今更ながら、ちゃんと理解しておきたいため
真正な登記名義の回復とはそもそもどんなもんじゃい、と
ふと、思い出して気になったのでまとめておくこととする。
真正な登記名義の回復は”所有権移転”の登記となることを
念頭に入れておく。
STEP.1利害関係者の承諾が得られない場合
事例にて。
土地の課税価格は2000万円
甲区 1番 所有者 私マイクラ
2番 令和6年1月1日売買
所有者 🎅
乙区 1番 抵当権設定 抵当権者
→ 抵当権は所有者🎅君に移転した後、設定されている。
令和6年1月1西、私、マイクラは土地を🎅君の詐欺で
騙されて🎅君に土地を売ってしまった。
令和6年3月1日、詐欺を理由に🎅君との売買契約を取り消した。
乙区1番で🎅君に移転している土地にちゃんが抵当権を
設定している。
この売買契約が取り消されて困るのはちゃんだから、ちゃんの
を説得して、承諾証明情報を添付しないといけないところだ。
でも、ちゃんは頑として承諾してくれなかった。
本来ならば、承諾証明情報が提出できないと申請は却下される。
こんな八方ふさがりなとき、「真正な登記名義の回復」
を利用するのだ。
利害関係者が承諾してくれないときに、
「真正な登記名義の回復」を原因として所有権を
取り戻す、というか、本来の登記記録に回復させるのだ。
じゃあ、申請内容はどうなるのか。
登記の目的:所有権移転
原因:真正な登記名義の回復
権利者:マイクラ
義務者:🎅
添付情報:登記原因証明情報
登記識別情報
→私から🎅君に渡った登記識別情報
印鑑証明書
→登記義務者であり、所有者である🎅君のもの
所有権を手放すという本気度を実印で示すのだ
住所証明情報
→私、マイクラが住んでいる市町村に固定資産税
を払うことになるから私、マイクラの住民票か
戸籍の附票
代理権限証明情報
課税価格:金2000万円
登録免許税:金40万円
→真正な登記名義の回復は売買と同じで1000分の20
STEP.2農地法絡み
農地の課税価格は2000万円
甲区 1番 所有者 私マイクラ
2番 令和6年1月1日売買
所有者 ワン🐶ちゃん
乙区 1番 抵当権設定 抵当権者
→ 抵当権は所有者ワン🐶ちゃんに移転した後、設定されている。
令和6年1月1日、私マイクラは農地を🎅君に
売却した。
ところが、手違いでワン🐶ちゃんに所有権移転登記が
されてしまった。
本来なら一旦、ワン🐶ちゃんに移転した所有権移転登記を
抹消して、🎅君に所有権移転すべきだけど、ワン🐶ちゃんの
抵当権者であるちゃんがそれを承諾しない。
八方ふさがりな🎅君、令和6年3月1日、🎅君は
ワン🐶ちゃんに対して「真正な登記名義の回復」を申し
入れて所有権移転登記を共同真正することで合意した。
元の所有者でる私、マイクラをすっ飛ばして
🎅君とワン🐶ちゃん二人で所有権移転ができる。
このやり方でもってマイクラとワン🐶ちゃんの所有権移転は
抹消したことになるのだ。
ちなみに、農地を売却するにあたっては、
農地法に基づく許可書を提出しないといけない。
農地は農作物の自給率が低下しないように、勝手には
売買できないのだ。農業委員会にかけられて許可を
得る必要があるのだ。晴れて得られた許可書をもって、
ようやく売買契約ができるのだ。
この許可書の要不要というのが場合分けがあるってわけだ。
農地法はおいておいて、上記の事例で「真正な登記名義の回復」
を原因として所有権移転真正をする場合、許可書がいるのかどうか。
では、レッツ申請書作成!
登記の目的:所有権移転
原因:真正な登記名義の回復
権利者:🎅
義務者:🐶
添付情報:登記原因証明情報
登記識別情報
→2番所有権でワン🐶ちゃんに渡った登記識別情報
印鑑証明書
→登記義務者であり、所有者であるワン🐶ちゃんのもの
所有権を手放すという本気度を実印で示すのだ
住所証明情報
→本来の所有者であるべき🎅君の住民票か戸籍の附票。
🎅君が今後住んでいる市町村に固定資産税を払っていくからね。
許可証明情報
→これが農業委員会から得られた許可証
代理権限証明情報
課税価格:金2000万円
登録免許税:金40万円
→真正な登記名義の回復は売買と同じで1000分の20
この事例の場合、私、マイクラに所有権を戻すという移転ならば、
許可証明情報は不要。
先例をもとに要不要をここで整理しておく。
真正な登記名義の回復の登記は、所有権移転登記によるが、農地であるときは、
元の所有者(前の所有者)に名義を回復するときは、農地法に基づく許可は不要
→そもそも許可を得ている元の所有者に戻すってことだから
再度提出する必要はないってことだな。
地目が農地である土地に売買を原因とする所有権の移転登記が
されている場合、この当該売買の合意解除による当該所有権移転
の登記を抹消申請するときは、農地法所定の許可が必要
地目が農地である土地に買戻し特約が登記されている場合、
買戻権を行使したために、所有権移転登記をするときは、
農地法所定の許可証明情報が必要
農地の地下に工作物を設置するときも農地法所定の
許可証明情報が必要
農地を「売買」として農地法の許可を得ていたところ
「贈与」として所有権移転することはできない。
→許可は「売買」として与えられたもので「贈与」じゃないから
共有している農地の持分放棄に農地法の許可は不要
→ ただし、共有物分割による持分移転は許可が必要
「死因贈与」「遺産分割による贈与」による所有権移転は農地法所定の許可証明情報が必要
売買契約の債務不履行による解除を原因とする所有権移転の抹消の申請をする場合は
農地法の許可は不要
→ 法定解除の場合、いたしかたない事情というのがあるから許可は不要
※ 法定解除とは法律上、解除の原因が法律上定めれらているもの、その
原因が発生した場合、解除できるというもの。
合意解除による所有権移転の場合は、契約という当事者の意志に基づく
ものだから、許可が必要
スッキリ爽快!