当法人がパプアニューギニアで、アジア開発銀行とマネジメント契約を結んで進めているプロジェクトのお金の流れを説明します。
まずプロジェクトのお金は2百万ドル、日本政府よりアジア開発銀行に拠出されています。「Japan Fund for Poverty Reduction (JFPR)」と呼ばれています。アジア開発銀行が、このお金の使い方をデザインしできたのが今のプロジェクトです。
アジア開発銀行は「銀行」ですのでお金を途上国政府に貸し利子を付けて返してもらうこともしています。今回は「Grant」、銀行がパプアニューギニア政府へあげた、ことになっています。
アジア開発銀行はJFPRというお金で実施すべきプロジェクトをデザインし、プロジェクトと言う形でパプアニューギニア政府へ譲渡しました。しかし、きちんとお金が使われているのか、デザイン通りにプロジェクトが進捗しているのかを監督します。そのため、お金は実際にはまだアジア開発銀行(フィリピン、マニラ)の中にあります。
日々現場で支出するお金はどうしているのでしょうか?
現場のプロジェクト事務所で地域の銀行に口座を開設、そこに10万ドルをアジア開発銀行より振り込んでもらいました。この10万ドルを元資金に日々の活動をし支払を進めます。この支出に関しては、プロジェクト(マネジメント契約をした道普請人)に一任されています。おかげで、現場の進捗に合わせてタイムリーに支払を済ますことで活動をスムーズに進めることができます。もちろん、アジア開発銀行の定めてルールに従いお金を使い、記録していく必要があります。
プロジェクトでは、自分の口座の残額を常に気にする必要があります。10万ドルは活動が最盛期になると2カ月程度でなくなってしまいます。その予測をたて早めにアジア開発銀行に、使った分を補充してもらう必要があります。これをうまくやらないと、口座にお金がなくてプロジェクトを進めることができない事態になってしまいます。
補充してもらうにはどんな手続きが必要か?
支出内容を報告し、アジア開発銀行のルールに従い真にプロジェクトに必要な支払をしていることを報告します。
まず、パプアニューギニア政府でプロジェクト担当機関である道路省に報告します。道路省の事務次官が確認のサインをします。
次に道路省事務次官の確認が得られた支出報告書が、パプアニューギニア政府の会計局へ行きます。会計局の担当事務次官がさらに確認のサインをします。そして支出報告書が、やっとマニラへ郵送されることになります。
これは、プロジェクト資金はパプアニューギニア政府のもの、という建前があるからです。
マニラのアジア開発銀行内でもいくつかの部署で確認をうけ、やっと支出分のお金をプロジェクト口座に補充されることになります。
プロジェクト拠点が地方都市にあり、サインをもらう道路省や会計局の事務次官たちはもちろん首都にいます。国内郵便にも3,4日かかることになってしまいます。
1.支出報告書の作成
2.首都へ向けて郵送
3.道路省事務次官の確認
4.会計局へ郵送
5.会計局事務次官の確認
6.マニラへ向けて郵送
7.プロジェクト口座の補充
このほどアジア開発銀行からの指摘を受けながら、ようやく一回目の口座補充に向けた必要書類を揃えることができました。道路省内や会計局内で書類が回るのが遅れたりと、プロジェクトサイドではどうしようもないところもありました。
とにかく早めに支出報告書を作成することが重要です。アジア開発銀行の担当者からも助言を受けて、今上限に設定されている10万ドルの額を倍増してもらうよう手続きを進めます。この手続きも道路省、会計局を巻き込んで実施する必要があります。
今回初めてアジア開発銀行プロジェクトをマネジメントする機会を得て、国際機関の実施プロジェクト形態についてよく知ることができました。