商法判例 | 行政書士受かって調子に乗って司法書士を勉強するブログ

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何人も,不正の目的をもって,他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない(商12条1項)。これに違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれのある商人は,その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれのある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することがでる。(商12条2項)。

 

 

 商法第12条の概要

 

  • 第1項:誰も、不正の目的を持って他の商人であると誤認されるおそれのある名称や商号を使用してはならない。
  • 第2項:これに違反して名称や商号を使用することで、営業上の利益を侵害された商人は、侵害者に対してその侵害の停止または予防を請求できる。

 

具体的な例での説明

 

シチュエーション

  1. Aさんの会社(A商事)

    • Aさんは「A商事」という名前で会社を運営している。A商事は長年の信頼と実績があり、多くの取引先や顧客から信頼されている。
  2. Bさんの会社(A商会)

    • Bさんが新しく「A商会」という名前で会社を設立した。Bさんの会社は、A商事と同じ業界で営業を行っている。

問題発生

  • 名称の誤認:Bさんが「A商会」という商号を使うことで、取引先や顧客が「A商会」と「A商事」を混同し、Bさんの会社をAさんの会社と誤認するおそれがある。
  • 不正目的:Bさんが不正の目的で「A商会」という名前を選んだ場合、例えばA商事の信用や顧客を利用して自分の会社の利益を得ようとする場合。

Aさんの対応

  1. 侵害の停止・予防請求:Aさんは、商法第12条第2項に基づいて、Bさんに対して「A商会」という商号の使用を停止するように請求できる。また、将来的な誤認を防ぐために予防措置を求めることもできる。
  2. 登記の有無に関わらず請求可能:この請求は、A商事が商号を登記しているかどうかに関わらない。つまり、A商事が商号の登記をしていなくても、商法第12条に基づいて権利を行使できる。

 

具体的な請求の例

  • 侵害の停止請求:Aさんは裁判所に対して、Bさんが「A商会」という商号を使用しないように命じることを求めることができる。
  • 予防措置の請求:Aさんは、将来的にBさんが「A商会」という商号を使わないようにするための予防措置を裁判所に求めることができる。

 

まとめ

 

  • 不正目的で他人の商号を誤認させる名称の使用は禁じられている
  • 営業上の利益を侵害された商人は、侵害の停止や予防を請求することができる
  • この請求は、商号の登記の有無に関わらず行うことができる

このように、商法第12条は商号の不正使用による混乱や不正行為を防止するための規定であり、正当な商号を持つ商人を保護するための重要な法律。


 

自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は,当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し,当該他人と連帯して,当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。もっとも,事実行為である不法行為による損害賠償債務は,ここでいう「取引によって生じた債務」には当たらない。(最判昭52.12.23)。

 

シチュエーション

  1. Aさんの会社(A商事)

    • Aさんは「A商事」という商号で会社を運営している。
  2. Bさん(名板借人)

    • AさんはBさんに「A商事」という商号を使って営業を行うことを許可した。
    • Bさんは「A商事」の名前で取引を行う。
  3. Cさん(取引先)

    • Cさんは「A商事」の名前を信頼して、Bさんと取引を行った。

問題発生

  • 取引上の債務:BさんがCさんとの取引で生じた債務を支払わない場合、Cさんは「A商事」の名前を信頼して取引をしたため、Aさんにも責任が生じる。

法的な責任

  1. 連帯責任

    • Aさん(名板貸人)は、Cさんが「A商事」を信頼して取引を行ったことを考慮して、Bさん(名板借人)と連帯して取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
  2. 不法行為の除外

    • しかし、この責任は「取引によって生じた債務」に限られます。不法行為(たとえば、詐欺や盗難など)によって生じた損害賠償債務は含まれない。

具体的な例

取引上の債務

  • シチュエーション:CさんがBさん(「A商事」の名義)から商品を購入し、代金を支払いましたが、Bさんが商品を提供しない場合。
  • 責任:Cさんは「A商事」を信頼して取引を行ったので、Aさん(名板貸人)はBさん(名板借人)と連帯して商品を提供するか、代金を返金する責任を負う。

不法行為の除外

  • シチュエーション:BさんがCさんに対して詐欺を行い、金銭をだまし取った場合。
  • 責任:この場合、詐欺という不法行為によって生じた損害賠償債務は、Aさん(名板貸人)には連帯責任が発生しない。Bさん(名板借人)個人が責任を負う。

まとめ

  • 商号使用の許可:AさんがBさんに「A商事」の商号を使用させた場合、Bさんの取引によって生じた債務に対してAさんも連帯して責任を負う。
  • 取引による債務:これは商品購入やサービス提供など、通常の取引で生じた債務に限られる。
  • 不法行為の除外:詐欺や盗難などの不法行為による損害賠償はこの責任には含まれず、Bさん個人が責任を負う。