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「あら、何かしら、突然、気持ち悪いわね。話し掛ければ私がいつでも交流出来る相手だと思ったら大間違いよ」

「え?何が?何も言ってないぞ?」

「あらそう。いかにも授業中からずっと私に話し掛けたそうな表情をしていたじゃないの。だからこれは休み時間になった瞬間に襲い掛かるくらいの勢いで話し掛けてくるだろうと予想して先手を打ったのよ。どれだけ私との会話が楽しくて授業中が苦痛だと言っても、チャイムで解放された瞬間に抱き付かれたりしたらたまらないわ。地球の資源に限りがあるように、私の寛大で慈愛に満ちた心にも限りがあるのよ」

「えーと、何だかよく分からないけど、あんまり他人に対して良い感情は持ってないんじゃなかったのか……?」

「ええ、そうね。寛大な自愛精神よ。私は私の幸せのためなら他人を踏み台にするのも全く気にならないわ」

「そういう意味か!」

「うるさいわね。冗談よ。冗談ではないけれど、冗談という事で良いじゃないの。それより授業中はいかがわしい顔をして何を考えていたのかしら」

「うーん、そんな顔をしたつもりはないけど……でも話し掛けようと思ってたのは事実だぞ。っていうか他に休み時間の過ごし方なんて思い付かないしな」

「まぁ、他に選択肢があればそちらにすぐにでも飛び付きそうな口ぶりじゃないの、失礼な。いつの間に私はあなたの暇潰しのためだけに関係を維持されているような存在になってしまったのかしら?私がいないとどれだけ暇になるか体験する必要があるかもしれないわね。二度と私に話しかけないでちょうだい」

「ちょ、ちょっと待った!そんな酷い理由でお前と会話してるわけじゃないぞ!お前の事が大好きだから他に選択肢なんて無いって意味だ!」

「……うるさいわね。何を教室で声を荒げているのかしら、恥ずかしいわね」

「うっ、確かに……でもお前は周りに他人がいても会話の内容なんていつも気にしないじゃないか」

「ええ、そうね。私はあなたと会話しているのが恥ずかしいと言っているのよ」

「僕と知り合いなのがお前にとって汚点だって言ってるのか?いくらなんでも酷いぞ!」

「うるさいわね。冗談に決まってるじゃないの。すぐにそうやって取り乱すのが恥ずかしいと言っているのよ。痴話喧嘩とか別れ話だと思われてしまうわよ。直後に私の元へ他の男子が殺到しても構わないのかしら」

「そ、それは困るけど……でもそんな勇気のある男子はいないような……いや、何でもない……」

「何をごにょごにょ今月こそはお小遣いを増やしてもらおうとして、奥さんの機嫌を取るために洋服を買ってきた結果、全く好みと違う服に無駄なお金を使ってしまった事をこっぴどく説教されてお小遣いを減らされてしまった男のようにつぶやいているのかしら、気持ち悪いわね。とにかく好きな時に好きな話をすれば良いのよ。ネットの日記やブログやつぶやきと同じよ」

「どういう事だ?」

「それぞれが好き好きに色々とちまちまと自分の書きたい事だけを書いているじゃないの。それに興味があって読みたい人は読むし、興味の無い人は見向きもしないわ。私達の会話も聞きたい人だけが聞くし、聞きたくない人はどうやってこのページから出るのか分からずに右往左往すれば良いのよ」

「それじゃどっちにしても話を聞くハメになるぞ!?」

「しかも聞かずに帰ったらウィルスに感染するわよ」

「他のページに行けないウィルスを掻い潜ると更に他のウィルスがあるのか!?何と性質の悪いページなんだ!僕達の会話だけは興味の無い人まで強制になっちゃってるぞ!」

「当たり前じゃないの、失礼な。私の言葉よりも価値のある言葉なんてこの世に存在するのかしら」

「うーん、僕達は日常会話をしてるだけだからな……他にもっと有意義な情報とかを書いている人はいっぱいいると思うけど……」

「違うわよ。互いの言葉よりも価値のある言葉なんてこの世に存在するのかしら、って言ったの。あなたの事よ。もっと多くの人に知ってもらいたいわ」

「ええっ!?そ、そんなに評価してくれてるのか?は、恥ずかしいけど嬉しいな……」

「どうすればそんなに普通で面白味も捻りもない事ばかり言えるのかとても興味深いじゃないの」

「そういう意味か!」


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