年を改めて、出口氏はじめ南勢地区の事情について述べてきた。今回は、もう一人の雄、吉田留蔵(1912~1993 明和町)氏を紹介する。洗礼された優美な音頭である、が、松阪の人間にとっては、いかにもゆっくりである。これだけ遅いと松阪スタイルではちょっと踊れない。南勢地区でも、とびきりゆっくりな人であった。それと、ご理解いただきたい。この時点で70代半ばなのである。若いころは、いかほどに、と想像してしまう。大泉氏の評、「大した音頭やった」と。
吉田といえば吉田御殿といわれるほどの十八番、鼠小僧次郎吉 吉原百人切り 壺阪霊験記、以上、四題を紹介する。