「なお、おはよう!」
熟睡していたなおを起こすと
脱水症状を気にしているドクターは
水を飲むように薦める。
首を横に振り、なおがいらないといっても
ゼスチャーでボトル1/4まで飲むように指示する。
その通りにすると少し顔色が良くなった。
なお、僕、お袋、ドクターの4人のチームで再スタート。
ちょっと賑やかになった。
歩いても15分もたなかったなお。
ドクターの指示通り
休むたびに水を飲み、トイレに行かせると
クラッカーを食べるほど元気を取り戻した。
「海、キレイだね~♪」
なんて余裕が一瞬あったものの進むのは一歩一歩。
今のなおの一歩は20センチ。
5歩で1m、5000歩でやっと1キロだ。
1キロが‥、1キロが長い。
日差しを気にしていたはずが、すで4時。
日が暮れ、風が強くなり、半袖、短パンの体が冷えが気になる。
スタートから11時間。
30キロも手をつないでいると
なおの気持ちや体調がリアルに伝わってくる。
さっきまで上がってきていた体温が明らかに落ち
先の見えないプレッシャーが大きくのしかかる。
「どこまで続くの」
「もうすぐだよ」
「まだ?」
「もうすぐだよ」
何度こういったろうか‥
力が入らなくなっても、両手で僕の左手をしっかり握り締め
「とにかく前に、前に」と進む意志が小さな手から伝わってくる。
再びなおが、歩いては足元に崩れ落ちる。
休んでは歩く間隔が短くなった。
もう終わるだろう、あそこまでだろう
僕の予想と期待を覆すように永遠と続くハイウエイ。
夕焼けに照らされたなおの顔には
さっきからずっと、ずっと涙が流れている。
でも、その目はゴールしか見ていない。
みっきー