「日曜の夜になると憂鬱になる人が多いらしいぞ」
「あらそう。良かったわね」
「いや、憂鬱になるのが良いとは思えないんだけど……」
「あら、そうかしら。毎週そうなるなら何も問題は無いじゃないの。それがその人の一週間のサイクルなんだと思うわ。そもそも平日の学校や仕事中に勉強や仕事が手に付かないくらい憂鬱になっているわけではないならそれで良いんじゃないかしら」
「うーん、そうかもしれないけど、でも憂鬱にならなくて済むならそれが一番良いんじゃないのか?」
「しつこいわね。憂鬱にならない人なんてこの世に一人もいないわよ。憂鬱にならない人がいたとしたらそれはとても不幸な事だと思うわ。悪い状態の時を知っているからこそ良い状態の時の素晴らしさに気付けるんじゃないの。良い状態だけだったらそれが普通になってしまって嬉しくも何ともなくなってしまうわよ。だから人は憂鬱を感じるべきで、そんな憂鬱が日曜日の夜だけで済むなら何も問題が無いと思うわ。むしろ日曜日の夜だけ憂鬱ではない、くらいずっと憂鬱な状態で過ごしている人がほとんどのはずだもの」
「世の中には憂鬱な人が多いんだな……と、とにかく日曜の夜に憂鬱になる人がいるのは事実らしいんだ」
「うるさいわね。そもそもどうして日曜日に憂鬱になるのかしら。【にちようび】が【にちゆううつ】に聞こえるとか言い出すつもりじゃないでしょうね。【ナイト・サンデー・メランコリー】が【何ともなんねぇへこみ具合】に聞こえるのかしら?そんな難聴レベルの聞き間違いを繰り返す国民ばかりだとしたら私がゆううちゅになってしまいそうよ」
「えっ?今ちょっと噛んだんじゃないのか?」
「うるさいわね。早速難聴の国民が目の前に発生してしまったのかしら、腹立たしいわね。妙な音が聞こえた場合は私の口ではなくてあなたの耳をまず疑うべきだと思うわ」
「う、うん……何だか上手く誤魔化された気がするけど……」
「うるさいわね。聞こえているわよ、失礼な。あなたの耳とは性能が違うから甘く見ないでちょうだい。とにかく日本人は週に一度、聞き間違いが蓄積したストレスで憂鬱になるに違いないわ」
「いや、どう考えても【せっかくの休日が終わっちゃうから】ってのが理由だと思うぞ。また一週間学校とか仕事とかに行かなきゃならないのを想像すると憂鬱になっても仕方が無いんじゃないかな」
「あらそう。という事は週に一日か二日の休日の方が、他のほとんどの日よりも重要になってしまっているのね。それが問題じゃないかしら」
「それはそうだろうけど、平日はどうしてもストレスが溜まる生活になるし……何か対処法ってあるかな」
「さぁ、どうかしらね。休日も勉強したり仕事したりすれば良いんじゃないかしら。かえって平日よりもハードにすれば良いのよ」
「それじゃ休まる時が無いぞ!しかも憂鬱な時間が日曜の夜から金曜の夜に変わるだけって気がする」
「うるさいわね。それなら金曜日の夜から重点的に勉強すれば良いじゃないの」
「そうなると金曜の昼が憂鬱になるだけだぞ!解決法になってないぞ!」
「うるさいわね。そもそもさっきも言ったけれど、どうして憂鬱を避けなければならないのかさっぱり分からないもの。良い事ばかり起こる生活に慣れてしまったらほんの些細な不幸でさえも対処出来ない人間になってしまうわよ。それでもどうしても憂鬱になりたくないならもう何もせずに何も感じずに何も考えずに眠ってしまえば良いんじゃないかしら」
「うーん、まぁ確かにお前が言うように憂鬱さえも幸せな事、と考え方を改めるのが一番の対処法なのかもな。ちなみにお前は休日が終わりそうになって憂鬱になったりしないのか?」
「さぁ、どうかしらね。休日なんて存在しないから分からないわ。毎日通っているもの」
「え?いや、土日は毎週学校が休みじゃないか。ホントに土日でも学校に行って……って、そんなわけ無いよな。休日も僕と一緒にいるんだし……どういう意味なんだ」
「違うわよ。毎日会話しているもの、って言ったの。学校があっても無くても私はあなたと一緒にいるのが当然で当たり前の一日だもの。休日なんて存在しないわよ。って、何を言わせるのかしら、みっともない」
「な、なるほど。学校や曜日はお前にとって全く重要じゃないんだな。僕と一緒にいるかどうかが日常と休日の基準だなんて凄く幸せだぞ」
「……うるさいわね。私が妙な事を言ったらそれはただの聞き間違いだと言ったじゃないの。何を一人で感動しているのかしら」
「いや、今のはちゃんと聞こえたはずだぞ!」
「クリックしないなんて憂鬱な事はしないわよね」
「1日1回投票出来るからよろしくね」
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