「今朝はちょっと時間が無かったからお茶漬けを食べたぞ」
「あらそう。水分を含んでヘナヘナになった海苔のような顔をして何を言っているのかしら。誰もがシャケになれると思ったら大間違いよ」
「どんな顔なんだそれは!って、僕は別にシャケにもなりたくないぞ。朝ごはんの話をしただけじゃないか」
「うるさいわね。そもそもお茶なんて掛かっていないじゃないの。どうせふりかけのようなお茶漬けの素にお湯を掛けただけでしょう?」
「うっ、まぁそうだけど……自分でシャケとかタラコとか梅を準備してお茶を掛けて食べても美味しいんだけど、朝からそこまでするのはちょっと面倒だからな。それにどうやらお茶じゃなくてお湯を掛けて食べるのを想定して作られてる商品らしいしさ。あの粉末の中にお茶の成分が入ってるんだと思うぞ」
「あらそう。ぬるま湯みたいな顔をして何を言っているのか分からないけれど、それならちゃんとお茶が掛かっているとも言えるわね。いかにもお茶漬けのお茶の部分を担当しそうなところではなくて、他のところにお茶を配置するのは良い目くらましになっているんじゃないかしら。例えば常に命を狙われているある大統領が自分の影武者を用意するのよ。ところがとてもそっくりだから側近の人達でさえもどちらがどちらか分からなくなって、いつの間にか影武者というよりももう一人の大統領として君臨するようになるのよ。一人が国政に励んでいるうちに一人は外遊に出たりして、その国はどんどん政治力を高めて好景気になっていくわ。すると近隣の国から妬まれてしまって、二人の大統領が今後の政策を二人で練っているところを襲撃されて二人とも殺されてしまったようなものよ」
「影武者の影武者がいれば良かったのにな……でも結局は大統領が三人になるだけか……?って、例えと言いたい事が全然違うような気がするんだけど……」
「うるさいわね。結局何を話したいのかしら?お茶漬けと言いながら完全に出汁だけを掛けて食べている料亭とか、ラーメン茶漬けなんて商品名が存在してしまっているくらい何が何だかさっぱり分からないわ」
「いや、別にこれと言って話したい事があるわけじゃないぞ。まぁお茶漬けみたいにサササっと食べられる料理があると忙しい時は便利だよな、って話で……」
「あらそう。でもお茶漬けは持ち運びには不便じゃないの。フライドポテトだったらサササと食べられるし、サササと移動する事も出来るわよ。サササと熱々が食べられるし、サササと色んな味にアレンジ出来るわ。更にサササと会話も弾むしサササと身体が軽やかになって、サササと大金持ちになってしまうわよ。更にサササとゴキブリをおびき寄せたり、サササと簡単に掃除を済ませたり……」
「ちょ、ちょっと待った!何かウソの情報が紛れてる気がするぞ」
「あら、そうだったかしら。ラーメン茶漬けの事を言っているのかしら?確かにお茶でも何でもないからウソの情報だらけと言えるでしょうね」
「いや、それはもう許してあげて欲しいんだけど……僕が言ってるのはお茶漬けじゃなくて……」
「あらそう。という事は出汁を掛けているのにお茶漬けと言っている料亭の事かしら。もっと出汁の存在をアピールした名前の方が私は美味しそうに聞こえるんじゃないかと思うけれど、きっと自信が無いからお茶漬けと言っているんでしょうね。という事は勝手に名前を使われて、勝手に期待値の低い料理として扱われて、二重の意味でお茶漬けを冒涜している可能性が……」
「ちょ、ちょっと待った!そっちも許してあげてくれないか!フライドポテトの情報がウソだって言ってるんだぞ!」
「うるさいわね。分かっているわよそれくらい。冗談に決まってるじゃないの。せっかくだから会話の中にふんだんにお茶漬けの話を取り入れてみただけよ。要するに会話をお茶漬けにした、というカンジかしら。お茶会話よ」
「会話をお茶漬けにするってのもスゴイ発想だな。まぁお茶漬けの話でここまで盛り上がるとは僕も思わなかったぞ」
「違うわよ。オチは無いわよ、って言ったの。あなたのせいで締まりの無い終わり方になってしまいそうね。ちょうど京都でお茶漬けを出されているような状態じゃないかしら」
「なるほど……サササとこの話題を辞めにして帰ってくれ、ってカンジか……」
「お茶漬けがあっても無くてもすぐクリックするのよ」
「ツイッター とかいうものを始めてみたわ」
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