日本刀の焼き刃と地の境を匂口といいますが ここは霞みのような薄く焼きの入った場合には匂出来といい、丸い粒が多数みえるときは沸出来といいます。
この半分だけ焼きの入った部分が幅広いと匂い深いといいます。
匂口がなぜ幅広になったり、幅狭くなったりするのかははっきりとは分かっていないようです。
匂い口が広いときは焼きが入りにくいのか、それともその部分に焼刃土を徐々に厚くしてあるのかとても興味あることです。
備中の段映りという映りがありますがこれはこの部分の焼は土が直線状に太くなっているに違いありません。
映りはフェライトの多い部分なので焼きが入らなければでるはずです。
匂口は半分焼きが入っているので段映りとは別物です。
個人的には匂口が広くて様々の表情があれば最高です。
しかし名刀のなかには匂口がきりっと絞まっているものもあります。
黒田官兵衛の愛刀である日光一文字は匂い口が絞まっています。
個人的にはこの刀が日本一の名刀ではないかと思っているので 先程の匂い口が広いほどいいと云うのとは矛盾ですが。
刃紋の構成にもっとも合う匂い口があるというふうにいいわけをしておきます。
先日焼き入れした白紙1号の包丁では匂口は狭く、しかしはっきりした匂い出来でした。
焼き入れまでの時間はできるだけ短くA1変態点を越えたなと思ったときに水のなかに投入してやきを入れました。
焼き入れまでの時間を長くするほど沸出来になるといわれていますが、どうも刃金に悪影響がでるのではないかと密かに思っています。
極くたんじかんでの加熱で水中に投入するときに鋼本来の性能が発揮できるようにおもいます。
炭素量が少ないと自然に沸出来になり、炭素量が多いと自然に匂い出来になるとおもっています。
今後実験を繰り返してみたいとおもいます。
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