上州  皇海山(すかいざん)               2005.9.2


 根利村役場4:15=====皇海橋6:15---皇海山8:45---皇海橋11:30 =====1:20老神温泉

台風が接近していた。まだ遠方にあるが、山には影響が出始めているかもしれない。
持病になってしまった腰痛を気にしながらの山旅になった。
皇海山は、庚申山の奥の院として鎮座する信仰の山である。山頂には、明治時代に庚申講に
よって奉納された青銅の剣がある。

「皇海山は遠くから眺めた形から推して、昔は笄山(こうがい山)と呼ばれていたが、
そのコウガイが皇開と宛字され、やがて皇海となり、皇はスメラとも読むところから皇海は
スカイと呼ばれるようになった。」深田久弥 「日本百名山」

笄(こうがい)は、髪を掻き揚げて横に挿して、髪を巻きつけ髷を形作る結髪用具。
皇海山は、笄(こうがい)にはどうも似ていないようにも思うが、遠くから眺めた形が笄
(こうがい)のようであるなら、私は、笄山(こうがい山)の方がゆかしいし、相応しいように
思える。
 
利根村追貝の栗原川林道を通り、皇海山キャンプ村看板をたよりに午前4時15分根利村
役場に到着。産業振興会館で位置を確認する。中継所を分けてからはオフロードを延々とゆく。
行き違いできない箇所もあり、退避場所をチェックしながらのんびりゆっくり、でこぼこの
栗原川林道を登っていった。

イメージ 1[姿を現す皇海山 2143.6m]

皇海橋に6時15分到着。登山口には、いきなり、熊出没注意の掲示板があり、熊と対面した
過去の記憶が蘇ってきた。山道には、白と黄のヨメナが薄暗い谷間や森の中までたくさん
咲いていた。あたりは、沢筋のミストにフィトンチッドが混じっているのか、しっとりとした
森の香りが漂っていた。

登山道は、ほとんど森林帯を歩いていくため、展望は無く日差しをさえぎり、木漏れ日も気持ち
がよい。登山道はずっと薄暗い谷間の森の香りのする沢沿いに続いていた。何度も沢を渡り返す
が、増水時は危険な箇所もありそうだ。

ふと、目を上げてみると、沢の上部をどこまでも登っていく登山者を発見した。
大声で、皇海山は右の沢を詰めて行くコースであることを伝える。
「標識はあるのか!」と言われてしまう・・・。
沢沿いは、特に周りをよく見て地形をとらえなければ迷い込みやすい。

イメージ 2[鋸の歯のような鋸山]

沢筋を上り詰めた上流の鞍部からは鋸山がよく見える。ギザギザと尖った鋸山を越えて行く
のも楽しそうだ。ややきつい登りをひと汗かくと四畳半程の広さの山頂に着いた。
皇海山頂は、晴れていても樹林に囲まれていて眺望は乏しい。山頂の上昇気流を受けて何匹
もアキアカネが乱舞していた。もう山は秋の気配が漂よっていた。

心配していた腰も異常はなく、どこにも痛みや違和感はでなかった。穏やかな山頂のひと時
を楽しんで、アキアカネに別れを告げた。なぜか、山頂に奉納されていた青銅の剣の記憶は
薄い。下山路の沢沿いの道で、今度は私が、踏み跡の怪しい所に踏み込んでしまい、沢を
渡渉することになった。案の定、沢の中の石で滑って転んで、びしょ濡れになってしまった。
渡渉する時は色の変わった岩は苔が生えているので、うっかり踏まないことだ。
落ちていた木切れの棒を拾い、杖代わりにして歩きながら、午前11:30、今朝の登山口に戻った。
帰路は、延々と栗原川林道を下り老神温泉へと向かった。
想い出のアルバム    

    間ノ岳から農鳥岳              


イメージ 1(間ノ岳山頂から農鳥岳に続く稜線)

行ったことのない所へ行きたかった。
1979年、南アルプスの縦走路を辿り、間ノ岳山頂から眺めた一枚の写真がある。
ここからさらに、長々と続く尾根道を農鳥岳へと向かった。
お天気はよさそうなものの、さぞかし喉が渇いていただろう。
炎天下、寂しさは感じていなかっただろうが、
あと、どれだけ歩けば麓に辿り着くのか・・・
一心不乱、”山路のはてなむところ”を希求していたことだろう。
今更ながら、”牧水の旅”を彷彿とさせる。

「幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく」
 若山牧水
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           雨だれの 沈む気持ちの 時を打つ            2010.7.30


 イメージ 1 [今日も雨降り]

       雨降りの山暮らしを続けている。
       雨粒が時を刻むように落ちてくる。
       気持ちは沈み、時間だけが流れてゆく。
       
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           夏山や 雨の山宿 湯治かな                        2010.7.29


 イメージ 1 [トムラウシ温泉]

       よく雨が降る。昨日も今日も雨降りだ。
       登山のタイミングがつかめない。
       もう、山登りは諦めて、いっそのこと、温泉宿で湯治を決め込んだほうが
       いいのではないか。
       気晴らしに、テント暮らしの野営場から傘を差して、麓の温泉に出かけてみた。
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           石を蹴る 虫の背中の 暑さ哉                    2010.7.28


 イメージ 1 [しばらく一緒にいたキタキツネ]

           雨続きのテントの中にいて、晴れ間を待つもどかしさ。
           束の間の晴れ間に石を蹴り、転がった先にいた虫は時間が
           止まったようであった。
           虫の背中には、久し振りの夏の陽射が照らしていた。