時効取得した土地に抵当権がついていた場合、抵当権はどうなる?
土地を 時効取得した第三者 が、所有権移転の登記を申請するとき、抵当権の登記は自動で消えるのか? という疑問について、詳しく説明します。
結論:職権で抵当権が抹消されるわけではない!
✅ 時効取得者(新しい所有者)への所有権移転登記はできるが、抵当権の登記はそのまま残る。
✅ 抵当権を抹消するには、時効取得者と抵当権者が共同で抹消登記を申請する必要がある。
✅ 職権で抵当権が抹消される規定はないため、法的手続きが必要!
なぜ職権で抵当権が消えないのか?
登記の職権抹消には 法律上の明確な根拠 が必要です。しかし、本問のような「時効取得による所有権移転の場合」に 抵当権を職権で抹消する規定はありません。
💡 理由
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抵当権は所有権とは別の権利であり、時効取得では直接消えない
- 時効取得は「所有権」を取得する制度ですが、抵当権(債権者の担保権)はそのまま存続 します。
- したがって、所有権移転の登記をするだけでは、抵当権の登記は自動的に消えません。
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職権抹消には「法令の根拠」が必要
- たとえば、抵当権の実体的な消滅(弁済や債務の消滅)による場合には、一定の手続きで抹消できますが、時効取得だけではその根拠がありません。
- そのため、抵当権者の承諾なしに、登記官が職権で抹消することはできません。
では、どうすれば抵当権を抹消できるのか?
✅ まず、時効取得者が「所有権移転の登記」を申請する。
✅ その後、所有権登記名義人(時効取得者)と抵当権者が共同で「抵当権抹消の登記」を申請する。
📝 登記の流れ
- 時効取得者(第三者)が所有権移転の登記を申請
- この時、土地に設定されている抵当権の登記はそのまま残る。
- 抵当権者と協議し、共同で抹消登記を申請
- 抵当権者が合意すれば、所有権名義人と抵当権者が共同で抵当権抹消登記を行う。
- 抵当権者が承諾しない場合は裁判で解決
- 抵当権が消滅していることを証明できる場合(例:債務の弁済など)は、裁判で抵当権抹消登記を求めることも可能。
まとめ
🔹 時効取得しても、抵当権は自動では消えない!
🔹 登記官が職権で抵当権を抹消する規定はない。
🔹 時効取得後に、所有権登記名義人と抵当権者が共同で抹消登記を申請する必要がある。
🔹 抵当権者が承諾しない場合は、裁判で抵当権の抹消を求めることも可能。
このように、時効取得の登記と抵当権の抹消登記は別の手続き となるため、慎重に進める必要があります!