すでに農家グループが今日の作業のために、とお昼ご飯を用意しているらしい。実際は雨でなんの作業もしていない。
天候に合わせてスケジュールを調整する、というのは自分の都合であったのかもしれない。いろいろな準備を今日のためにしてきていて、簡単に明日へスライドさせる、ともいかないようだ。農家グループへもしっかりと説明しないといけないだろう。
雨はまだ降っている。やっぱり多くの手戻りを覚悟しながら、明日に順延するしかないのか。
ともかくお昼があるから、ということで研修参加者(農業省スタッフ)とともにいただくことにする。
農家グループの御宅に移動する途中、材木用カッターを見かけた。
製材業も行っているようだ。
農家グループの家。この家はビジネスをやっていてややお金があるようだ。国道沿線で近くの家には電気も来ているようだ。
グループの作物保管所を見学する。コンテナに詰めて出荷する体制が整えられていた。
さやえんどう、を対象作物としてその生産研修を受けている。
木組みで設置されたビニールハウス。片側はまだ吹き抜けだけど、中は温かい。雨に濡れて寒い思いをしていたところだったから、ほっと気が休まる。
お昼もいただいたところで、グループへの挨拶と今後の予定を説明する。
午後2時、このころやっと雨が止んで青空も見え始めていた。明日に作業を順延するより、これから作業を始めたほうが農家グループも納得するだろう。残業は必至だけど。
何よりも農家グループが今から作業する、とのやる気に、ほとんど順延を決定しかけていた農業省スタッフらも方針を変えたようだ。
作業が始まった。

途中で見かけた光景。砂利道でも粘土分が多いと雨が降ってぬかるみ、車両が泥にとられて身動きとれなくなっている。路面は水が溜まらないよう、かまぼこ型にしているから、端の低い側溝部にはまることが多いようだ。
雨で午前中はしばらく待機。30人近い参加者が各自で現場へやってきている。近くのカフェで三々五々、時間をつぶす。
傘を買って歩いて雨の様子の道を見ることにした。

国道沿いでも、側溝がうまく機能していなくて、道路端を水が流れていた。歩くには道路中心部に寄るしかなく、車も時折来るからなかなか危なく不便である。

砂利、土の道は長雨が降るとどうもいけない。排水性のよい良質な砂利を十分な層厚でしっかり締固められればいいのだろうが、それでもアスファルト、コンクリート舗装のようにはいかない。そう思うとアスファルト舗装道路のありがたさを感じる。

対象道路の接続部付近では大きな水たまりができている。窪地になっていて水の逃げ場がない。

雨の中を、ロバで材木を運ぶ人がいた。雨で人もロバも気が乗らなさそうだった。

対象道路。水たまりが大きくなっている。

施工前の様子。
昼12時ごろになっても雨が止まない。明日に延期するのか、もう少し待って雨が止むことに期待するのか。判断が難しい。
現場へやってきた。研修参加者に現場を見て道路整備計画を具体的にたてて、必要となる土のうの数や砂利の量、排水計画をたててもらう。そして次の日に、農家グループと一緒に作業を行うときの役割分担をする。
舗装道路に接続する畑に挟まれた道が対象だ。
道路面が周りより低いために水たまりとなっている。深いところでは30 cm以上にもなる。長靴は必須、それでも気を付けないと深くて長靴の中も濡れてしまう。
水はどこからやってくるのか、どう排水できるのか。国道自体の排水施設も問題があるようで、その様子を確認しているエンジニアたち。
丘の畑までやってきて、水の出所を探り、道路へ流出する水量をどうすれば減らせるか、調査し助言した。
丘の上からの側溝をたどると国道に出た。巡り巡ってこの水が先の道路で滞留しているらしい。
やっと現場へ戻ってきて、どう整備するかを検討中。隣接する畑へ排水し、その水を農作業に利用できるように畑にも溝を掘る計画だ。畑の持ち主にも同意を得た。
計画が決まり、明日の作業分担をしている様子。
小雨が降っていて明日の天気はどうなるか。遅れていた雨季が始まったようだ。
最初に、農家グループやコミュニティによる道路整備活動をサポートしてもらえそうな関係機関を回る。彼らに土のうを使った農道整備手法を認識してもらうことで、今後、農家グループの活動への支援(砂利やカルバート(パイプ)などの二次製品の調達)を引き出すことが狙いだ。
道路はどの機関も重要視しているなかで、問題個所の補修の有効性を認識していたことに驚いた。部分補修(延長100 m、幅員4 m程度)は、農家グループによる農道整備でターゲットしている範囲だ。
当初は、ある部分を直しても他の部分の損傷が進む、全幅全長的な道路整備ありきで部分補修を中途半端な道路整備として見られる傾向があった。

ケニアでは今、地方自治が促進されるなかで、行政区分の名称、仕組みの過渡期にある。カウンティのオフィスを訪れた。

カウンティの農業省事務次官に面会。新しいオフィスで椅子がなく、農業省県事務所スタッフには起立のままで少し申し訳なかった。

農業省県事務所は、本当に顔が広い。ここでは各区の事務官らを集めてもらって、農道整備活動について説明した。
この後、周辺県から集まってきた農業省スタッフ(研修参加者)の登録をして初日を終えた。
二日目は座学と、事務所近くでの小規模なデモを実施した。

座学の様子

エンジニア(研修参加者)向けの小規模なデモ
翌日からはいよいよ農家グループが直したい、と要請してきたところでの研修である。
どんな現場なのかまだ見ていない、今でも初めての現場に立つときは気が張る。
自分もカウンターパートもどういう工程が必要となるのかはっきりとした計画ができていないところで、農家グループを巻き込んでエンジニアへ研修することになる。
半年ぶりにアフリカにやってきた。その間、パプアニューギニア、東ティモールに滞在していたので久しぶりに見る風景が新鮮だ。
ジャカランダの花が満開。日本の桜はピンクだけど、こちらは紫。
地方都市への移動中に通過した、稲作が盛んなムベヤの田園風景。日本の技術支援が貢献しているらしい。
精米所、そして販売所。プロジェクトのカウンターパートとドライバーさんによると、品質の悪いお米と混ぜて売られているから、気を付けた方がよいとのこと。
お米といえば、ちょうど出張先の農業省事務所前に米(ネリカ米)の種が積まれていた。
ネリカ米はこんな色をしていた。
やってきた町はバナナの産地。国道沿いに都市へ搬送されるバナナが積まれていた。
広大な風景に、アフリカの大らかさを感じたような気がした。
ケニアで業務を開始した。土曜日、休日を利用して大学の後輩がケニアの大学、ジョモケニアッタ農工大学で研究をしているのでその様子を見に行ってきた。問題土とされる粘土をなんとか使えるようにしよう、とがんばっている。
構内を移動中、2007年に自分の兄弟子にあたるこの大学の講師が実験をしていた場所を通りかかった。
2007年3月、実験中の様子。粘土質の道路にみたてて、土のうを敷くことでどれだけ通行性が向上するか実験をしていた。
2007年3月の様子
2013年11月の様子。2007年3月にはなかった建物(写真右)が建っている。
一日の利用料が約30円のプールが作られていた。
後輩(右)が準備している走行用の実験場。現地の人の助けを借りながら、着実に準備を進めている様子に感心した。
2007年1月に自分が初めてこの大学を訪れたときの様子。初めて、というのは厳密には正確ではなく1997年に学生旅行で恩師に連れられてこの大学構内に来たことがある。ほとんど記憶にはないが、恩師が「研究費をいかに確保するかが大事」と当時の副学長にお話しをされていたことを覚えている。
2013年11月、同じ建物の様子。この建物は・・・
豚小屋でした。
後輩がケニアの大学まで来てしっかり実験をしている様子に、時間の流れを思い感慨深い。大学の雰囲気、後輩のがんばりに、改めて自分も大きな刺激を受けた。
アジア開発銀行協調プロジェクトでは、建設会社によるのではなく、住民グループが道路整備を進めている。もちろん、国際NGOが住民グループを支援し資材の調達、施工監督、労賃(契約金)の支払いを行っている。
2013年7月。川沿いの道が洪水時には水につかり通れなくなる、というので山側に新しいルートを切り開いた。表層整形まで終えたところ。すぐに新ルート沿線に小学校が建設された。
2013年10月。車両の走行を通して、表層材の砂利の隙間が間詰めされ、十分締固められていることがわかる。
2013年7月。延長幅ともに約5 mの内断面をもつようなカルバートが設置されようとしていた。乾季では川底を走行するが、雨季には水かさが増すため車両走行不能となっていた。
2013年10月、住民グループが国際NGO(CARE)の技術指導を受けてカルバートを建設中。梁、スラブ、手すり柱は鉄筋コンクリートであった。支保工もしっかりと組まれていた。
2013年7月、ボックスカルバート壁部を石積みで建設中
2013年10月、完成したカルバート。今後背面の埋戻しが行われると、車両の通行が可能となる。
新しく切り開いた道路部。谷側の斜面を保護する必要があり、土のう工法が採用された。
住民グループでもコンクリート構造物について、資材と技術指導があればここまでできる、ということを見せてもらったように思う。
住民自身も構造物ができてくるにつれて、大きな自信を持つようになったという。
住民主体の農道整備と施工業者による農道整備、どっちがいいというのではなく、特徴を捉えたうえで事業の目的に応じて各々の手法が採用されるといいと考えている。
東ティモールで、国道整備も進められている。地方都市への出張の際に、移動時間の短縮、快適さもあり恩恵を感じる。
重機が活躍している。
工事中ということで、埃の中を走行することも。
国道沿いの擁壁設置の現場。ここでは人力が主役。
海外沿いの完成後一部開通した箇所。
田んぼの脇を走ります。
首都からある地方都市を経て、さらに地方へ移動しようとするときに通った国道のある箇所。道路幅の半分以上がくずれてしまっています。
なんとか通ることができました。雨季には通れなくなってしまうのではと思う。すると国道が遮断され、この先の地方部は孤立することになってしまう。
東ティモールでは、農道整備は「本格的な工事」として捉えて実施されている。建設会社が受注、道路沿線住民を労働力として雇用し工事を行う。ドナー機関の支援も受けて道幅4 m、延長1 kmあたりUSD 100,000の費用がかかっている。
技術支援や協力している事業では、住民主体となっていて(建設会社を介さない)、道幅4
m、延長1 kmあたりのコストはUSD 35,000である。
本格的な工事の進捗も観察することができた。
2013年7月の施工の様子。側溝を建設中。セメント、砂、石、水(セメント混合用)が道路上に置かれている。同年4月に施工開始し、11月終了予定。
上記写真箇所の、2013年10月の様子。側溝は完成し、路面が平面に均されている。あとは、路面中央が高く両端が低くなるようなかまぼこ型に整形し、固めた後で厚さ10 cmとなるように路盤材を撒きだし固める。乾季では車が走ると埃が舞う。しばらく仕方がないと我慢するのか、次の段階としてアスファルト舗装を検討することになる。
2013年7月、ある区間では大型のローラーで締固めが行われていた。
上記写真と同区間の完成した路面の様子(2013年10月)、路面の横断方向の勾配は約8%らしい。車両の走行や雨等で4~5%に落ち着くとのことだった。
2013年10月現在、表層を仕上げているところ。
のぼりこう配がきついところでは、コンクリート舗装が行われていた。
多くのコンクリートがいるから、エンジン式のミキサーが利用されていた。
お金がかかる分、品質の良い道路が農村部に登場しそうだ。一緒に視察にきていた人が、ここに至るまでの国道状況を振り返り、国道にもコンクリート舗装を導入すればよいのでは、と言っていた。
現時点で東ティモールの道路状況や実施されている道路整備事業の様子を見ると、一部の農道の質は国道よりもいいことになる。