事故物件~世にもケッタイな物語 | みぶ真也 の 職業:怪談俳優

みぶ真也 の 職業:怪談俳優

浪速のユル・ブリンナー

おはようございます、大阪の俳優みぶ真也です。

古い友人、事故物件住みます芸人の新情報です。

 

 

「みぶさん、今度の事故物件、凄いです」

 いきなり電話をかけてきたのは、“事故物件住みます芸人”として全国的に有名な松山タムシくんだった。

「どんなふうに凄いの?」

「まあ、一回、来てみてください」

 住所を聞いて、早速、行ってみる。

 見たところ、なんでもない平屋の家だ。

「みぶさん、いらっしゃい」

 挨拶に出て来た松山タムシくんは、以前より痩せてやつれている。

 顔色も青白い。

「タムシくん、顔色が良くないね」

「ええ、ここに越して来てから夜もよく眠れないんですよ。まあ、はいってみてください」

 玄関に入ると、何やらギシギシという音が響いて来た。

「建てつけが悪いのかな、家鳴りがするね」

「ぼくも最初はそう思ってたんですが、これもポルターガイストみたいなんです」

 居間に入ると、何処からともなく笑い声が聞こえてくる。

「誰かいるの?」

「いや、ぼく一人で住んでるんですが、時々、声が聞こえてくるんです」

 彼によると、もともとここに住んでいたのは老人と息子の親子二人だったという。

 やがて、老人は不審死をとげ、息子は行方不明で今も見つかっていないらしい。

「呪われた場所なんですよ」

 二人で夕食を食べ、ビールを飲みながらタムシくんが言った。

「みぶさん、今夜は泊まって行くんでしょう?」

「いやだ、帰る」

「そう言わずに、お願いしますよ」

 せがまれて、しかたなく一泊することになった。

 布団にもぐりこんで眠ろうとする頃まで、家鳴りは続く。

 本当に、ポルターガイストなのだろうか。

 うとうとしていると、男の話し声がどこからとも聞こえて来た。

 ふと見ると、押入れのふすまの四隅からうっすらと光が漏れている。

「タムシくん、押入れ開けてみよう」

 二人で起き上がってふすまを開けると…       つづく

 光の元は天井からだ。

「タムシくん、ここ、平屋だよね」

「ええ、二階はないです」

 よく見ると、天井の板が一枚だけ、すこしずれている。

 光はそこから漏れて来ているのだ。

「あの板、はずしてみよう」

 押入れに入り、二人で天井板を外す。

 天井裏がぼんやりと明るく見えた。

「天井の裏に何かあるみたいだ。上がってみようか」

「や、やめましょうよ」

「ここまで来てやめたら後悔するよ」

 怖がる松山タムシくんを無理やりひっぱり、天井裏に上がると、目の前に扉があった。

 光はそこから漏れていたのだ。

 ノブを回す。カチリと音がした。

 押してみたが動かない。

 引いてみると、少しずつドアが開く。

 中には、ソファが一つぽつんとあった。

 さらに、奥へ行く扉がある。

「行ってみましょう」

 今度は松山タムシくんが率先して進む。

 腹をくくったようだ。

 タムシくんが扉を開くと…

 中は明るい部屋だった。

 ベッドがあり、男が半身を起こしてテレビを見て笑っていたが…

「だ、誰だ、君たちは?」

 タムシくんがしどろもどろで我々のことを説明すると、

「なんだ、家の借り手が出来たんですか。私はもともと父とここを借りてたんですがね、親父が死んで家賃が払えなくなったんでこっそり屋根裏に移動して今まで住んでたんです。まさか、こんな家を借りるもの好きがいたとは…」