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道普請人_http://coreroad.org/のブログ

道普請人HP, http://coreroad.org/

協力隊の方へ土のう工法を説明した場で、シニアボランティアの岸様から、マプト郊外の灌漑スキームを見に行きませんか、と誘っていただいた。農業土木系の隊員さん二人を連れていく予定で、車に余裕があるから、とのこと。大変うれしく、合流させていただいた。

灌漑施設の管理組合の組合長さん(写真中央)


河川からの取水箇所、ポンプで水路まで引き上げる。



新たにパイプが配置され、灌漑による畑作が始まろうとする箇所


地中のパイプが顔を出す箇所


水源(川)近くに設置されたポンプ小屋、隣は昔に利用されていたポンプ


引退しているポンプ




その横のポンプ小屋内の様子、分電盤もある



新しいポンプ


バナナプランテーション(南アフリカ資本)



苗床


一画ではトマト栽培をしていた。畝を作って水が畑に行きわたるようにしていた。ケニアで関わる、園芸農業事業でのモデル農家グループの畑を思い出した。

 マプトは南アフリカ共和国にも近く、その発展ぶりには驚かされた。途上国とはいえ首都の発展ぶり、は傾向として認識してはいたが、その度合いが桁外れだった。

 

 
国道の一部は有料道路化されているし、日本の
ETCのようなレーンも設置されていた。利用者はまだまだ少ないようだったが。

 


 町中の車の多さはこんな感じである。

 

 
地方都市への長距離バスはこんな様子。天井にこんなに荷物を積んで引っ越しでもするのか、という勢いである。

 

 
サッカー場が整備されていたり。

 

 
国道の環状線バイパスが作られているそうです。

 

 
今回首都から遠出した範囲(約
100 km)まではこんないい状態の国道でした。

2013年に土のう工法のデモが行われた場所へ向かった。サトウキビ畑のプランテーションの側と言われ、そこまでたどり着いたのは良かった。

 

この近くか、と最初に向かったところは全くのあさっての方向だった。道にできた大きなくぼみを埋めるために、砂質土が積まれている。

 広大なサトウキビ畑。同じような景色が続く

灌漑水路、護岸には土のうが利用されている。


ケニアのサトウキビ畑と同様、多少の泥上の路面も平気なトラクターが利用されている。

 連れてきてもらっている運転手は前回のデモ時には現場に来ていないという。サトウキビ畑の中を長い間さまよっていた。運転手は電話で前回担当した同僚に電話で連絡をとっている。同じ言語でも言葉で伝えるのはなかなか難しいのだろう。

 

 諦めるしかないのか、と思いかけたころ、やっと現場が見つかった。

 モザンビークの首都マプトへやってきた。自分にとって初めて訪れる国。ポルトガル語圏でもあり、どこまで思うような活動ができるか、力が入る。物価は高いものの治安はそれほど問題なさそうだ。


 モザンビークでは理事長の木村教授が2011年のマプトでの学会発表を行ったところ、その場にいた現地道路管理機関からの協力の要請があった。NEXCO西日本からの寄付を通した支援、同社から派遣されているJICA専門家の現地でのアレンジの協力を得て20133月に現地でセミナー、デモを行った。この時にはケニア事務所のスタッフも補助として活動した。

セミナーで講演する木村教授(20133月)

ケニアでの活動を紹介するケニア事務所スタッフのビオット(20133月)

3202013年3月デモの様子

 その後道路管理者から、土のう工法のマニュアル英語版のポルトガル版への翻訳許可要請があった。
 
 開発途上国で予算に制約のあるなか、住民の力、現地の資材を有効に利用して農道、未舗装道路を少しでもよくできないか、そんな思いがある中で、土のう工法が注目されたのだと思う。モザンビークの道路管理者が、自分たちの技術、活動に期待しているとの手応えを得ていた。

 
 道路管理者から今後土のう工法の全国展開をめざして打合せすることの合意を得て、マプトへ入り道路管理機関事務所を訪れた。忙しい担当者が常に相手にしてくれるわけではない。顔を見せてこっちも本気ということがわかり、上司との打合せのための調整を始める。それだけでもありがたいことだ。

道路管理機関、ポルトガル語表示、通称ANE(アネ)

ANEの敷地内。タワークレーンがたって新しいビルを建設していた。南アフリカに近くその影響を受けている。

ANE内の食堂。プロジェクトの方によると、ここで食べるとよくお腹を壊すらしい?

ANEスタッフ送迎車両、機材ヤードにて。

お世話になったJICA藤島専門家(NEXCO西日本より派遣、写真左)と記念撮影

 
同機関にいる日本人の方のサポートには本当に助けられた。執務スペースを提供していただき、ご自身の仕事仲間である道路管理機関担当者に、私のための打合せ時間について調整してくれた。所属機関、立場も違うが、日本人、土木屋という共通項があった。

 多忙な中、道路管理機関の総裁、維持管理局局長、維持管理局部長と打合せをすることができ、パイロット事業実施に向けてまず一歩踏み出せたと思う。
2014年はモザンビークでの活動から始まった。香港、ヨハネスブルグを経由する。

年末、年賀状を整理していたときに、目に留まったのが以前所属していた建設会社の同期からの年賀状。会社の国際事業部にいる彼は今、香港にいるらしい。

往路、香港では乗継まで10時間あるから、会えないかな。そう思い久しぶりにその同期に連絡をした。忙しいそうだが時間をとってくれるとのこと。

彼とは面白い因縁がある。2005年9月、自分はその会社を辞めて大学博士課程で研究していたとき、土のうの道直しを初めて実践するためにパプアニューギニアを訪れた。そこで、会社からパプアニューギニアの現場で仕事をしていた彼と出くわしたのである。

写真左から自分、その友人、大学院の後輩
パプアニューギニアの中華料理屋にて

あれ以来の再会。舞台は香港である。近代的なビル、ロープウェイが見られる都会だ。











仕事に戻る友人(写真左)と駅前で別れた。次はどこで会えるだろう?

2013年の締めくくりに、「パナソニックNPOサポートファンドfor アフリカ」(http://panasonic.co.jp/citizenship/pnsf/africa/npo_mina.html)の助成を受けて、活動展示会を堺町画廊で行った。



町屋の台所を改装した展示会場。この時はミャンマーからの留学生が話を聞いてくれていた。いろいろな出会いがあるのも、展示会の醍醐味だ。



酒井職員によるアフリカでの活動報告



夏にスタディツアーに参加した学生さんたちが、彼らの体験を彼ら目線で簡潔に報告してくれた。



理事として?最後に、これまでのご支援や皆さんに関心を寄せていただいていることに感謝し、今後の活動にもご期待くださいと挨拶をした。


堺町画廊は京都の町中にある町屋を利用した展示会場。
http://sakaimachi-garow.com/blog/?page_id=2

ここのオーナーの伏原さんには団体設立時からお世話になっている。その出会いはNPO法人設立の認証期間中だった2007年11月に遡る。今から約6年前だ。


6年前、自分は学位を取得後で社会人としてどう生きていくのか、暗中模索の中で一歩を踏み出そうとしていた時だった。NPO法人道普請人(みちぶしんびと)を立ち上げ「土のう」に道路整備活動を各地で広げながら生きていく。

だけど団体組織運営(経営)の方法もわからない、助成金の集め方もわからない、寄付金会費をどう集めていいのかもわからない、全くの素人だった。活動資金はもとより自分の給与をどう確保していくのか、気ばかり焦り不安を募らせていた。

まずは広報、新聞に載せることだ、と知人の方から記者の方を紹介してもらい、取材を受けて載せていただいたのが上記の記事(2007年11月15日の京都新聞夕刊)

この記事を通してアフリカでポレポレ基金(http://popof-japan.com/blog/)の活動をされている伏原さんと知り合うことになった。当時は将来への不安を訴えていたことを覚えている。

あれから、6年、下の記事が京都新聞2013年12月26日の記事に出た。


6年前には想像もできなかった今がある。団体活動は15か国に広がり直営で整備した道路の距離も約110 km. 今では自分のみならず職員もかかえ、自前ではあるが設定した給与規定どおりの月給が支給できるようになっている。自信とやりがいを感じている自分がいる。

6年前にくじけずに挑戦し続けられることができてよかったと思う。叱咤激励し根気よくご指導いただいた恩師のお陰である。

ここまで来れたのは多くの方の温かいご支援が協力があってのことだと思う。初心を忘れず今の状況にあぐらをかくのではなく、大きな視野をもってさらに精進を重ねたい。

日本発で、国際社会に一目置かれる、魅力あるNPOを目指す。2014年もどうぞ道普請人(みちぶしんびと)の活動にご期待ください。




トヨタ環境活動助成プログラムの授与式の写真が、トヨタ環境部より送られてきた。自分のカメラを持参するのを忘れていたので、いい記念になった。

 

 

 

トヨタからは授与式参加の御礼の手紙も、届けられていた。助成団体の、助成する団体に対する姿勢に驚く。しっかりと期待に応えていきたい。

トヨタ環境活動助成プログラムの、授与式に出席した。

このいただいた助成金をもとに、道普請人のケニア事務所が中心となり「ケニア、バリンゴ山間地の農民グループによる樹木苗作りと「土のう」を使った土壌保全」という事業を2年間にわたり実施する。

地すべり箇所

 
ケニアでは樹木の伐採がすすみ、山間部では雨季に地すべりが発生するなど、地域に住む人々のくらしに影響が出ている。ケニア政府は危機感を募らせ、農地面積の10%は森林で覆うように、との指導をしている。

 植林活動、土壌流出防止対策が必要だ。そこで苗床の設置、苗木の生産、苗木の生産に必要な水の供給のためのタンクの設置、植林、斜面地での土壌保全策(高さ50 cm程度の土のうを利用した盛土)、を行う。農家グループに対して上記の技術移転を行う。農家グループが生産した苗木は、ケニア政府の政策もあり、近隣コミュニティや行政から買い取られることが見込まれる。現金収入源となることで、苗木生産活動が継続される。

農家グループにより生産されている苗木



斜面地に堰堤を作る際、同じ標高の等高線上に設置することが効果的である。等高線を結ぶための簡便な定規

 種子や土のう袋、タンク、フェンス材料、研修費用について助成を受けた。

 授与式は紀尾井町ビルの19階で開催された。遠くに富士山が見え荘厳な雰囲気だった。国内活動で14団体、海外で10団体が助成を受けており、各団体が3分間の持ち時間でこれから実施する助成活動内容を発表した。いろんな活動があり、興味深かった。

 関西弁を出しながら、でも早口になってしまって、自分も活動内容を発表した。活動成果に期待していただければと思う。

 懇親会ではトヨタの方に、「テレビで紹介されていましたね(テレビ東京、佐藤隆太の地球元気)」、「以前に活動内容を報告していただきましたね」、「道普請人の活動には期待しています」と声をかけていただいた。

 「車は道が必要だから」と肩を叩かれ、「現地では道なき道を道具を載せて行くことがありあますが、トヨタ、ハイラックスやランドクルーザーのおかげで大助かりです」と応えた。

 NPOとしてさらに充実した活動を進めたい。


 

金曜日、研修5日目最終日。

参加者には理解度を問う試験を受けてもらい、振り返りと今後の活動について整理する。

 
試験前、配布されたプレゼン資料に目を通す参加者ら

このあと、昨日の施工箇所を確認することにした。

 

午前中の雨が止んでいた時に作業が行われた形跡があった。昨日引きあげるときには覆いきれなかった箇所に、きちんと礫質土が撒かれていた。

 
作業前の様子

写真手前のコンクリートのカルバートに至るまで砂利が撒かれて、車高の低い車も進入できるようになった。

きっと農家グループも昨日の作業を通じて、これで直せる!という手ごたえを感じたのではないだろうか。残り作業をやってくれるか、こちらのメッセージがきちんと伝わっているかという心配は全くの杞憂だった。

礫質土がこれまでの支援ですぐ近くまで運搬されていた。それでも地元の人こそが道を直したいという気持ちが強いだろうし、その気持ちに応えることができたことがうれしく思う。

 
カウンターパート(左端)と農業省県事務所のスタッフ。彼らも道の様子に満足そうだ。


 
農家グループメンバーが我々の来訪を聞きつけてやってきた。うれしそうに、そして誇らしく今日の午前中行った作業のこと、またこれから後100 m先まで自分たちで直していくんだ、と語ってくれた。

 
農家グループの声を、うれしそうに聞く農業省スタッフ。そんな様子をまたうれしく思う自分がいた。

 
農業省スタッフと農家グループ。彼らが一体となってケニアの農業を支えているようだ。自分は撮影役、黒子でいいと思う。「土のう」という言葉と日本の技術支援で研修が行われたことが、彼らの頭には刻まれている。

 
でもしっかり記念に自分の写真も撮ってもらいました。







農家グループの「作業をする!」という声に押されて、作業が開始された。

また夕方から雨が降るかもしれないので、気が急く。まず水を切って排水し路面の泥をかいだす。

礫質土を撒いて平坦にした。

 

ここでいったん手を止めて、昨日決めた担当のエンジニアが全体の作業工程を農家グループへ説明する。研修の目的は、農家グループを県事務所のエンジニアらが土のうによる道路整備について教えられるようにすることだ。

きちんと直して研修の意味があるが、道路を直すことだけに一生懸命にはなっていられない。

 
約100 m先の礫質土置き場で作成された土のうと土が、地元の住民が所有するトラクターによって運ばれてくる。時間が限られたなかで、トラクターを調達できたことは助かる。

 
 お馴染みの締固めの様子

 
 土を袋にいれて人力で叩いてここまで固くなるのか、という気づきと驚きで、作業している人々の仕事ぶりが一段と加速される。この瞬間に、これまでの努力が報われる思いがし、自分の方もさらにがんばろうという刺激を得る。この感覚、久しぶりのような気がした。

 
 農業省県事務所の所長(右から3人目)も作業に参加。土のう層の上に、礫質土を撒いて厚さ約5 cmになるよう表層を仕上げる。

 
 途中日が差す瞬間もあったが、夕方6時ごろになるとまた雨が降りだした。なんとか、並べた土のう上に土をかぶせるところまではできた。

砂利をさらに敷設して仕上げる部分があるが、明日以降、農家グループらに継続して行うよう伝えた。中途半端で終えるとせっかくのこれまでの作業効果が目立たなくなってしまうから、農家グループがきちんと作業を継続してくれるのか気がかりだった。