宇宙からのお買い物~世にもケッタイな物語 | みぶ真也 の 職業:怪談俳優

みぶ真也 の 職業:怪談俳優

浪速のユル・ブリンナー

おはようございます、大阪の俳優みぶ真也です。

今日はぼくがあるルートで手に入れた宇宙人の書記をご紹介します。

 

 

 私はドタール・ソジャット。

 銀河系防衛軍太陽系支部の大佐だ。

 太陽系の3つめの星には多くの生命体が存在している。

 我々の使命は、その生命体を存続させることなのだ。

 ある非番の朝、私はいきなり上官から呼び出された。

「ドタール大佐、非番のところ悪いが、これから地球へ行って貰いたい」

「かしこまりました。何をすれば良いのでしょうか?」

「地球で買い物をして欲しいのだ」

「買い物?」

「そう、食料を買って来て貰いたい。地球の中でも東洋と西洋の境で、流通の盛んな日本、それも安くて美味しいものが多いオーサカで買い物をして来て欲しい。これは命令だ」

「はい……で、何を飼えば良いのですか?」

「こちらにリストが作ってある。地球に飛び交うラジオの電波を傍受して作ったものだ」

 私は上官の差し出す長文のリストを受け取り、小型UFOに乗り換え地球の都市オーサカへ降り立った。

 幸い近くにスーパー玉出があった。

 私は店内に入りリストを広げる。

 まずは魚類を購入する必要があるようだ。

 リストによると、

「タイにヒラメにカツオにマグロにブリにサバ、トリガイ、アカガイ、タコにイカ、エビにアナゴにキスにシャコ」

 刺身にしたなら美味しかろうと思いながら大量の魚のリストと魚を見合わせるのだが、リストに合わせて実物を探すのが大変で、ヤヤコシ、ヤヤコシ、ヤヤコシ、ヤヤコシ、あーヤヤコシ……

 

 地球担当官のたしなみとして、私には古代大阪弁が理解出来る。

 魚類はカゴに入れたので次は植物だ。

 地球のラジオを傍受して作ったリストによると、

「人参、大根、牛蒡に蓮根、ポパイのお好きなホウレン草」

 ポパイとは何だろう。

 買い物している古代大阪人らしいおばちゃんに尋ねる。

「ポパイっちゅうたらホウレン草食べたら力が強なる水兵さんや」

 地球には不思議な兵士がいるらしい。

 他は、

「トマトにキャベツに白菜に、胡瓜に白瓜ボケナス南瓜」

「おばちゃん、すいません」

「何やの、うち忙しいんや」

「ボケナスって何ですか?」

「ボケナス、そらあんたのこっちゃ」

 訳が分らないので仕方なく普通のナスをカゴに入れる。

 レジで精算すると店員が、

「フクロ要りますか?」

 と訊いた。

 フクロウとは夜行性の鳥の名称だ。

 そんなものは必要ないと答える。

 母船に帰ると上官に尋ねてみた。

「今回の命令の理由は何ですか?」

「地球では貧しい国を中心に食糧危機が訪れている。君が買った食材を我々の技術でクローン化し地球人を飢餓から救うのだ」

 たまの非番サンデーというのに何の因果というものか、あーしんど!