支援センターの仲間・K子さんは。
複雑な親子関係に育ち、両親にも死別し。天涯孤独の身で『障害者自立支援法』の元、現在は支援センター等の支援を受けながら一人暮らしをしている知的障害者である。
御歳40と少々。しかしながら、軽度と言えども知的障害を持つ身での一人暮らし…。彼女の一番の辛さは、家族がいないことである。
さみしい彼女の引き起こす問題行動は「代金を支払わずにお店を出ること」なのであるが、どちらかというと『モノが欲しくて』というよりも、『さみしくて構って欲しくて』と言うべきか。その証拠に、明らかにわかりやすい不審行動過ぎて、今まで一度も問題行動は成功したためしが無いのであった。
そんな困ったちゃん・K子さんが大好きなアイドルグループがある。◯ャニーズの一番人気グループ。日々せっせと作業所で働き、いただく僅かなお給料をDVDやCD、チラリと掲載された雑誌に費やしている。『I葉クン、カッコイイねぇ』と声をかければ、子どものように頬を染めて恥ずかしがるのであった。
I葉クンがいればさみしくないの。テレビでは、かのグループが出ていない日は無く。待つ家族の誰もいない部屋に帰っても、K子さんはテレビを見ながら歌を口ずさんだり、ダンスの振り付けを覚えて踊ってみたり。彼女のささやかな幸せなのであった。
ところが先日、再び『問題行動』を起こした彼女。障害者と言えども勿論、警察にもお店屋さんにも、それはそれはこっぴどく叱られた。
「私は悪い人間です…」と落ち込み、うなだれて叱られた彼女が一番反応したのは、I葉クンの名前が出たときだった。『K子さん。あなたの大好きなI葉クンは、一生懸命に働いて、CDや雑誌が売れた代金からお給料をもらうんだよ?お金を払わないとI葉クンはどうなるかな?』
「ごめんなさい!ごめんなさい!」K子さんは泣き崩れた。私のした事は、I葉クンに申し訳ないことだったのだ。
K子さんは、自ら支援センターの指導員に事の顛末を打ち明け、詫び続けた。医師にも話し、それはそれはキツく叱られたのだが、彼女は今度はパニックを起こさずに叱咤されていたのだった。
久しぶりにmeに会った今日。
K子さんは、少し硬い表情で元気が無かった。事情は全て事前に聞いていたのだが、K子さんは何度も頑張ってmeに打ち明けようとしていたようだった。
「私は悪い人間なのです」
「ヒドイ事をしてしまったのです」
と、繰り返し口にしては涙を拭うK子さん。もう散々叱られて、それでもまだ、自らを罰していた。
K子さん。あなたは悪い人間ではないよ。私はそう思うよ。
どうしたら伝わるだろう。
どうしたら、K子さんの心の中に…?
テレビ画面のI葉クンを見ながら、こんな話をした。
K子さん。I葉クンは働き者だね。
「ハイ…そうですね。」K子さんは不思議そうにmeを見ていた。
テレビで見ない日が無いですね。今、日本国内で一番忙しいアイドルグループでしょうね。
彼らは、ゆっくり休みを取りたくても、今はロクに時間も無く。こうして私たちのようにおしゃべりしながらご飯を食べる時間も、あまり取れないでしょう。それだけ頑張って、働いているのです。
K子さんはみるみる涙を浮かべた。
「私は!私は悪い人間です!」
I葉クンは、こんなに頑張っているのに。私はヒドイ事をしてしまった。
頑張っているI葉クンは、K子さんにたくさんの勇気をくれますね。K子さんがお仕事を頑張っていただくお給料で買うCDや雑誌が。I葉クンのお給料です。頑張るI葉クンを、これからも応援しなくてはね。
涙を浮かべながらK子さんが呟いた言葉。
『I葉クンたちの歌を聞いていると、元気が出てくるのです。私も頑張りたい。そう思うと、勇気が湧いてくるのです。』
「me子さん。happinessって、どういう意味でしょうか?お花の名前ですか?」
めちゃくちゃ幸せ!って意味だよ。
K子さんは、今度こそ笑った。
『I葉クンは、僕は幸せだよ!ってメッセージを伝えてくれてたんですね。私も幸せです。I葉クンにありがとうです』
嵐の皆さんには、あまりありがたくないファンであろうか?
でもね。私の大切な仲間の心を癒してくれる。元気と勇気をくれる。
有難いことと、本当に感謝感激(笑)なのです。
K子さんに代わってお伝え申し上げたい。
『どうもありがとうございます。私も幸せです』と。