部屋のドアにノック。隆英、「おっと、来たか。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.226.

ドキドキ すぐにその後、脳裏に…。
店のレジで自分が振り返った時に、いきなり体が崩れた小埜瀬を思い出して、
「えっ…???」
そして…、頭の中で…、
「…まさか…、あの時って…、私の…???」
そして佐津香、自然に頭を左右に…。






部屋のドアにノック。

隆英、
「おっと、来たか。」



ドアを開けると…。

「おはようございます。」

目の前には賀寿恵。ペコリと頭を…。

隆英、目をパチクリと…。
「あ、あれ…???…麗子…さん…は…???」

その声に思わず賀寿恵、
「ごめんなさい。」
深々と頭を下げて…。




凡そ1時間前。


七瀬家。麗子、賀寿恵の部屋に。
「賀寿恵~~。行くよ~~。」
ノックをしてドアを開けて。

賀寿恵、
「あ、は~~い。」

そして麗子、賀寿恵を見て、
「ふん。いいんじゃない。ふふ。早く、早く。あんたが運転しなきゃ、私は運転できないんだから…。」

免許は持っておれど、殆ど、運転経験なしの麗子。

賀寿恵、
「あ、はい。」



そしてガレージに…。
シャッターが開く。そして車は出る。そしてシャッターが下りる。
そして…、車は発信。

走行しながら街中を走る。とある信号待ち。


その時麗子、
「あっ。」
賀寿恵に、
「ちょっと待ってて。大事なものを買うの忘れたよ。」

賀寿恵、
「はい…???」

麗子、
「すぐ戻るから。」
そしてドアを開けて外へ。

賀寿恵、
「うそ。すぐ戻…。麗子さん。」

信号は赤から青に。後ろでクラクション。

賀寿恵、いきなり慌てて、右左見て、
「えぇ…???…そんな~~。」


既に麗子は歩道で賀寿恵に右手を、笑顔で口パク、
「行ってらっしゃい。」

また後ろでクラクション。

賀寿恵、
「えぇ~~~???」
どうする事も出来ずに車は発信する。賀寿恵、困った顔で、
「何でよ~~。あ~~ん、もぅ~~。」


バッグの中の自分のスマホにライン受信の音。
「麗子さ~~ん。もぅ~~。」
そして…、
「何で~~???…た~~くぅ~~。やられた~~。」



2ブロック走ってまた信号待ち。賀寿恵、運転席の車載ホルダーにスマホを。
そしてトン。

すぐさま麗子の顔。賀寿恵、
「麗子さ~~ん。」

麗子、スマホを見ながら既に歩いている。地下鉄の中か…???

麗子、
「ははははは。若いもん同士で頑張りな。私が行ったら、当然、私の好みばかりになっちゃうじゃない。あんたらふたりで楽しみながら準備しな。その方がよっぽど~~。柏田さんに、よろしくね~~。チャオ~~~。」

そして…、動画は一方的に切れる。

賀寿恵、膨れっ面をしながらも、
「もぅ~~~~。私だって、ふたりだけって言うの、困る~~。どうしたらいいのよ~~~。もぅ~~。…男の人とふたりだけなんて~~。経験ないのに~~。」


そうなのだ。弓賀寿恵24歳。何故かしら…、才色兼備…、なれども…、
産まれてこの方、男友達すら、いない。
それも…、そのはず。賀寿恵がかつて通っていた学校と言うのが、
いずれも女子高と女子大。なのである。
大学の明興(めいこう)も、東京では有名な女子大であり、名門大学。






部屋に入りながらも隆英に今迄の経緯を説明しながら…も、クスクスと可笑しがる隆英。
何度も、にやけた顔で…。けれども賀寿恵の顔をチラチラとも見ながら、
「うんうん。…なるほど…。」
自分の傍で、完璧に体を縮こまらせている賀寿恵に隆英、
「…と、言う事は~~。麗子さんに、してやられましたね。」

賀寿恵、そんな隆英に直立不動に頭を下げて、
「申し訳ございません。」

そんな賀寿恵に隆英、思わず両手を前に、そして振りながら、
「いえいえいえ。そんな…。弓さんが謝る事じゃ、ないですから~~。…それもこれも…。」
そこまで言って隆英、窓を見て、
「ふ~~ん~~。…どうやら…、最初っから、そのつもりで…。麗子さん。」
そして、ベッドに腰を落として、
「何ともね~~。」
そして賀寿恵を見て、
「まっ。仕方がないって、言ってしまえば、その通り。仕方、ないでしょ。」

賀寿恵、再び頭を下げて、
「本当に…、申し訳ございません。」

隆英、気の毒な感じで、
「いやいや。だから、弓さんが謝る事じゃないですって。…まっ。とにかく。…出かけましょう。」

賀寿恵、
「あ。はい。」





そして…。
「おほ。凄い車。」

見るからに、高級セダン。隆英、
「毎日、この車で麗子さんと…???」

賀寿恵、
「あ、はい。」

「凄いや。」


必然的に、隆英は助手席の方に。賀寿恵は運転席のドアを。

隆英、シートに座って、
「わお。座っただけでシックリと来る。いやいやいや。凄い座り心地。」

賀寿恵も運転席に収まり、シートベルトを。

それを見て隆英、
「おっと。」

賀寿恵、隆英の顔は見ずに、
「では…。」

隆英、賀寿恵をチラリと、
「お願いします。」

「はい。」

ゆっくりと車は動き出す。


…けれども…、一旦、車道に出た…と、思いきや…、賀寿恵の…。








好きになれない。   vol,161.  部屋のドアにノック。隆英、「おっと、来たか。」

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