少し前の日曜日、2010年に東京の国立新美術館と、大阪の国立国際美術館で開催された「ルノワールー伝統と革新」のカタログをみつけ、購入してきました。

 

実は、現在、国立新美術館で開催中の「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」で来日している「イレーヌ・カーン・ダンヴィエール嬢」は、今回、3回目の来日であるところ、前回の来日が、この2010年の大阪の国立国際美術館であったことを承知していたので、イレーヌ・カーン・ダンヴィエール嬢が掲載されていることを確認して、衝動買いしたのです。

 

このカタログには、85点のルノワールの作品が掲載され、解説がされており、なかなか充実した内容なのですが、その中で、この作品が掲載されていました。

「ジュリー・マネの肖像」 1894年 マルモッタン美術館

この作品は、印象派の女性画家ベルト・モリゾと、印象派の大きな影響を与えた画家、エドゥアール・マネの弟ウジューヌ・マネの一人娘ジュリー・マネが16才頃の作品です。

少し愁いを含んだ、切れ長で大きな目の美しい少女の作品を、次の作品と関連づけて理解されている方は、意外と少ないのではないでしょうか。

 

「ジュリー・マネあるいは猫を抱く子ども」 1887年 オルセー美術館

此方の作品は、ジュリー・マネが9歳のときの作品で、一昨年の国立新美術館で開催されたルノワール展で来日していており、その際、私のブログでも取り上げさせて頂きました。

ルノワール展「ジュリー・マネあるいは猫を抱くこども」の感想 追記しました。

 

この2つの作品を、こうして並べてみると、一人の少女の成長を感じ取ることができるのは明らかであり、さすが肖像画を得意としたルノワールの写実性に感心させられるところです。

 

ジュリー・マネの母親である、ベルト・モリゾは、結婚する前は、エドゥアール・マネのモデルをしていた時期があり、マネのこの作品は有名です。

「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾの肖像」1872年 オルセー美術館

 

そして、ベルト・モリゾが娘ジュリーを描いた作品は、彼女の愛情が溢れた魅力的な作品です。

 

「ブージヴァルの庭のウジェーヌ・マネと娘(田舎にて)」1881年 マルモッタン美術館

 

「マンドリンを弾くジュリー」 1889年

 

ルノワールとベルト・モリゾは、同じ1841年生まれであり、大変親交が深かかったと言います。

ルノワールが描く、2枚のジュリー・マネの絵からもそのことが窺い知れるような気もします。

 

ベルト・モリゾは、ジュリー・マネの肖像が描かれた翌年の1895年に肺炎で亡くなり、ジュリー・マネは孤児になってしまいますが、その後、ルノワールを初めとする印象派の画家達は、ジュリー・マネを見守り、支援したとのことです。

 

ジュリー・マネについては、「ジュリー・マネあるいは猫を抱く子ども」の感想を書いたときにも、紹介させて頂きましたが、「ジュリー・マネの肖像」の作品を作品集で拝見し、感慨というか、感動というか、感じることがありましたので、簡単ではありますが書かせて頂きました。

 

最後に、現在、国立新美術館で開催中の「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」で展示されている「イレーヌ・カーン・ダンヴィエール嬢」の作品と、それについての私のブログを紹介させていただきます。

 

「イレーヌ・カーン・ダンヴィエール嬢」1880年

ルノワールの魅力! イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢を心待ちに!(鑑賞後記の追記しました。)

ルノワール「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」に初めて出会いました!