ブログネタ:やってみたいレポーター
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「テレビのレポーターとかって大変そうだな」
「あら、何かしら、突然、気持ち悪いわね。そこで何がどう大変なのかを事細かに無駄なテンションと共に伝えるのがレポーターの仕事じゃないの。よくそれでレポーターを目指す気になったわね」
「いや、別に僕はレポーターになりたいわけじゃないんだけど……」
「あらそう。そういうどっちつかずの夢も希望も将来性も無い若者をどうレポートすれば良いのかを知りたいのね。そんな回りくどい演出をしなくてもそのままのあなたを伝えようとすれば良いと思うわ。魅力も面白さも興味も感心も好意も何も無いもの」
「こら!どうしてレポーターについて話しただけでそこまで酷い事を言われなきゃならないんだ!」
「うるさいわね。訊かれたくない後ろめたい事がある人とか、マスコミが嫌いな人を相手にする時なんてもっと酷い事を言われるわよ。こんな事で声を荒げているようでは毎日取材対象と喧嘩するハメになるんじゃないかしら。とはいえそれはそれで個性のあるレポーターとして面白いとは思うけれど」
「いや、だから僕は別にその気は無いって言ってるのに……っていうか取材のたびに喧嘩ばかりするレポーターってのも怖いな」
「あら、そうかしら。本音を隠したり人間性を偽っている人に取材する時は重宝するんじゃないかしらね。景色や料理をレポートするのはまだしも、取材で人間の本心を訊き出すのは一番大変だと思うわ。だから怒らせるのが一番手っ取り早いのよ」
「まぁ言いたい事は分かるけど、ホントに僕はレポーターになるつもりは無いぞ?ただレポーターって仕事について話そうとしただけだからな」
「あらそう。レポーターのレポートをしたいのね。それならさっき話したわよ。何でも無駄な動きとテンションで伝えるのが仕事じゃないかしら。少なくともプライベートでもあんなに驚いてばかりいたらショック死してしまうはずよ」
「確かにスゴイ事を伝えようとして必要以上に驚いてるレポーターもいるな」
「ええ、そうね。料理を口にするたびに物凄く驚いた表情をする人がいるけれど、一体どれだけマズイと思っていたのかしらね。よく店の人も殴らず我慢していると思うわ」
「ま、まぁ確かにな……予想より美味しい、ってのが言いたいんだろうけど……じゃぁ例えばどうやって伝えれば良いんだろうな」
「あら、もしかして私にレポートをして欲しいのかしら?あまりの実力に驚いてしまうんじゃないかしらね」
「お、まさかやってみせてくれるのか?じゃぁ一番得意そうなフライドポテトについてやってみせてくれないかな」
「あらそう。まずは手に取った瞬間に冷たくない感触があるわね。そして固くもなく柔らかくもないわ。いざ口に入れると、ガチガチしていなくて、フニャフニャしていないのよ。そしてサツマイモでもサトイモでもない、甘くも苦くもない味が広がるわ」
「おぼろげ過ぎて何だか全然分からないぞ!」
「うるさいわね。何もかも伝えたって面白くないじゃないの。食べたければ視聴者が勝手に食べれば良いのよ」
「そんな事を言ったらレポーターなんて必要ないじゃないか……」
「うるさいわね。そもそも私がレポートが苦手な事なんて最初から分かっていたじゃないの。あまりの実力に驚いてしまったんじゃないかしら」
「いや、今のが初めてだったから上手か苦手かなんて知らなかったぞ」
「違うわよ。あなたの実情に驚いてしまったんじゃないかしら、って言ったの。最初にあなたについて話した時点でレポートが苦手だとどうして気付かないのかしら」
「え?魅力も面白さも興味も感心も好意も無いとか言ってた事を言ってるのか?そ、その言葉が全部レポートが苦手な結果って事は……」
「ええ、そうね。あなたの事が大嫌いという事を私は伝えたいのよ」
「まだ苦手なままになってるぞ!全く素直じゃない!」
「クリックして欲しいなんて全く思わないわ。何が言いたいか分かるわよね」
「ツイッター
とかいうものを始めてみたわ」
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