ちに待って、この日を迎えました。
既に、この私の気持ちは、昨年10月にブログに書かせていただきました。
(10月17日 ルノワールの魅力! イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢を心待ちに!)
この作品が、日本で公開されるのは3度目とのことです。最初は、1990年に横浜美術館に、その後、2010年に大阪の中之島の国立国際美術館に来ているとのことです。私は、この日に備えて、1990年の横浜美術館の展示の図録をインターネットで見つけ出し、購入するという事前準備までしました。
そして、「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」を見ることが出来ました。
この作品です。
「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」1880年油彩、カンヴァス65×54cm
この日は、初日とはいえ、平日でしたので、待ち時間なく入場することができ、ゆっくりと作品を鑑賞することが出来ました。
「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」の印象。
少女の白いほほに赤みが差し、丁寧に描いた目や耳が可憐です。
赤い栗毛は柔らかく、伸びやかであり、額に係る前髪はとても軽やかです。
そして、髪飾りと、スカートの水色の鮮やかさは目を見張る美しさです。
背景は、深い緑で少女の存在感を引き立てています。
いま、まさに、138年前の1880年に8歳だった少女が、ここに生き生きと存在していました。
これまで、図録や複製品でみた印象を実物は遙かに超えており、この作品の印象を、一生私の目の裏に焼き付けておこうと思うほど、感動的でした。
モデルとなったイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢は、ユダヤ系銀行家のルイ・カーン・ダンヴェール伯爵の長女であり、当時8歳でした。
この作品が、すばらしかったことから、ダンヴェール伯爵は、二女エリザベス、三女アリスの肖像もルノワールに依頼し、その作品は、現在、サンパウロ美術館に所蔵され、人気の作品となっています。此方の作品です。(この作品は、今回は来ていません。)
「ダンヴェール家のアリスとエリザベス(ピンクとブルー)」1881年
さて、長女のイレーヌは、1963年に91歳で亡くなりましたが、2度の結婚、そして離婚をしており、第二次世界大戦中を乗り越えた彼女の人生を追うことも大変魅力のあることだと思います。
このほか、ルノワールの作品として、次の2つの作品が魅力的で、印象に残りました。
「泉」1906年 油彩、カンヴァス 92×73cm (図録から)
「夏の帽子」1893年 油彩、カンヴァス 65×54 (図録から)
そして、もちろんセザンヌのこの作品も鑑賞することが出来ました。
「赤いチョッキの少年」1888-90年 油彩、カンヴァス 79.5×64cm (図録から)
また、モネの睡蓮の大作は、唯一写真撮影可ということでしので、携帯で撮らせていただきました。
「睡蓮の池、緑の反映」(1920/1926年頃)
この大きさには、圧倒されました。
最後に、入手した図録等を掲載しておこうと思います。
以上、ルノワールファン、そしてイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢ファンの私としては、思い出となる展示でした。