取手:小堀の渡し | ☆出かけよう!気のむくままに…☆

☆出かけよう!気のむくままに…☆

プチ鉄道旅紀行、なんとなくアド街ック、ちょっと文化的に劇場へ、その他いろいろ書いています。なお、古い投稿は時々整理します。
また、記事と直接関係ないコメントは掲載されない場合がありますのでご了承ください。

 江戸川を挟んだ千葉県松戸市と東京都葛飾区の間には両岸を結ぶ「矢切の渡し」という渡し船があり、昭和の時代には演歌のタイトルにもなって一躍有名になった。当時は手漕ぎの渡し船だったが、しばらく前の平成時代にその渡し船に乗った時は、船頭さんの世代も変わっていて、出発はエンジンモーターで勢いをつけ、川の中ほどから手漕ぎに変わって対岸に着岸するという運行に変わっていた。

 数年前になって、取手市にも利根川の両岸を結ぶ小堀(おおほり)の渡しという渡し船がある事を知った。そこで、4ヶ月前の2023年12月にどんな感じなのかと思い足を誇んでみた。

 

 千葉県と茨城県の県境はだいたい利根川で区切られているが、河川改修などで直線的な流れになったところなどでは利根川を跨いで県境・市境があるエリアもある。そのうちの一ヶ所が取手市の小堀地区で、利根川の南側、我孫子市に囲まれるように飛び地になっているため、取手市が運行会社に委託して渡船を運行している。

 取手駅を下車後、線路沿いに利根川の方に歩き、川沿いの道路を渡って路地に入り、土手に上っていく。土手を降りて、真っ直ぐに利根川橋梁沿いに川岸まで歩いていけば取手ふれあい桟橋だ。ただ、当日は土手をもう少し下流側(左側)に歩いていってから、河川敷の緑地運動公園内に下りていき、間の道を川岸まで歩いて緑地運動公園駐車場前桟橋に行った。取手駅東口からだと15~20分ぐらいか?

 

取手緑地運動公園

▲取手緑地運動公園…左奥が渡し船の桟橋

 

取手緑地運動公園駐車場前乗船場

▲運動公園内を横切った先に緑地運動公園駐車場前桟橋がある

 

 渡し船は9時台から16時台まで毎時定時に1本運行で、12時台はないので1日7本の運行だ。船は北側の2桟橋と南側(小堀)の桟橋の3つの乗船場を周回する運行形態をとっており、一区間200円、二区間または一回りが400円の乗船料となっている。

 この日は平日の14:20発の便という事もあり、駐車場前からの乗客は自分だけだったが、土曜日や休日は観光客もいるという事だ。そのために周回乗車もあるみたいだ。

 船頭さんに運賃を払って乗船。船中央部に一段低い客室、その屋根の上に見晴らしのいい展望エリア、後部デッキ(甲板)が乗客のスペースで、好きなところに乗って下さいという感じだった。客室に10人は座れないが、甲板に立つことも含めれば軽く10人以上は乗れる。

 天気がいいので展望エリアから景色を眺める。矢切の渡しよりも大型の船なので全ルートを通してエンジンで動く。ゆっくりと桟橋を離れ、エンジンをふかしながら流れに逆らって上流のふれあい桟橋に向かう。船から見ると、意外と利根川の流れが速くてエンジン音は大きく、船のスピードは遅い。

常磐線利根川橋梁

▲駐車場前から利根川の流れに逆らって上流に向かう船

 

 常磐線の橋のたもとにある取手ふれあい桟橋には7分ほどで到着。ふれあい桟橋発車は14:35なので乗船場の周辺を少しぶらつく。

取手ふれあい桟橋前

▲取手ふれあい桟橋前から取手駅方向を見る

 

 取手ふれあい桟橋はいちばん駅に近くて新しい乗り場だけに、広くてしっかりと作られた乗船場だ。

ふれあい桟橋前乗船場

▲取手ふれあい桟橋乗船場

 

ふれあい桟橋前渡し船

▲ふれあい桟橋から出発を待つ渡し船

 

船室風景

▲渡し船の船室

 

 船に戻って対岸の小堀に向かう。今度は川の流れにのって下流に進むので速い。途中で乗船した駐車場前桟橋が左に過ぎる。12月にしては暖かく、小春日和の西日の中を船は快調にエンジンを響かせながら川を下っていく。やがて、右手に小舟の係留された小堀桟橋が大きくなってくる。

取手緑地運動公園駐車場前桟橋

▲船から見る緑地運動公園駐車場前桟橋

 

 桟橋が近づくとスピードを落とし、船の向きを変えて桟橋に着岸した。ふれあい桟橋からは10分ほどかかった。小堀桟橋は波に揺れそうな簡易的な桟橋で、小さな艀に岸から細い通路が延びているだけのものだった。艀の外れには小舟が繋がれている。

 岸に上がって15時ちょうどの出発まで15分ぐらい時間があるので付近を散策することにする。

小堀桟橋東から

▲小堀の乗船場と利根川の上流方向

 

 おおほりを小堀と書くのは元々おっぽりと呼ばれていたため。おっぽりの当て字が小堀となったようで、発音の方はそのままおおほりになったみたいだ。ちなみに、おっぽりとは川の氾濫でできた沼の事で、小堀地区の南部には昔の利根川の跡の弧状湖の古利根沼があり、その沼は茨城県取手市と千葉県我孫子市の県境(市境)になっている。

小堀桟橋西から

▲小堀の乗船所の利根川下流方向

 

 乗船場の一段上の河川敷に行くと近くの草むらに白鳥が一羽休んでいた。土手への道の片側には河川敷のゴルフ練習所もあり、近くで何人かの人がゴルフをしていた。

小堀桟橋の白鳥

▲小堀の乗船場近くで休む白鳥

 

 付近で時間を潰していると、1人の男性が船に乗り込んでいった。日中の地元の人の利用は少ないみたいだが、今回は偶然乗り合わせることとなった。

 乗船するとまもなくすると船は桟橋を離れた。こちらは客室上の展望エリアに立ち、もう一人の乗客は後方のデッキに立っていた。

 再び利根川の流れに逆らって川上に向かい、10分弱で最初に乗船した緑地運動公園駐車場前乗船場に着く。ここで小堀の渡し1周旅の終了。船を降りてのんびりと歩いて駅に向かうが、船はそのまま小堀からの乗客を乗せて15:20発でふれあい桟橋に向かう事となる。

 

 矢切の渡しは小さな船で屋根もないので雨の日に不向きだが、時代劇に出てきそうな渡し船に近い。対して、小堀の渡しは屋根付きの客室がある少し大きな船なので多少の雨でも利用しやすい。でも、今回のような天気のいい日なら景色もよくて気持ちがいいし、短時間の散歩には向いていそうだ。