持分会社が他の持分会社へ種類変更する場合、債権者保護手続は不要ということを整理していく。
持分会社とは?
持分会社は、日本の会社法で認められている会社形態の一つで、以下の3種類がある。
- 合名会社: 全社員が無限責任を負う。
- 合資会社: 無限責任社員と有限責任社員がいる。
- 合同会社: 全社員が有限責任を負う。
種類変更とは?
持分会社の種類変更とは、ある持分会社が他の種類の持分会社に変更すること。たとえば、合名会社が合資会社や合同会社に変更する場合。
債権者保護手続が不要な理由
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持分会社間の変更は内部の問題
- 持分会社の種類変更は、基本的に会社内部の構造変更であり、外部の債権者には直接影響を与えないため、債権者保護手続が不要とされている。
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社員の責任に関する特別な規定
- 持分会社の種類変更においても、債権者の保護は「責任追及に関する規定」(会社法583条3項等)によって図られている。これにより、債権者の利益が守られる。
具体例
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合名会社が合同会社に変更
- 合名会社の全社員が無限責任を負っていたが、合同会社になると全社員が有限責任となる。この場合、債権者保護手続は不要。でも、元社員が無限責任だった期間に関する責任は残る。
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合名会社が定款変更で全社員を有限責任社員にする
- 合名会社が定款変更で全社員を有限責任社員に変更する場合も、債権者保護手続は不要。この場合も、責任追及に関する規定により、債権者の利益が保護されます。
債権者保護手続が不要な理由のまとめ
- 内部構造の変更: 持分会社間の種類変更は、会社の内部構造の変更であり、外部の債権者に直接的な影響を与えない。
- 責任追及に関する規定: 社員の責任に関する特別な規定により、債権者の保護が図られているため、特別な手続が不要。
まとめ
会社の種類変更を家族のルール変更のようなもの。門限18時を門限19時とするというような内部のルールを変更しても、外部の人(債権者)には直接影響を与えない。同様に、持分会社の種類変更も、外部の人に直接影響を与えないため、特別な保護手続が不要。持分会社が他の持分会社へ種類変更する場合、債権者保護手続が不要なのは、会社の内部構造の変更であり、債権者の利益は「責任追及に関する規定」によって守られる。無限責任社員の責任は会社の種類がどうなろうが消えることはない。だから、債権者保護手続き不要で自由に持分会社の種類変更ができる。