うちのニイニイは、療育センターっていうとこに通ってた。
小学生の頃は、一年生よりもワガママで、同じクラスの子や、ニイニイよりも年下の子にバカにされて、よく殴られてた。
だけど。ニイニイには、なぜか。敵と同じくらい味方がいた。
ワガママで、アタマおかしいやつ、って悪口言われてるニイニイ。だけど、味方の子たちは、絶対にニイニイを悪く言わない。
ノスケはな、天才なんだぞ。
そう言って、ニイニイを認めた。
ニイニイは、いつもたくさんの友だちと笑ってた。小さい頃も、そして、今でも( ` ー ´ )
ノスケの妹として育ったちび子は、社会福祉士になりました。
〝自分ならば、他の誰よりも当事者の気持ちがわかるよ〟
そう言って。…障害児の、児童指導員になったのさ♩
ちび子先生は、怖い。
怒るし、悪いことすると、きちんと謝らないと絶対に許してくれない。
食べ物で遊んだら、おやつはもらえない。
運転の邪魔したら、バスに乗ったまま家に連れ戻される。
でもね。誰よりも一番遊んでくれるんだ。
厳しい、と同僚から陰口も叩かれるちび子だが。なぜか子どもたちからはダントツで人気者だ。
⇒しかも、叱られた子どもたちが離れない(笑)
ちび子先生の言うことは、ちゃんと聞く。
ちび子先生の約束は、ちゃんと守る。
どうしてだろう。子どもたちは、ちび子が向けるカメラにばかり満開の笑みを見せるのだ。叱らない職員じゃなく、ちび子に駆け寄る。叱られても、すぐに〝先生遊ぼう!〟って離れない。
首をかしげる同僚たちに、ちび子は告げた。
『悪いことは悪い、と。理解できるかどうかよりも、絶対にさせないように覚えないと周りに愛されない。わかっててもわかってなくても、イヤなヤツは絶対嫌われる。人が生きていく上で、他人から愛されるというのは一番重要なポイントだ。だからこそ、ソーシャルスキルが大切だ、って言われてるんだよ。それ教えてやるのが私ら職員なのに、やらなきゃ何のためにいるのさ!』
他者の感情の変化に疎い彼らは。器用に感情を読み取って対応するなんて高尚なワザなぞ、習得出来ない。
だから、最初から『これはタブー』と覚えてしまえばいい。
してはいけないこと。
するべきこと。
これをちゃんとすれば、どんなに不器用だとしても。たとえみんなと全く同じことが出来なかったとしても。助けてくれる人や、協力してくれる人は、必ず現れるんだよ。
だから、ちび子は子どもに言う。
『ケン、わかんないって言うな。じゃあ考えてみな。どうしてみんな、ケンから離れていくと思う?嫌なことばかりするケンの側には、居たくないんだよ。嫌なことばかりするケンは、みんなは好きじゃないんだ。だから、ケンの側には誰も来ないんだよ。
悲しいな。さみしいな。人から嫌われるのと、大好きになってもらうの、どっちがいい?』
ケンちゃんは、泣きながら答えた。
ちび子先生、ボクみんなに大好きって言って欲しい。
うん。じゃあ、先生と頑張ろうな( ` ー ´ )
約束してからケンちゃんは、ちび子先生が側にいるとお友だちに優しい。おもちゃで叩いたり、ゲームでズルもしない。
時々忘れてしまうと、ちび子先生に声をかけられる。
『ケン?そんなことして、お友だちが楽しいと思ってくれると思うか?』
ケンちゃんは、ハッとしてすぐに行動を正すのだ。
お友だちは。髪を引っ張ったり、打ったりされるとボクを嫌いになるんだ。
『そうだよ。嫌がることをしないケンだから、みんなケンと遊びたいな、って思うんだよ。見てみな。今はケンを見て嬉しそうに笑ってるだろう。』
ちび子先生は他の先生と違う。はっきりと、そんなケンはキライになる、って言うんだ。
だから、ボクは頑張れる。みんなと一緒に遊べるようになる。
ちび子は、先輩職員さんに言った。
子どもバカじゃないから。説明したらわかるよ。嫌われるのと好かれるの、どっちがいい?って、ちゃんと教えるんだよ。
ミコ先生:えっ?…でも、叱るのは、チガうと思う。
ちび子:じゃあ、ケンは嫌われ者のままずっと傷つけばいいの?どうして自分が嫌われるのか知らないまま、ぼっちでいればいいの?
ミコ先生:うーん、でも、わかってくれる人もいるかも知れない。
ちび子:同じ年の子どもが、そんなことできるわけない。
ミコ先生:でも、ケンちゃんは、仕方ないから。
ちび子:仕方ない?ケンをバカにするな。それでは対等に扱ってもらえない。仲間だと受け入れてもらえない。現実から逃げれば人も逃げてく。人と関わらなきゃ覚えない。だから教えてやるべきだ。
ケンカはしてもいい。だけど、あなたの言う一方的にずーっと許してもらえる環境は、違う。それは同情だ。
だから、私はちゃんと伝える。
この子たちが、いつか社会に出て。仲間と一緒に過ごせるように。自分の居場所を見つけることが出来るように。
それを身につけさせるのが、私たち指導員の使命だと思うし、義務だと思う。』
ちび子の言葉に先輩職員は反論出来なかった。
だって。私は知ってる。
ケンちゃんよりも。タクマくんよりも。話せなくて、チックがすごくて、多動がひどくて、見た目も障害丸わかりだった。でも、なぜかいつもたくさんの仲間がいて。今も、ちゃんと一人の社会人として、一般社会で生きてる。
あの頃のニイニイよりも。ケンちゃんやタクマくんは、ずっとチカラがある。だから、諦めちゃダメだ。
『ケンは、わかるよ。ちゃんと。先生は信じてるよ。』
そう言えるちび子だから、ケンちゃんはついていく。いつも真っ直ぐにちび子を見つめる。ちび子先生は、子どもたちから目を逸らさない。
頑張るケンちゃんには、これからも仲間ができるだろう。
人から愛されて、たくさんの思いやりを他人にあげられる人になって欲しい。
そうすれば、必ず。自分の足で、自分の人生を歩んでいく日が来るから。
『子どもだったニイを思い出す。
だから、きっとニイよりも、もっともっと。
可能性は、あるんだから( ` ー ´ )』
子どもたちの未来を諦めず、可能性を信じていく。
そんな先生も良いと私は思うよ^ - ^
〝絶対諦めない〟ノスケの妹は。やっぱり〝絶対諦めない〟先生、なのです☆