発起設立の登記申請
株式会社の設立の登記の申請をすべき者は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から2週間以内に、設立の登記を申請しなければならない。(会社法第911条第1項)。
① 会社法第46条第1項の規定による調査が終了した日(設立しようとする株式会社が指名委員会等設置会社である場合にあっては、設立時代表執行役が同条3項の規定による通知を受けた日)
② 発起人が定めた日
株式会社の設立の登記の申請について、会社法第911条第1項では、申請すべき者(つまり会社の設立を担当する者)は、以下のいずれか遅い日から2週間以内に、その本店の所在地において設立の登記を申請しなければならないと定めている。具体的には以下の2つの日のいずれか遅い日。
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調査が終了した日
会社法第46条第1項に基づく調査が終了した日。この調査は、会社の設立にあたり必要な事項が適正に行われたかどうかを確認するためのもの。なお、設立しようとする株式会社が「指名委員会等設置会社」の場合には、設立時代表執行役が調査終了の通知を受けた日が基準となる。 -
発起人が定めた日
会社の設立を企画し、推進する者(発起人)があらかじめ定めた日。この日は、発起人が計画したスケジュールに基づき設定される。
具体例
株式会社を設立する場合、以下のようなスケジュールになったとする。
- 調査が終了した日が6月1日。
- 発起人が定めた日が6月5日。
この場合、遅い方の日付である6月5日から2週間以内に設立の登記を申請しなければならない。つまり、申請の締め切りは6月19日(6月5日から14日後)となる。
逆に、もし調査が終了した日が6月10日で、発起人が定めた日が6月1日だった場合は、6月10日から2週間以内に申請することになります。この場合の締め切りは6月24日(6月10日から14日後)となる。
「調査が終了した日」と「発起人が定めた日」のうち、遅い方の日付から2週間以内に申請を行う必要がある、ということ。
募集設立の登記申請
募集設立 株式会社の設立の登記の申請をすべき者は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から2週間以内に、設立の登記を申請しなければならない(会社法第911条第2項)。
① 創立総会の終結の日
② 会社法第84条の種類創立総会の決議をしたときは、当該決議の日
③ 会社法第97条の創立総会の決議をしたときは、当該決議の日から2週間を経過した日
④ 会社法第100条第1項の種類創立総会の決議をしたときは、当該決議の日から2週間を経過した日 ⑤ 会社法第101条第1項の種類創立総会の決議をしたときは、当該決議の日
募集設立の株式会社の設立の登記の申請について、会社法第911条第2項では、申請すべき者が以下のいずれか遅い日から2週間以内に、設立の登記を申請しなければならないと定めている。
具体的には以下の5つの日のいずれか遅い日。
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創立総会の終結の日
- 株式会社の設立に際して行われる創立総会が終了した日。
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種類創立総会の決議の日(会社法第84条)
- 特定の種類の株式を発行する場合に行われる種類創立総会での決議があった日。
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創立総会の決議の日から2週間を経過した日(会社法第97条)
- 創立総会で決議が行われ、その日から2週間経過した日。
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種類創立総会の決議の日から2週間を経過した日(会社法第100条第1項)
- 特定の種類の株式を発行する場合の種類創立総会で決議が行われ、その日から2週間経過した日。
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種類創立総会の決議の日(会社法第101条第1項)
- 特定の種類の株式を発行する場合の種類創立総会での決議があった日。
具体例
例えば、ある株式会社が創立総会を行った場合を考えてみる。
- 創立総会が終了した日が6月1日。
- 種類創立総会で決議が行われた日が6月5日。
- 会社法第97条の創立総会の決議が6月10日に行われた場合、その日から2週間経過するのは6月24日。
- 会社法第100条第1項の種類創立総会の決議が6月8日に行われた場合、その日から2週間経過するのは6月22日。
- 会社法第101条第1項の種類創立総会の決議が6月7日に行われた場合、その日が基準日。
これらの日の中で、最も遅い日付は6月24日(会社法第97条の創立総会の決議から2週間経過した日)。このため、設立の登記を申請する締め切りは6月24日から2週間以内、つまり7月8日までに行う必要がある。
このように、最も遅い日付を基準に2週間以内に設立の登記を申請することが求められる。
最も遅い日というのは?
会社法第911条第2項で「最も遅い日」を基準としている理由は、株式会社の設立プロセスが複雑であり、複数の重要な決議や手続きが関与しているため。それぞれの手続きが完了するタイミングが異なることがあるため、最も遅い日を基準にすることで、全ての手続きが完了していることを確実にしてから設立の登記を行うことができるようにしている。
具体的な理由:
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全ての手続きが完了することを保証するため: 株式会社の設立には、創立総会や種類創立総会など、いくつかの重要な会議や決議が含まれる。これらの手続きが全て完了していることを確認するためには、最も遅い日を基準にする必要がある。そうすることで、全ての手続きが完了してから登記申請を行うことができる。
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誤りや重複を避けるため: もし各手続きの日付がバラバラであった場合、それぞれの手続きが完了したタイミングで個別に登記申請を行うことは、誤りや重複の原因となります。最も遅い日を基準にすることで、全ての手続きが一括して完了した後に登記申請を行うことができ、手続きの整合性を保つことができる。
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法律の一貫性と明確性のため: 法律は一貫性と明確性を持つことが重要です。全ての会社が同じ基準で設立の登記を行うことで、公平性と透明性が確保される。最も遅い日を基準とすることで、どの手続きが最後に完了しても、それに基づいて一律に登記申請を行うことができ、法律の運用が一貫する。
具体的な例:
- 創立総会が5月1日に終了。
- 種類創立総会での決議が5月10日に行われ、その日から2週間経過するのが5月24日。
この場合、最も遅い日は5月24日。この日から2週間以内に登記を申請することで、全ての手続きが完了したことが確実になる。
以上の理由から、「最も遅い日」を基準にしているのだ。
ちなみに、募集設立では、多数の株主が資金を出資する。このため、設立プロセスには多くのステップが含まれ、それぞれのステップが適切に完了する必要がある。これにより、利害関係者全員がそのステップの進捗と完了を確認することが求められる。
基準日が多い理由は、
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多くの利害関係者が関与するため: 募集設立では、多数の株主が資金を出資する。このため、設立プロセスには多くのステップが含まれ、それぞれのステップが適切に完了する必要がある。これにより、利害関係者全員がそのステップの進捗と完了を確認することが求められる。
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複雑な決議手続き: 募集設立では、様々な種類の株式を発行することがある。これに伴い、種類創立総会など、株主の種類ごとに異なる決議手続きを行う必要がある。これらの手続きを経て、全ての株主が公平に扱われることが保証される。
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法的な要件と整合性: 法律では、募集設立における各手続きが適正に行われることを確保するために、各手続きの完了を確認する基準日を設けている。これにより、手続きの進行が透明かつ整合的であることが保証される。