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ホワイトデーに期待ある? ブログネタ:ホワイトデーに期待ある? 参加中


「今日はちょっと一緒に行って欲しいところがあるんだ」

「あらそう。何故かしら」

「いや、とりあえず来てくれないかな」

「あらそう。何故かしら」

「いや、ちょっとそこは内緒にしたいんだけど……」

「あらそう。一人で行ってちょうだい」

「うっ、そんな事言わずに……」

「しつこいわね。依頼しておいて詳細を言わないなんて明らかにおかしいじゃないの。結婚を約束していた人が直前でお金を持って逃げたり、一緒に事業を立ち上げるためにアイディアを出し合ってずっと力を合わせて努力をしていた人が、他のもっと頼れる人と組んで無断でアイディアを利用していたり、長年添い遂げた人の葬式に妻である自分よりも長い間付き合い続けていた愛人が突然現れたりする時代よ。物凄く強固な信頼関係がなければまず一緒に行く事は出来ないわ」

「ううっ、確かに……えーと、じゃぁ仕方ないな。今日は……」

「うるさいわね。いいから早く歩いてちょうだい」

「え?言わなくて良いのか?」

「あら、何の事かしら、これから一緒に下校するだけじゃないの。どこかへ寄り道するかもしれないけれど、それが法律を犯す事態に発展するような理不尽な法治国家ではないと思うわ。とにかくさっさと行きたいところがあれば行けば良いのよ。どうせ私はあなたと一緒に歩くしか選択肢が無いもの。一人で歩けないような弱り切った身体で悪かったわね」

「と言ってるわりにはどんどん一人で歩いてるけど……要するに信頼してくれてるって事なのかな……素直じゃないな……」

「何をごにょごにょ白々しい顔面蒼白な顔をした男が白を切って歩いていたら白装束の男に白昼堂々襲われてつい白刃取りをしてしまった事を激白しているように独白しているのかしら、気持ち悪いわね。とにかく今日は何も起こらないまま放課後になってしまったりして、とても白けた一日になりそうな気がするわ。頭も記憶も真っ白で、枕カバーが真っ白に漂白されてしまうんじゃないかと思うほどに涙を流して眠るのね。期待する事が出来る幸福は同時に期待を裏切られる不幸が巡ってくる可能性も秘めているのよ。何もなかった人生のはずの私が期待してしまった時点でもう幸福に対して白旗を振っていたのね」

「何を言ってるのかよく分からないけど、大丈夫か?あ、ちょっと待って、ここで少し話していこう」

「あら、まさかあなたの寄りたい場所はこのいつもと同じ公園のベンチじゃないでしょうね。ここで何をするつもりなのかしら?」

「え、いや、ちょっと話していこうかな、と思って……」

「あらそう。こんな白日の下に無様を晒すような真似をさせて、完全に白けてしまったわ。何だか今日は白くてホワイトな日だと思っていたけれど、私の未来が真っ白になってしまう日だったのかしら。もう帰るわね。二度と私に近寄らないでちょうだい」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!突然どうしたんだ!今日はただこれを渡そうと思って……」

「まぁ、ついに何か決定的なものを突き付けようとしているのね、腹立たしい。って、これは何かしら。ポテトチップみたいね」

「うん。放課後までフライドポテトを美味しく保つのは難しいから、ポテトチップにしたんだ。ホワイトデーのお返しで飴とかクッキーってのもありきたりかな、と思って。好物のフライドポテトはまた別の機会に必ず作るから楽しみにしててくれ」

「……あらそう。これなら別に教室でも昼食の時でも良いじゃないの。何故わざわざこんな場所で渡す必要があるのかしら。ホワイトデーに何も返してもらえない不幸を出来るだけ長く味わわせようという嫌がらせなのね、失礼な。日頃の恨みがどれだけのものなのか、とても分かりやすく実感してしまったわ。今後の事はこれからじっくりと考えさせてもらう必要があるんじゃないかしら」

「そういうつもりじゃないぞ!せっかくだから僕達が付き合い始めた場所で渡したいな……と思って……これも僕が初めてお前に作る料理だし……とにかく食べてみてくれないかな。結構今日に向けて何度も練習したんだぞ」

「あらそう。フライドポテトと違ってポテトチップはそんなにどれも大差ないと思うけれど」

「そこはまぁ他のと違って確実に愛情が込められてるはずだぞ。お前の事だけを考えてお前のためだけに作ってるからな。って、それが味に出てるかどうか分からないけど……どうかな……美味しいか?」

「……不味いわね」

「ぐっ、そ、そっか……おかしいなぁ、今朝味見した時は美味しく出来たと思ったんだけどな……変なのを食べさせちゃってごめん……」

「違うわよ。マズイわね、って言ったの。こんなものを食べてしまったらもう他のが食べられなくなるかもしれないじゃないの」


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