ロビンソン・クルーソー | 道普請人_http://coreroad.org/のブログ

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 道普請人,の活動を進めるようになって恩師(理事長)より,「ロビンソン・クルーソーたれ!」と助言をいただいたことがある.航海途中に船が難破し無人島に漂着した主人公は,絶望の中にも貪欲に生きようとし,一人で道具も充分なものがないまま,現地で手に入るもので様々な工夫をしながら道具を作り生活していく.家,衣類,調理道具,狩道具,船と作り出されたものは数え切れない.こうした発想や工夫が,開発途上国において必要といえる.つい自分が機械に頼ろうとしたときに,恩師より受けた助言である.

 ある日,自宅の机の上に,「ロビンソン・クルーソー」(上下),岩波文庫が置かれていた.このエピソードを知った両親がくれたものだった.せっかくなので最近読み始めた.子供のときにダイジェスト版のような冒険物語を読んでいたが,この本格的な小説を読むのは初めてだ.無人島に漂着してからの章では,主人公の心情の記述が多く(他に登場人物がいないから仕方がないが),やや飽きていた.読み進むうちにようやく一緒に暮らすことになる「フライデー」が登場し,物語がまた盛り上がりはじめた.

 ロビンソン・クルーソーが土人である(文中の表現より)フライデーに対して,畑作や羊の飼育,チーズ作り,料理方法,宗教に関して言葉をつくして教えているシーンが出てくる.そしてロビンソン・クルーソーが,フライデーの能力,理性,情愛,恩義の念などについて,自分たちと同じものを持っている,と気づくくだりがある.

 道普請人の活動の醍醐味の一つとして感じていることに,様々な国の村の住民たちと道直しを進める過程の彼らとのやりとりにある.道直しのための私の計画,やり方を提案しそれに対する彼らの意見,作業が進み状況変化に伴う対応,彼らの言い分に対してゆずれるところ,ゆずれないところなど対等な立場での体当たりの付合がよい緊張感でもあり,とても楽しいところである.


(福林良典)