店が閉まってしまう | 道普請人_http://coreroad.org/のブログ

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坂部をセメントを使って補修しようとしている。これまでとは違い、一車線しかない道にコンクリートを打つので養生の方法(乾かしている間、車は通れない)やセメントや補強財として鉄筋やワイヤーメッシュの代わりに利用するフェンスなど、施工費用がかかっていて無駄にはできない。一番気になるのは天気。ゴロカは雨季に入りつつあるようで、夕方になると雨が降る可能性が高い。そこで施工範囲はまず10mとし、2日間で施工することを予定していた。一日目は基礎まで、二日目はその上にコンクリートを打つ、どの日も午前中で雨降る前に十分終わるだろうと考えていた。


山奥の村にでも、コンクリート基礎の上に建てられた家を見ることがある。大抵は教会系の建物であることが多い。コンクリートは人々にとって高価なものには違いないが、見たことも無い材料、というわけではない。


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写真右端がコンクリート基礎の上に建つ建物、それ以外の家はブッシュマテリアルの家


今回の道路整備でキーになるのは村にいる大工さん。彼はPMV(村と町を往復するトラック)の運転手もしているから、道を整備しようという動機もあるしコンクリートを打つノウハウも持っている。


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ケレナガ村の大工、兼ドライバー


毎週火曜日がコミュニティワークといってみんなで公共のために働く日だそうだ。だから火曜日、水曜日で施工することにした。月曜までに、土のう袋200袋に近くの川で砂利を詰めて道路沿いに置いておく。すべて村のリーダー、アリスと相談して決めた。


日曜日、準備状況が気になる私はケレナガ村に出向いて、アリスと話をする。事前に村の大工とも話しをしておきたかったからだ。ここから予定は未定の現実が始まる。

まず大工さんがいない。家族によると、海岸沿いの町へ野菜を売りに出かけていて、戻るのは火曜日だとか。アリスには施工日には必ず大工さんを立ち合わせてといっていたつもりだったが。

そしてこれから、土のう袋を村人に割り当てて川原で川砂利を詰め、道路脇に置くように指示を出すという。ぎりぎりで不安そうな顔をする私には、アリスは大丈夫、と言い張る。まあ、信じるしかない。

さらに、火曜日は村の誰かの裁判が町であって、村人みんなで応援に行く、と言い出す。


結局水曜日、一日でやることとなった。ただし、セメントやフェンスなど材料や道具は町の金物屋へ前日の火曜日に、ケレナガ村のトラックで買いに行く約束をした。


火曜日、裁判が長引いている、とかでトラックが来ずなかなか買出しにいけない。夕方近くになり5時の閉店時間が近づいてくる。ようやく、アリスがトラックに乗って現れる。なんとか間に合った。


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町の金物屋で買い物。


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セメントやネットフェンスを積む。


トラック運転手(大工とは別の車)が、この材料の運搬代をアリスに要求しているようだった。私は無視した。このいましたばかりの大きな買い物の費用はこっちがだしているんだぞ、そしてのその材料は君らの村の整備に使うんやで、と心の中で叫んでいた。さすがにアリスは、私の気持ちをわかっているようで、運転手を説得した。なかなかどこでも一枚岩で、というわけにはいかないのだろう。アリスがふとため息混じりに、すべての村人が協力的ではない、とつぶやいた。これも現実なのだと思う。


この運転手、翌日の施工には一日参加していた。やはり、自分が一番恩恵を受けることをわかっているにちがいない。

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買出し後、現地事務所で一輪車、寝袋をピックアップしてケレナガ村へ向かった。今夜は村に泊まって明日朝一番から開始できるようにしたい、と思った。


村へ入る途中、道沿いに土のうが置かれていた。アリスはきちんと段取りしていた。いろいろ買い込んだ材料や道具の保管場所が気になるところだったが、とても管理しきれなかった。ただ翌朝確認すると、きちんと数は揃っていたし、セメントは乾燥した場所で保管されていた。


どこまで任せればよいのか、いつもそのさじ加減が難しい。村人を決して過小評価するつもりはないのだが、思わぬ展開がつきまとう。このどきどき感、驚き、いい意味での期待の裏切り、これらがこの活動の醍醐味かもしれない。


この日に大工とも話しをすることができ、あとは翌日の朝を迎えるだけとなった。幸運なことにこの日は雨が降らなかった。明日の施工はうまく行くような気がする。