「ぼく、芸能人オーラあります?」
撮影の合間に、アイドル出身の役者さんから訊かれたことがある。
役者というのは形のないイメージを作って販売する作業であるから、仕事という手ごたえがあるようなないような所がある。
人一倍ハードなことをしながら評価されなかったり、大したことをしてないつもりでも絶賛されたりする。
下積みの長い人はそれでもいろんな芸のたくわえを持っているものだが、アイドル的に人気を得た人にとっては収入の代償に自分は何を提供しているの
かピンと来ないものだろう。
石原裕次郎さんのような大物でさえも「俳優は男子一生の仕事にあらず」と言っていたくらいだ。
夢とかオーラとか、そういう目に見えないものを売っている以上、不安になるのも無理はない。
「大丈夫、オーラが輝いてますよ!」
と返事してあげると、前述の役者は喜んでお礼を言ってくれた。
まあ、素直に他人の言葉を信じているうちは大丈夫なんだろう。
(アイドル時代のみぶ真也)