御納戸羅紗の長合羽 二段弾きの渋蛇の目
爪掛けなした高足駄 後に続くは大石の
懐刀 寺西弥太夫 来るは名代の南部坂
「南部坂・雪の別れ」。「忠臣蔵」の中でも最も日本人好みの話であろう。恥ずかしながら、この話、実はこの時まで知らなかった。さっそく持ちネタとさせていただいた。この演目も、やはり、酒井雲派同様、桃中軒雲衛門の流れをくむ春日井梅鴬のテ―プを手に入れ参考とした。梅鴬氏の口演から、さらに、「忠臣二度目の清書」なる一席を後編となすことができたのは、十年以上も後のことである。
「駕籠幽霊」葛飾北斎の話である。出だしの文句が秀逸であるが、全編となると、少々長ったらしい。
一筆龍の雲超えて 風呼ぶ気雲熟しなば 百雷四天をとどろかし
万幽四山におののかん げに理は芸術の 真を伝うる誠なり
以下略