土曜日の夕方、駅前の商店街を歩いていた時のことである。
元部下の行員いに遭遇した。

黒いワンピース。肩まで流れる髪。
支店に配属された当初は、まだ新人らしさが抜けず、電話応対一つでも緊張していた。

融資の稟議書を何度も差し戻され、窓口で高齢のお客様に叱責され、裏で泣いていたこともある。

私は年齢も役職も上だったから、自然と面倒を見ることが増えた。

昼休みに仕事の愚痴を聞き、営業車の中で数字の詰め方を教え、終業後に二人で居酒屋へ行くこともあった。

距離が縮まるのに、時間はかからなかった。

あれが間違いだったのか、あるいは自然な流れだったのか、今となっては分からない。

ただ、一度だけ関係を持った。