亜共析鋼は その炭素量が0.3%から0.77%のあいだにはいる鋼です。
焼入れにはA3線以上の温度まで加熱しないと焼きが入りません。
0.5%の部分は770度以上の温度まで加熱されないと焼きがきちんと入りません。
この部分が740度に加熱されたあと水中に投入されればマルテンサイト、変態は起こらず微細パーライトになります。
一方炭素量が1%以上の部分は過共析鋼なのでA1変態点つまり727度を超えれば水中に投入されたときマルテンサイト変態が起きます。
炭素量が1%以上の部分が線状に走っていれば刃のなかで金筋、金線になります。
刃境で冷却速度がやや遅いとマルテンサイトと微細パーライトの混合になります。
これが沸になります。
沸の粒がおおきくなったり小さくなったり匂になったりするのは加熱時間の長さできまるようです。
740度になった途端に水中に投入されれば匂になります。
ちょっと長めに加熱していると小沸に、長く加熱すると沸になります。
荒沸は加熱時間が長すぎる時や加熱温度が高すぎるときにでてきます。
これでは鋼が馬鹿になりますね。
一番優れているのは匂出来、あるいは小沸まででしょう。
いずれにせよ亜共析鋼は焼きがきちんと入らず過共析鋼はきちんと焼きがはいる温度、740度というのがミソです。
このとき刃の中は不完全焼入れとなって硬すぎず粘い組織となり強靱な刃ができます。
最高の切れ味の強靱な名刀はこうして焼入れされたに違いありません。
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