ブログネタ：一生に一度は行きたいところは？
参加中「人には誰でも憧れの土地みたいな場所があるみたいだな」
「あらそう。良かったわね」
「うん、一生のうちに一度は行ってみたい、みたいなカンジで」
「あらそう。良かったわね」
「お前にもどこかどうしても行ってみたい場所ってあるか？」
「あらそう。良かったわね」
「いや、質問してるんだけど……」
「あらそう。良かったわね」
「おい！真面目に会話して欲しいぞ！」
「まぁ、ちょっと適当な受け答えをしただけで何かしら、騒々しいわね。もしかしてあなたの行きたいところは都会の喧騒にまみれた世界で最もやかましい土地なのかしら？」
「いや、そういうわけじゃないけど……ちゃんと質問を聞いてたなら答えてくれれば良いのに……」
「何をごにょごにょ一人暮らしの部屋だからといって油断して毎日思った事をベラベラと独り言でつぶやいていたら、ある日アパートの掲示板に独り言の詳細な内容とともに近所迷惑となる騒音を咎める貼り紙をされてしまった男のようにつぶやいているのかしら、気持ち悪いわね。そうして自分のつぶやきだけが響き渡るような、不気味で閉鎖的な空間があなたの憧れの土地なのかしら？」
「そんなつもりじゃないぞ！どうせなら景色の綺麗なところとか、そう簡単には行けないようなところへ行ってみたいぞ！」
「あらそう。その二つの特徴を考慮すると、そう簡単に綺麗な景色にならない場所が綺麗な状態になっている時に行ってみたいのかしら？汚れも異臭も全くないゴミ集積所とか、海開きの前にゴミ拾いをした直後の海水浴場とか、清掃業者が来たばかりの私の家とか、って、どうして私の家が普段はゴミ屋敷のような状態だと思われているのかしら、失礼な。整理整頓をし過ぎて生活観が全く無い家として近所で評判なのよ」
「僕は何も言ってないぞ！それに普段汚い場所が綺麗になってるからってそこまで見たいとも思わないし……僕の言ってた二つの特徴を合わせると、そう簡単に行けないような景色の綺麗な場所に行きたい、って解釈になるのが普通だと思うんだけど……」
「うるさいわね。足し算の答えがたった一つだと思ったら大間違いよ。一本ずつ食べても美味しいフライドポテトを二本同時に食べると、二本分の美味しさだけではなくて、贅沢感とほんの少し背徳感が発生するのを知らないのかしら」
「二本同時だと何だか悪い事をしてるような気になるのか？よく分からないけど……」
「うるさいわね。目の前のフライドポテトがどんどん無くなってしまう危機感や焦燥感が理解出来ないのかしら。つまり三本同時などの荒技を繰り出すと、確実に１＋１＋１の図式とは異なる感情が芽生えてしまって……」
「ちょ、ちょっと待った！今はフライドポテトの話じゃないぞ！」
「うるさいわね。冗談よ。無くなったらまた揚げれば良いのよ。常に冷凍庫にたくさん保存している私を甘く見ないでちょうだい。それはそうと私の家が不気味なほどに綺麗な状態でもあなたは全く興味が無いみたいね。そんな様子で今後どうやって付き合っていけば良いのかしら。離婚しか残されていないわよ」
「ええっ！？別にお前の家に興味が無いわけじゃないぞ！……そもそもまだ結婚してないし、一緒に住んでないし……も、もちろん将来的にはその……そういうつもりで……その……」
「……何をごにょごにょ綿ぼこりみたいな声を出しているのかしら。違うわよ。遺恨を残してしまうわよ、って言ったの。清掃業者でも拭えないような恨みを刻み付けてしまった私はあなただけ外で生活する事を希望するんじゃないかしら。って、どうして私とあなたが一緒に住むとかいう話になっているのかしら、いかがわしいわね」
「僕は何も言ってないんだけど……でもそういう気があるのは嬉しいな」
「うるさいわね。結局今日は何の話なのかしら？こんな妙な話から離れて早く別の場所に行きたいわね」
「えーと、じゃぁ改めて訊くけど、お前はどこかどうしても行ってみたい場所ってあるのか？」
「さぁ、どうかしらね。それは想像上の場所の話かしら？それとも現実の話かしら？」
「うーん、出来たら実際に存在する場所で考えてくれないかな」
「あらそう。一番彼方の世界の場所よ」
「どういう意味だ？可能な限り遠くまで、って意味か？うーん、結局ずいぶん抽象的な表現だな……」
「違うわよ。一番あなたに近い場所、って言ったの。って、何を言わせるのかしら、みっともないわね」
「ううっ、それなら望まなくても既に出会った時からずっとお前が一番近くにいるぞ……」
「……あらそう。今が一番近いという事は、今よりも近く、肌が触れ合うほどに近付いてはいけないのね。ちょっと、もう少し離れてちょうだい」
「全く素直じゃない！」
「クリックの向こう側を見てきたらどうかしら」
「ツイッター とかいうものを始めてみたわ」
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