2023年晩夏:北海道鉄道旅①上野→木古内 | ☆出かけよう!気のむくままに…☆

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 7月初めにJR東日本(JR北海道)から「えきねっと限定 大人の休日俱楽部パス スペシャル」の6本のおトクなきっぷ(フリーパス)発売が発表された。利用期間は9月4日から13日までの連続する4、ないし5日間。通常の「大人の休日俱楽部パス」だと東日本(4日間)、北海道(5日間)、東日本・北海道(5日間)の3種類のエリアきっぷが発売されるが、今回はそこにグリーン車も乗れるグリーン車版もそろえて全6種類での発売となった。たぶん、グリーン車版は初の試みだと思う。

 ただし、えきねっとのみでの発売という事が、通常のパスとは違うところ。これはもう、ネット利用の苦手なシニアユーザーをえきねっとに誘導させることと、一般の利用者に比べてコロナ禍以降の戻りが遅いビジネス客の穴埋めをシニアに期待しているための発売ではないかと思う。

 6月24日~7月4日までの今年度第1回の大人の休日俱楽部パス利用期間では、「東日本・北海道」パスを予約してホテルも確保していたが、やはり腰の方が思わしくなく、結局キャンセルしてしまった。今回は、そのリベンジの絶好のチャンスだ。

 と言っても、キャンセル理由の腰痛はまだ治っていない。ただ、前回、指定席やホテルの予約に苦労したこともあり、とりあえず予約だけは早めにしておこうと、今回も見切り発車できっぷを買い、指定席やホテルを予約した。日帰り不可の全道を回る4泊5日のフル旅行だ。

 宿泊費が高くなる週末を避けると、日程は9月4日(月)~8日(金)しか組めなかった。その日付で「えきねっと限定 大人の休日俱楽部パス スペシャル」の東日本・北海道エリアを買った。価格は通常と同じ5日間で26,620円。JR東日本とJR北海道のエリア内は新幹線を含めた自由席が乗り放題。指定席は6回まで無料。50,000円のグリーン車用になるとグリーン指定席を含めた指定席が6回まで無料だが、北海道内を走るグリーン車は限られている。

 前回の予約で苦労した指定席は上野→札幌。早い時間帯の新函館北斗行『はやぶさ』の指定席が取れず、キャンセル待ちでも仙台→新函館北斗の『はやぶさ7号』しか取れなかった。函館(新函館北斗)-札幌間は粘って海側指定席を確保。大人の休日俱楽部パス恐るべしだった。

 北海道の地元の方のネット情報などを見ると、その6月下旬頃から北海道の特急は盛況だったようで、特に札幌-函館間の『北斗』は乗車率が高くて時間帯によっては満席もあったようだ。その後、北海道の特急列車は1~3両ずつ増結されたという。今回の予約での感じだと、『北斗』や『宗谷』『サロベツ』が1~3両増結、『おおぞら』『とかち』『大雪』『オホーツク』も1、2両増結されたようだった。

 そのせいか、今回の指定席の確保は割とすんなりいった。たぶん、発表から周知までの期間が短かったこと、えきねっと限定としたことで通常の大人の休日俱楽部パスよりも利用者が少なかったこともあると思う。発売のお知らせは9月4日以降もJR東日本では行われていたので、1日の限定数3万枚(普通車用)まで売れなかったという事だろう。

 

 さて、今回も行けるかどうか分からないまま旅の準備を進めたが、この旅行計画は前回と同じ道内の幹線を乗り尽くすことだった(→北海道鉄道旅を計画してみた)ので、それにあわせて1泊目札幌、2泊目釧路、3泊目旭川、4泊目札幌と宿泊先を探した。宿泊費は以前よりもかなり高くなっているので、最終日を除き素泊まりばかりで何とか宿泊先を確保した。

 指定席は前回よりも取りやすかった。往路『はやぶさ1号』上野→新函館北斗、函館→札幌『北斗13号』、帰路札幌→新函館北斗『北斗12号』、新函館北斗→上野『はやぶさ40号』とまず4枚の指定席を確保。『はやぶさ1号』以外は窓側の席だ。

 残りの指定席2枚は途中の滝川(旭川ではなく滝川に泊まることになった場合に備えて)から稚内までの『宗谷』(札幌発)と、上り宗谷本線の特急と迷ったが、自由席が1両しかない網走→旭川『大雪4号』に決めた。

 その後、往路の出発時間に余裕を持つため、下り『はやぶさ』を1号から19号に変更したら窓側席が確保できた。また、それに合わせて函館→札幌も『北斗13号』から『北斗17号』に変更した。

 天気予報は毎日のようにチェックした。だいたい2週間前から地域の予報が出てくるが、気温は下がりそうで下がらないし、天気は毎日に微妙に予報が変化していった。日本の南の海上にあるトリプル台風(熱帯低気圧)も気になる。そのうちの一つがあまり発達はしないようだが、日本に接近するようなコースの予想となり、外側の雲が出発日に関東に架かりそうだった。荷物があるのに傘のいる天気って、出だしから気が滅入る。

 台風の影響ではないだろうが、出発5日前で釧路に1日180mmという警報級の大雨予報がでた。運休、遅延があるとただでさえ列車本数の少ない道東地方、途中で動けなくなる恐れがある。結局、キャンセル料の発生する前に釧路宿泊を諦めて、道東旅行はカットすることにした。その後の道東の直前3日間天気予報では、夜から朝にかけて50mmぐらいの雨量にかわっていた。

 2日目も札幌宿泊にして、日中は小樽観光と、函館本線山線から長万部→東室蘭→苫小牧→札幌と道央周回する鉄旅に変更。これで、最終日に予定していた小樽観光の時間を他に振り向けられる。そして、3日目は札沼線(学園都市線)往復、札幌→苫小牧→岩見沢→深川(留萌本線往復)→旭川の札幌近郊線、ローカル線乗りつぶしの旅に変えた。

 3日目の網走から旭川の『大雪4号』はキャンセル。代わりに4日目の稚内から札幌の『サロベツ4号』+『ライラック36号』に6枚目の指定席を使った。『サロベツ4号』は旭川行だが、途中下車しなければ旭川→札幌の『ライラック36号』と合わせて1回の指定席としてカウントされるので、自由席でも空いているであろう『ライラック36号』も指定席にした。

 ここまではえきねっとで予約・変更手続き。発券さえしなければ何度でも無料で予約変更ができることを最大限に利用した。そして、出発2日前に駅で発券。しかし、当日になると予定はさらにめまぐるしく変わることとなった。

 

 その後も相変わらず腰に鈍痛があり、要注意状態。そのうえ、2日前には熱中症みたいなことになり(→東洋文庫:東洋の医・健・美)、どう考えても旅行は止めておくべき体調に思えたが、これを逃したら本当にこれから出かけられなくなるのではないかという思いもあり、結局旅行を強行することにした。そのため、とにかく荷物を軽くしようと着替えは最小限にして、傘を持っていくのならそれを杖代わりにも使って、カメラも諦め、撮影はスマホ一択に決めた。

 

 当日朝。体調はそれほど悪くはない。簡単な朝食後いつものように常用薬を飲み、湿布をした。朝のうちは本降りだった雨も、家を出る頃には小降りになり、折り畳み傘でも間に合いそうな感じだったが、帰りの天気予報も悪いので折り畳みではない普通の傘で出発することにした。

 ラッシュ時間帯を過ぎた電車で上野まで移動。上野の駅構内コンビニで10%割引(大人の休日俱楽部パス特典)で車内の食料を確保。地下の新幹線ホームに降りて電車を待つ。普段よりも人は少なめか。

上野新幹線ホーム下り

 

 上野10:50発の『はやぶさ19号』新函館北斗行。乗車率は6、7割。朝の『はやぶさ』ほどは混み合わない。車内放送では大宮から満席とのことだったが、大宮を過ぎても空席はちらほらあった。たぶん、東京から新函館北斗までの通しでみると空席はないという事で、区間区間では空席も意外とあるという事なのだろう。

 そんな強くはないが雨の中を『はやぶさ19号』は北上、福島・仙台辺りでは雨は上がった感じだった。仙台で大勢の乗客が降り、降りた客よりは少ないがかなりの乗客が乗り込んできた。一ノ関あたりから空が明るくなってくる。

 盛岡でも仙台ほどではないが大勢降り、乗車する人もかなりいて、新幹線は盛況だ。山間区間になると再び雲行きは怪しくなるが、八戸まで行くと晴れ間が出てくる。八戸も利用者が多い。

 長いトンネルとその外では陽射しが出たり隠れたりの天気の中、新青森到着。大宮以北だと仙台、盛岡の次ぐらいに乗り降りが多い駅だ。立ち席特急券の利用者もいるのか、新青森から乗ってくる人もかなりいて、新青森以北も乗車率は50%ぐらいキープという感じだ。

新青森-奥津軽いまべつ間

▲新青森-奥津軽いまべつ間の西側車窓

 

 仕事をしていた時は北海道旅行などするゆとりもなかったので、北海道新幹線は今回が初乗車になる。北海道に行く事自体が青函連絡船の時代以来なので、当然青函トンネルを通るのも今回が初めてだ。

 奥津軽いまべつの9kmほど手前で津軽線から分岐した狭軌(1,067mm)の軌条が、標準軌(1,435mm)の北海道新幹線に合流する。標準軌・狭軌併用の3線軌条となる。狭軌は本州-北海道を結ぶ貨物列車の大動脈だ。

 このような線路敷設のため、新幹線と貨物列車がすれ違う事もある。そのため、すれ違う時に貨物列車のコンテナが風圧で落ちないように、供用区間での新幹線の最高速度は地上部で140キロ、トンネル内で160キロに抑えられている。供用区間は82km、青函トンネルの全長は53.85km、うち海底部の総延長23.30kmで、トンネル通過には22分ほどかかるが、意外と短く感じた。

 「今、青函トンネルに入りました」という車内放送があり、青函トンネルについての説明も初めての青函トンネル利用者には嬉しい。たぶん、音声が抑えられているので、乗りなれた人には聞き流せるレベルだと思う。

 青函トンネルを抜けても、まだトンネルがいくつも続く。やがて、木古内駅のおよそ2km手前で供用区間は終了して貨物線と分離する。3線軌条の終了で、新幹線専用軌条となって道内最初の駅・木古内に14:48到着だ。貨物線軌条は道南いさりび鉄道の木古内駅へとつづく。

 指定席は終点の新函館北斗まで取っているが、この木古内で降りる。以前から乗りたかった、第三セクターの道南いさりび鉄道(元JR江差線)に乗るためだ。景色のいい事で知られている。

 長時間乗車で心配だった腰の方は、リクライニングシートで時々腰を伸ばすことができたので大事に至らず。意外と大丈夫だった。木古内では20人ぐらいの乗客が降りた。

木古内駅はやぶさ19号後方

▲木古内駅の『はやぶさ19号』

 

 雪対策か、ホーム全体は鉄骨の屋根に覆われている。車窓からの感じだと木古内は曇り空だった。ホーム中央付近に改札口に下りる階段がある。ホームを中央に向かって歩いているうちに対面の上りホームに車両がきたが、15:01発の『はやぶさ34号』にはまだ時間が早い気がする。

 2階のホームから1階に下りて改札口を抜け、通路を右側に進んで北口(北西側出口)に出た。だだっ広い駅前ロータリーに寂しげに客待ちしているタクシーが2台停まっているだけだった。

木古内駅北口駅舎

▲木古内駅北口(北西側新幹線駅舎口)


 駅舎に戻って通路を反対側に向かう。突き当りのエスカレーターで2階の通路に行き、在来線を跨ぐ通路の窓から今来た方向とこれから行く方向の鉄路を撮る。在来線は①②③番線のホームが取り払われて、貨物専用の側線になっている。残った④⑤番線が道南いさりび鉄道のホームだ。

木古内駅青函トンネル側

▲木古内駅の在来線を見下ろす(青函トンネル方向)

 

 道南いさりび鉄道の改札口や待合室を左に見て進み、エレベーターで1階に下りた。外に出たら、こちらも広いロータリーがあり、正面に道の駅があった。

木古内駅南口駅舎

▲木古内駅南口(南東側道南いさりび鉄道駅舎口)

 

 駅前ロータリーをぐるりと一周して線路脇から道南いさりび鉄道のホームに入っている車両を撮る。このあと、この気動車に乗って函館まで向かう。

木古内駅の道南いさりび鉄道

 

 以下つづく。