消滅会社の資産に存続会社の株式が含まれる場合には,吸収合併により消滅会社から承継することによって存続会社の自己株式となる株式を含めて,消滅会社の株主に交付する存続会社の株式の数を定めた合併契約書を添付して,吸収合併による変更の登記を申請することができる。
🌱まず基本から:「合併」とは?
「吸収合併」とは、簡単に言えば、
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1つの会社(消滅会社)を、別の会社(存続会社)がまるごと取り込むことです。
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消滅会社はなくなり、その事業や財産・負債などは、ぜんぶ存続会社に引き継がれます。
🧾 合併のとき、消滅会社の株主には「対価」を渡す
吸収合併が行われると、消滅会社の株主は、自分の会社がなくなる代わりに、
「存続会社の株式(あるいは金銭など)」をもらう、というのが普通です。
このとき、どれだけの株式を渡すか?というのは、合併契約書にきちんと書いておく必要があります(会社法749条1項2号イ)。
🌀ちょっと複雑なケース:消滅会社が、すでに存続会社の株式を持っていたら?
ここが今回のポイントですね。
たとえば…
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消滅会社が、すでに存続会社の株式(=合併される会社の株)を持っていたとします。
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合併により、その株式もいっしょに存続会社に「戻ってくる」ことになります。
すると、どうなるか?
💡その株式は「自己株式」になります(=会社が自分の株を持っている状態)。
🏢 この「自己株式」、株主への交付に使ってもいいの?
はい、使えます!
つまり、消滅会社がもっていた存続会社の株式(=合併により自己株式となったもの)を、消滅会社の株主に対して合併の対価として交付することができます。
📄 じゃあ、その場合にどういう手続が必要?
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合併契約書において:
→ 消滅会社の株主に交付する株式の数を、
➡ その自己株式もふくめて、ちゃんと定める必要があります。
(会社法749条1項2号イ)
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登記申請のときには:
→ その合併契約書を添付して、吸収合併による変更の登記を申請します(商業登記法80条1項)。
まとめ
項目 | 内容 |
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合併のときに渡すもの | 存続会社の株式(自己株式でもOK)や金銭など |
消滅会社が持ってた株式は? |
合併により自己株式になる |
それを使っていい? |
✅ 消滅会社の株主への交付に使ってOK! |
必要な手続 | 合併契約書で交付株式数を明記→登記のときに契約書を添付 |