ケニアではJICAが実施する農村開発プロジェクトの、農村インフラ担当として仕事をしている。同じプロジェクトに属する専門家の方は農業分野の方ばかり。つい、他の道路補修プロジェクトに専門家としてこられている土木屋さんとの話がはずむ。ケニアの道路省で働かれており、幹線道路の施工現場を一緒に見学させていただくことになった。
まずは、施工現場へ向かう途中に輪荷重を計測している所に寄った。ナイロビ市内、ケニアの幹線道路ではポットホールが形成され問題になっているが、その一因に過積載が挙げられる。そこで大型車両の輪荷重を測定する箇所が海岸部のモンバサ港と首都ナイロビを結ぶ幹線道路、モンバサ道路などに設けられている。過積載の運転手や運搬会社には罰金が科せられるそうだ。
道路保全のために必要な施設であるが、計測箇所への進入、退出ルートがひどい状態である。コンクリート舗装にでもすればよいと思うのだが、大きな礫が敷設されていて路面の起伏が激しい。
次にモンバサ道路のバイパスを施工している箇所に寄った。橋台部の背後の踏掛け版を施工していた。鉄筋を人力で曲げている。日本の異型鉄筋とは異なり、断面が四角の鉄筋棒をねじったような形であった。町中の建物の施工現場などもどうしても目に付いてしまうのだが、鉄筋がたいてい錆びていることが気になる。日本ではとても使えない品質だ。
鉄筋を曲げる作業をしているところ
ケニアには海岸部から内陸部にオイル供給のためにパイプラインが敷かれている。ちょうど新しいバイパスルートをパイプラインが横断している箇所があり、そのパイプの防護工を施工している現場があった。始めは何を施工しているかわからず、道路専門家の方と話をしながら施工の様子を写真に撮ろうとすると、側にいた現地エンジニアからするどく咎められた。撮影許可のレターを持っているのか、と詰め寄られた。
レターなど持つはずも無かったのだが、自己紹介し日本から来た専門家であることを伝えると急にエンジニアの態度が軟化した。話をすると隣工区で中国業者が施工しており、そこの人物が偵察に来たと思ったらしい。エンジニアは以前、日本の無償支援のODA事業での道路施工現場で働いていたことがあり、日本人、日本の仕事には信頼があるようだ。
その後話しがはずみ、防護工の構造など丁寧に教えてくれた。
エンジニアが一緒に仕事をした日本の会社や当時働かれた日本人の方を知るよしもないが、現地のエンジニアから「日本」が信頼されていることを感じることができ、とてもいい気分だった。
実は親切だったエンジニアから説明を受ける