8月の上旬に手術の予定(『不整脈の手術・治療について…』)があったので、この夏の「青春18きっぷ」は利用するか迷うところだった。しかし、出かけたいという欲求を我慢することはできなかったので、結局購入して出かけることにした。一応、万一に備えて薬は持参だ。
そんな状況での1発目は手術前の8月初め、あまり遠くない関東圏内の未乗区間を選んだ。お目当てとなる吾妻(あがつま)線は群馬県の上越線渋川から西の大前まで延びる55.3キロの地方交通線で、末端の万座・鹿沢口-大前間が未乗区間として残っていた。
この区間、現在は日中の6時間半、全く電車が走っていない難易度の高い線区で、前回乗車した2008年夏の時は、往路で渋川→長野原草津口を、帰路で万座・鹿沢口→渋川を乗車している。(→『草津温泉行1』『草津温泉行3』) 実に16年振りの吾妻線の旅になる。
末端の大前まで行く電車は高崎8:53発(大前10:41着)の後、新前橋15:20発(大前17:11着)までないので、今回は後者で大前まで行く。日の短い冬だったら途中で暗くなりそうな時間帯だ。
上野13:05発籠原行の上野東京ラインの普通グリーン車に乗って籠原14:22着。湘南新宿ライン高崎行のガラガラの普通グリーン車に乗り換えて、籠原14:31発高崎15:04着。ここから跨線橋を渡って4両編成の両毛線小山行に乗り換えて、高崎15:08発の新前橋15:18着。高崎出発時には1両に20~30人ぐらいの立ち客がいたが、新前橋でかなりの乗客が降りる。
新前橋の乗り換え時間は2分だが、2面4線の同じホームの③番線から④番線への乗り換えなので余裕で大前行(4両編成)に乗れた。新前橋15:20発。
農地と住宅地が交じり合う上越線沿線の背後は、右には赤城山、左には榛名山が見える。車内が混み合っていた両毛線への電車とは違い、この吾妻線への電車は空いていて、いちばん後ろの4号車は席が半分ほど空いていた。
▲八木原-渋川間の赤城山
渋川から単線電化の吾妻線に入るが、その渋川の停車時間は1分。最後尾のドアからちょっと降りて車掌室の後方を撮影。15時半を過ぎているが、真夏の好天につきまだまだ陽射しは強い。
▲渋川駅の高崎方向
渋川でもかなり降りて4両目の乗客は15人ぐらいになる。ロングシートなので乗客を数えられる。吾妻線内に入ると西側に見えていた榛名山が次第に南側に移っていく。
金島-祖母島(うばしま)間で上越新幹線の高架下を抜け、吾妻川を渡ると、そこからは吾妻川が左側に見えたり隠れたりするルートとなる。圧倒的に緑の風景増え、建物は駅の周りや街道沿いに見られる程度になってくる。
小野上は駅に隣接して砕石置き場があるのが特徴で、白い砕石が眩しいぐらいだ。この砕石は駅近くの山から採ったもので、JR東日本高崎支社管内の鉄道用のバラスト(敷石)として使われている。吾妻線はすでに貨物輸送はしていないが、小野上駅では支社内の砕石輸送のための貨物設備を備えている。
▲小野上温泉-市城間の吾妻川
乗客は次第に減っていき中之条では9人になったが、4人乗車して4両目の車両は13人になった。中之条では上り特急『草津・四万4号』との交換もあって17分停車。駅の外に出るには充分な時間だが、今回は停車している②③番線ホームをぶらぶらしたりして時間を過ごした。
▲中之条駅の渋川方向
『草津・四万4号』は①番線に到着して、1分停車で中之条を出ていった。
▲中之条駅を出発する『草津・四万4号』と待避中の大前行
郷原駅付近からは以前登ったことがある岩峰の岩櫃山(802m)が北に見える。山頂は狭いが景色が非常に良かった印象がある。
岩島駅を過ぎるとまもなく、第2吾妻川橋梁を渡って長い八ッ場トンネル(4,489m)になる。ここは八ッ場ダムの建設に伴い水没する旧線から新線(2014年10月開業)に付け替えらえた区間。新線は初めて乗車する区間になるが、ほとんどトンネルだ。
八ッ場トンネルを抜けると新しい川原湯温泉駅。ここで上り高崎行と交換。湖底に沈んだ駅や温泉街は移動する形でダム湖(八ッ場あがつま湖)の湖畔に新しく作られたが、新駅はトンネルの関係で旧駅よりも0.6キロほど先に移設されている。温泉街は湖畔沿いの狭い土地に広がっている。
川原湯温泉を出ると、また長い川原湯トンネル(1,870m)と横壁トンネル(1,720m)になる。そして、第3吾妻川橋梁を渡って旧線に戻り、草津温泉へのバス起点となる長野原草津口となる。車内からは八ッ場あがつま湖の景色をほとんど見ることができなかった。ちなみに新線は旧線より0.3キロほど営業キロが短くなった。
ガラガラになった車内で吾妻線をなおも進む。再び左側に吾妻川が見え隠れするポジションになり、険しい区間はトンネルで抜ける。群馬大津、羽根尾と進み、再び険しい区間をトンネルでショートカットして第4吾妻川橋梁を渡り、谷筋に袋倉へと進む。さらに吾妻川の蛇行部をトンネルで抜けるとやや開けた場所となり、まもなくして万座・鹿沢口となる。
▲袋倉-万座・鹿沢口間の吾妻川
高架駅の万座・鹿沢口からは吾妻川対岸の街並みや、河岸にある大きな石碑が見える。
▲万座・鹿沢口の吾妻川と街並み
万座・鹿沢口を出発して末端の3.1キロの未乗区間に入る。先頭車両へ移動して運転席の後ろから前方の景色を見ようと思ったが、そこには先客がいたので諦めておとなしく1両目の座席に座った。
トンネルを抜け、吾妻川を2度渡って小さく開けた農地や荒地の河岸段丘の先にある大前には17:11に着いた。大前で降りた乗客は全体で20人ぐらい。半分以上が鉄道ファンだと思う。
▲吾妻線末端の大前駅
折り返しとなるこの電車の出発は21分後。その時間を利用してホームの端から吾妻線終端部を撮ったり、駅周辺を散策したりすることにした。無人駅なので車掌のお姉さんに18きっぷを見せてから駅の外に出た。
▲吾妻線の終端部
▲大前踏切から見た大前駅の折り返し新前橋行
大前踏切のすぐ近くに新しい感じのアパートが何棟かあったが、吾妻川のこちら側は平地も狭く他に人家は見当たらない。対岸からの立派な道路も車はほとんど通らない。
▲大前駅前から見た大前橋
橋からの景色が見たくて大前橋まで歩く。他の乗客も何人か橋から景色を眺めている。対岸の方が河岸段丘が顕著に発達している感じだ。
▲大前橋から見た吾妻川下流側
橋を渡った対岸から見える景色は、より自然豊かでのどかだ。都会の喧騒から逃れた日本のふるさとと言った感じかもしれない。
▲対岸から吾妻川上流側を見る
橋を戻って、舗装されていない脇道に入ってみる。駅を裏側から見たり、上流側からの大前橋を撮ったりする。
▲吾妻川の上流側から大前橋を振り返る
まだ時間はあったが、駅前に戻り、ホームの写真も撮ってから電車に戻った。
▲出発を待つ大前駅の新前橋行
▲ホーム上の待合室が目立つ棒線駅の大前
17:32大前を発つ。乗客は全体でも十数人ぐらいではないだろうか。しかし、途中駅からは高校生や社会人の方たちが帰宅の足として乗り降りし、吾妻線が地域交通としての役割を果たしているのが見える。19:05新前橋着。
新前橋(19:07発)で乗り換えた上越線区間は小山からの両毛線電車。吾妻線からの乗客もたくさん乗せて帰宅客で混み合う。高崎19:17着。いったん駅の外に出て、指定席券売機でJREポイントで買ったグリーン券をsuicaに書き込む。そして、前橋からの上野・東京ラインのグリーン車で帰路についた。















