パプアニューギニアで約1ヶ月活動をして、草の根レベルの技術屋が求められていることを感じた。
よく、現地の人の援助慣れや外国人を見るとすぐお金を要求する、ということが実しやかに言われる。私たちも正直、時折そういう言動に辟易することはある。だけど、草の根レベルでの活動、例えば村へ泊まって現地を調査し村の人々と道直しの方法を考え準備をする中で、彼らの新しい知恵を身につけようとする姿勢やなんとか生活環境を良くしたいという熱意に触れることも多い。なんともいえない衝動が湧き上がり、なんとか彼らの期待に応えたいという思いに駆られる。エンジニアとしてのスキルをもっと磨きたい、そしてそのノウハウを彼らのところへ届けたい、と思う。
道直しに励む村人
町で何度か村の人々から声を掛けられた。
現地で乗っている車のドアに張っているステッカーを見て、どういう団体かと聞いてくる。大きな期待をしているかもしれないが、正直私たちが提供できること(お金ではなく簡便な道直しの方法を指導する)を伝える。すると、自分達は村の有志の集まりで時々道直しを実施している、よい方法があれば教えて欲しい。
打合せのために寄った州の土木工事事務所で、陳情に来ていた村人から声を掛けられる。
道直しの良い計画全体図を描くことができない、予算も立てられない。もし計画や予算が分かればそれで地元の政治家へ訴えて予算を獲得したい。その計画作りを手伝ってくれないか。
写真中の村人に、地元の道の様子を案内される。
農村部の小さな農道を整備の責任を持つ国会議員も、エンジニアは高額で雇えないという。せっかく予算を輩出しているのに、現場監督がいなくて有効に整備が行われていない、という結果になってしまう。
私たちのNGOは大きな予算も無いが、上記のような要望に応え技術指導をし、草の根のエンジニアを育て貢献することは可能である。
赤ひげ先生、という黒澤明監督の映画に出てくるお医者さんの話を聞いたことがある。公儀に仕えるのではなく庶民の中にあって直接人々のために医療活動を展開したと聞く。そのエンジニア版というところだろうか。
刈った草の処理場の指定、そこまで運ぶ方法(せめて一輪車)などの段取りも併せて必要になる。
草刈後の様子。刈った草が放置され、側溝を埋めてしまっている。それでも草を刈った住民には労務代が国会議員より支払われる。