「なんだ~~???…随分と早いじゃないか~~。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.207

ドキドキ 「なんだ~~???…随分と早いじゃないか~~。昼までにはまだ…。」
軍手をした右手を空に。

その声に麗子、
「かか。先に用事があったから早くから出て来たんだよ。」

「はは、そうか。励治君はゴルフかぃ。」
「う~~ん。いつも通り、朝早くから。かかかか。亭主元気で留守がいい。…ってね~~。」

麗子、玄関には行かずに、そのままガーデンに。そして、ガーデンのログチェアに座って、
「草いじり。精が出るね。」

「ん~~~???…あ~~。はははは。んまぁ~~。好きでやってる。」
「お兄ちゃんは、ゴルフは~~???」

その声に、
「え~~~???…はははは。まっ。たま~~にはな~~。お蔭様で、誘ってくれるから、付き合ってるよ。…けど…。この歳だ、そんなに、頻繁には…。…さすがに…、体に堪える。」

「確かに。」
麗子、
「80の歳には、18ホールはキツイか~~。」

「麗子おばちゃん。」

その声に麗子、声の方角に顔を。
「あら、礼美(れみ)ちゃ~~ん。はははは。仕事、休みかぃ。…って、凄~~い。礼美ちゃん、それって~~。ヨガ~~???」

瞬間、礼美、
「あは。うん。ちょっと一休みで何か飲もうって、下に降りてきたら、麗子おばちゃん見えたから。」

礼美と呼ばれた女性、ニコリと。そしてトレイにあるジュースの入ったグラスを。
「はい、どうぞ~~。」

麗子、
「あら、ありがとう~~。」
そして礼美を見て、
「何ともまた、凄いよね~~。出るとこ、出てりゃ、しっかりと…、レディだよ。何これ…???…今はやりのヨガパンツ…???…んまぁ~~。ピシッと~~。」

礼美、
「はは。うん。」
そして礼美、
「おじいさま~~。」

その声に、
「おぅ~~~。…んじゃ、おし。」
しゃがみこんだ姿勢から、今度はスクッと立ち上がり、麦藁帽子を脱いで、
首に巻いたタオルを解き、汗を拭いながら麗子と礼美の元にゆっくりと…。

この老人、経済産業省、製造産業局、局長、横井土正嗣(よこいどただし)。
麗子の従兄に当たる。但し、年齢は80歳。麗子よりも19歳の年上。
事実、歳の離れた麗子の従兄である。

麗子、
「はは。さすがにお兄ちゃん、礼美ちゃんの声には反応良いよね~~。」

麗子、礼美と正嗣を見ながらニコニコと。
「まっ。これだけの美人だもん。当然と言えば当然。それに…、何と言っても、仕事が、テレビ局だからね~~。ははは。アナウンサーになって、かれこれ…???」

礼美、
「6年。」

礼美、正嗣に、
「おじいさま、はい。」

「おっ。ありがとう~~。」
礼美からグラスを受け取って一口。
「いや~~。はははは。冷たい。こりゃいいわ~~。」
そして、
「礼美、台所は…???」

礼美、
「あぁ~うん。絢美(あやみ)さん、準備してるよ。テキパキと。」

正嗣、その声にニッコリと、
「そぅかい。うんうんうん。」
そして正嗣、
「どぅだぃ、その後…、彼は…???」

麗子、その声に、
「かかかかか。お兄ちゃん、何言ってるの、まだこっち来て、それこそ…。」

正嗣、麗子の声に、
「ははははは。…確かに。そうだったな。うんうん。」
また一口、ジュースを飲んで、
「とにかく、良い青年だ。うん。」
数回頷いて。

礼美、
「ねね、麗子おばさん、その…彼って…、どんな人なの…???」

麗子、
「うん…???…小埜瀬隆英って言ってね。大学卒業と同時に海外に渡って、フリーのライター、そしてカメラマンってとこ。インテリア専門だけどね。…けど、その実、海外では有名。」

「ふ~~ん~~。たま~~におじいさまから、その名前、聞くんだけど、私は、殆ど変わんない年齢だから。」

麗子、
「あっ。そっか~~。礼美ちゃんと、それほど…。」

正嗣、その声に、
「ん~~ん…???…はははは。どぅだぃ、麗子、一度、ここにも連れて来たら…。」

「ん~~~。だ~~ねぇ。…まっ。軌道に乗ったら。」
「ほぅ。…例の…、リッツカルバン。」

麗子、正嗣に、一礼して、
「その節は…、ありがとうございました。」

「いやいやいや。」
正嗣、麗子に左手を振って、
「私なんて、そんな…。お礼なら、私より、礼美だろぅ~~。礼美の後輩が~~。リッツカルバンの常務のお嬢さんって。礼美が話してくれて~~。それならって~~。」

麗子、
「うんうんうん。凄いよ、礼美ちゃん。ほんと、ありがとうね~~。」

礼美、
「あん。でも…、たまたまね。ほんと、たまたま食事に行って~~。その事聞いて、思いっきり、こっちはびっくりだよ。うそ…???…えっ…???…ってなって…。そこからトントンと話が…。…けど…。その子に、私の家系は…、シークレットに。してますけど…。会社にだって~~。統括部長が、まぁ~~。私の…、今のところ、良き上司。とに~~かく、口が堅い。その割に、お喋りなんだ…、けどね~~。」

麗子、
「うんうんうん。武田鉄矢似の部長~~???」

礼美、ニコニコと、
「うんうんうん。」









好きになれない。   vol,164.  「なんだ~~???…随分と早いじゃないか~~。」

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