2号仮登記(所有権移転請求権の仮登記)に基づく本登記の申請と「登記上の利害関係人」について

 

1. 不動産登記法109条1項のルール

不動産登記法109条1項では、所有権に関する仮登記に基づく本登記を申請する場合、登記上の利害関係人がいるときは、その承諾が必要と定められています。

これは、本登記がされることにより、仮登記に依拠していた他の権利者に影響が及ぶためです。
特に、仮登記の名義人が変わった場合(移転があった場合) は、このルールが重要になります。

2. 「付記仮登記」と「登記上の利害関係人」

① 2号仮登記(最初の仮登記)

  • A(所有者)とB(買主候補)が売買予約をした。
  • 将来の所有権移転請求権を確保するため、Bのために「所有権移転請求権の仮登記(2号仮登記)」が設定された

② 付記仮登記(仮登記の移転)

  • Bがその所有権移転請求権をCに譲渡した。
  • 登記上は「B → C の仮登記(2号仮登記の移転)」が付記される

この「付記仮登記」の名義人(C)は、本登記がされることで影響を受けるため、登記上の利害関係人に当たるとされています(昭和44年10月2日民甲1956号通達)。

3. 本登記の申請における「利害関係人」の扱い

(1)Cが本登記を申請する場合

  • Cが本登記を申請する際、C自身が利害関係人なので、Cの承諾があれば本登記が可能です。
  • Bはすでに権利をCに移転しているため、Bの承諾は不要

(2)本登記がされると、もとの仮登記は職権抹消

本登記が完了すれば、
A → B の仮登記(最初の2号仮登記)
B → C の付記仮登記(移転した2号仮登記)
職権で抹消 されます。

なぜなら、仮登記の目的(本登記の準備)が果たされたため、もはや不要だからです。

 

まとめ

 

  1. 2号仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係人の承諾が必要(不登109条1項)。
  2. 仮登記の名義人が移転している場合、その付記仮登記の名義人(C)は「登記上の利害関係人」に該当する(昭44.10.2民甲1956)。
  3. Cが本登記を申請する場合、C自身が利害関係人なので特別な承諾は不要。
  4. 本登記が完了すると、もともとの仮登記(A → Bの仮登記とB → Cの付記仮登記)は職権で抹消される。

ポイント

本登記をするには、登記上の利害関係人の承諾が必要!
仮登記が移転している場合、その新しい名義人(C)が利害関係人になる!
本登記が完了したら、古い仮登記は勝手に消える!

このように、登記の流れを理解すると、スムーズに手続きを進められます。