一度だけお会いしたことがある。帰省されたことがあって、私に会いたいとの電話があってお邪魔した。今時分わざわざ音頭を教えろ、というような変わり者はどんな奴じゃろ、と興味を持たれたのであろう。小柄な方であった。この時、他の用事で出かけなければならないことがあって、形だけのお礼と挨拶だけでお別れしたのであるが、聞いておかなければいけないことは山ほどあったはずなのであるが・・・。いちどこちらからお訪ねしようとはおもってはいたが・・・。その決心のついたときにはすでに亡くなられていた。だから会話のほとんどは電話であったが、遠距離につき短く切り上げなければならず、詳しい話も聞けなかった。唯一、昔話で、やはり、稲葉さんに対する賛辞は極めて大きなものであったことを報告して此の巻を締めることにする。