「いよいよ夏休みにもなったし、今年の夏はどこかへ泳ぎに行きたいな」
「あらそう。好きに行ってくれば良いんじゃないかしら」
「いや、出来たら一緒に行きたいと思って話してるんだけど……」
「あらそう。別に構わないわよ」
「えっ?ホント?」
「ええ、何をそんなに驚いているのかしら、気持ち悪いわね。それで、どこの銭湯へ行きたいのかしら?」
「銭湯?そんなところに一緒に行って何するんだ?男女別だし、全く泳げないぞ」
「まぁ、思考回路が幼い子供のままのあなたは銭湯へ行くとつい周囲の迷惑も顧みず泳いでしまうという欲求を維持しているのかと思ったわ。子供扱いして悪かったわね。それならどこの川へ行きたいのかしら?」
「川?川で泳ぐのか?わざわざ泳ぐためだけに川へ行く人ってあんまりいないと思うんだけど……」
「まぁ、釣り好きの父親に連れられて行った川でしこたま泳いで、最後は泳ぎ疲れて帰りの車で母親の膝枕で熟睡してしまう小学生のような存在だと思っていたのよ。子供扱いして悪かったわね。それならプールへ行きたいのかしら?海へ行きたいのかしら?」
「うん、そうだな。何故かずいぶん子供扱いされたのが気になるけど、ようやくまともな行き先になったみたいで良かった。僕としてはプールでも海でもどっちでも構わないぞ」
「あらそう。プールへ行ったらあなたが足もつかないのに調子に乗って浮き輪も使わずに流れるプールに入って流されないかとか、波のプールで調子に乗って深い場所まで行こうとして溺れたりしないかとか、プールサイドで見張っていれば良いのね」
「完全にお母さんと子供の関係じゃないか!っていうか今の身長なら足くらいつくぞ!」
「うるさいわね。プールというだけでおかしなテンションになって飛び込み禁止の地点から飛び込みまくって、監視員にプールの水よりも冷たい声で注意されるような存在だと思っていたのよ。まだまだ子供だと思っていたけれど、子供の成長とは早いものなのね。もういっそ海に行くのが賢明かもしれないわね」
「どうして子供扱いされるのか分からないけど、まぁとにかくお前がそう言うならもちろん海も大歓迎だぞ」
「あらそう。あなたが沖に流されたりしないように砂浜で見張っていれば良いんでしょう?」
「……一つ気になるんだけど、お前は泳ぐ気は無いのか?」
「あら、水があるからといって泳がなければならない決まりなんてどこにも無いじゃないの。ちゃんと途中で帰ったりしないで待っていてあげるから心配いらないわよ」
「うーん、せっかく一緒に行くのに僕だけ泳ぐなんて味気ないよな……何か理由でもあるのか?日焼けが嫌だとか、昔溺れかけて水が怖いとか……」
「うるさいわね。私は水は気にならないわよ」
「そっか……じゃぁどんな理由で泳いでくれないんだろう……」
「違うわよ。私は水着にならないわよ、って言ったの。さっきは暑くて泳ぎたいとか言っていたのに、突然一人では味気ないだなんて、ついに本音を口にしたわね。あなたの魂胆はお見通しなのよ、いやらしいわね」
「ううっ、そりゃお前が水着になるなら見たいけど……でも純粋に泳ぎに行きたいって気持ちもあるんだぞ」
「ええ、そうね。私の水着が目当てと真っ先に言わないような人には見せたくないわ、失礼な」
続く
「続くみたいよ。クリックして待っててね」
「ツイッター とかいうものを始めてみたわ」
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