伊寿美、
「もぅ~~。それは、当然。」
優維香を見て、ニコニコと、
「大有りでしょう~~。何てったって、インテリア部門、国内では最高クラス。」
「だから…、ジョエルの七瀬社長、もしかしたら…、そこら辺の事も、ある程度、考えているんじゃないかな~~って、私は、思うんだよね~~。その…、インテリアコレクションで…、勝ち抜いてきた、ある意味での…、功績者。…と、言えば…。」
佐津香、チラリと優維香を見て、そして伊寿美を見て…。
伊寿美、そんな佐津香に、ニコニコと、
「うんうんうん。」
佐津香、
「そんな…、功績者を~~。」
ますますニコニコとなる伊寿美、
「うんうんうんうん。」
「更なる期待を…。」
佐津香、今度は目を真ん丸にして優維香を覗き込むように、
「している。のでは~~。あるまいか~~。」
優維香、いきなり、
「おかあさん。んもおぅ~~~。冗談はやめて~~~。それでなくともハードだって言うのに~~~。まさか、スタッフコレクションに参加決定からこんなに激務になるなんて想像してなかった~~~。」
佐津香、そんな優維香を見て、
「だよね~~、もぅ…、1カ月半前から…???…帰って来る時間も遅いし~~。ふふん。」
その声に優維香、母を見て、
「あっ。それを言うんならおかあさんも同んなじ~~~。新しい課長さん来たりの何げにドタバタ。それに今度は海外コンペ。」
伊寿美、優維香のその声に佐津香を見て、
「えっ…???…おばさん、海外コンペ…???」
目をパチクリと。
佐津香、
「う~~ん。」
仕方ないような声で、
「…まぁねぇ~~。新しい課長が仙台から来て…。ん~~。その新しい課長って、以前と違って、男性だから~~。まだ部署内が落ち着いて…。」
そこまで言って佐津香、思わず顔をへこませるように、
「微妙…なんだ…けど~~。そんなところにバンと降って湧いたような海外コンペ。いやいやいやいや、こっちもハードだわ~~~。」
伊寿美、思わず、
「えっ…???…おばさんとこにも新しい課長さん…???…えっ…???…男性って…。前は…???」
優維香、伊寿美を見て、顔をコクリと、
「うん。前は~~。女性の人~~。なんだ…、けど…ね。」
母を見て。そしてまた伊寿美を見て、
「…しかも~~。その課長さん、おかあさんと年齢が同じ~~~。」
「わ~~~お。」
伊寿美。また目をパチクリとさせて、
「何々。そしたら優維香のとこと同じ~~同い歳じゃ~~~ん。」
佐津香、カレーを食べて、
「ふん、まぁ~~。偶然と言うのも、あるものよね~~~。」
優維香も、口を噤んで、
「ふ~~ん。」
そして両眉を上下に。
伊寿美、
「ふ~~~ん。どちら様も同い歳っかぁ~~~。」
隆英と賀寿恵、エスカレーターからまた別方向のエスカレーターに。
賀寿恵、隆英に、
「あの~~~。エレベーター使っても…。」
隆英、そんな賀寿恵に、
「あ、いえ。何年振りかの日本のデパート、何だか見てみたくなりましてね。歩きながらちょいちょい覗き見するのもありかな、と。」
その声に賀寿恵、2度程頷いて両手を後ろで結んで。
バッグは右肩から提げられている。
婦人服のコーナ。
隆英、ニコニコと、
「うんうん。中々素敵ですよね。」
さり気なく婦人服を覗き込むように…。…すると…。
「あれ…???」
賀寿江、隆英に近づき、心配そうに、
「どうしました…???」
すると、隆英、
「なんと。こういう事もある。」
そんな隆英に賀寿恵、目をパチクリと…。
ラックに掛けられている何枚ものアイテムから一枚のアイテムを取り、
「いやいやいや。」
賀寿恵、
「えっ…???…え…???」
隆英、
「まさか…、の、まさか。」
そして賀寿恵の右脇に、
「はい~~。」
また賀寿恵、
「えっ…???…え…???」
「弓さんが今、着ているワンピース。襟なしのロングワンピース。けれども、これは、襟あり。刺繍が、施してありますけどね。全くの、それ以外は同じデザイン。いやはや。あるものです。」
賀寿恵も、そのアイテムを見るや否や、
「わっ!!!…ほんと~~。これ~~~。」
そして自分のワンピースを見て、
「凄っ。ほんと…、同じ~~。襟以外…。」
隆英、ニコリと、
「ねぇ~~~。あるものです。」
賀寿恵、
「うんうん。えぇ、えぇ。」
隆英、タグに触り、見て、
「おや。」
そして、
「なんと。」
そして、今度は、
「かかかかか。いやいやいや。」
賀寿恵、そんな隆英に、
「えっ…???」
すると隆英、賀寿恵に、意地悪そうな顔で、
「弓さん。はて…???…ハウマッチ。」
賀寿恵、咄嗟に、
「えっ…???…えぇ…???ハウマッチ。値段…って…。…私は…、これ…、4500円で…。」
隆英、
「4500円。何と…。」
眉間に皺を寄せての隆英、賀寿恵を見て…。
賀寿恵、困ったように…。
「えっ…???…えぇ…???」
すると隆英、今度はニッコリと。
「6800円。」
賀寿恵、
「うそ。」
好きになれない。 vol,166. 伊寿美、「もぅ~~。それは、当然。」
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