「…って言うか…。佐津香さん…。どうしました…???」
順平。
いきなり佐津香、自分を呼ばれて、
「えっ…???…あっ。…いや…。」
笑いながら、
「あは。ははははは。んんん。何でもない。」
菜帆子、
「あっ。そういえば…、佐津香さん…。亡くなったご主人も…。確か…。」
順平、
「へっ…???」
佐津香、思わず困ったような顔で、
「まま。昔の事…、だけどね~~。」
美沙、
「じゃあ~~。私は…、この辺で…。」
佐津香、思わず現実に戻された感じで、
「あ。はは。どうも。ありがとうございました。」
菜帆子も順平も、
「ありがとうございました。」
玄関で美沙を見送って…。
佐津香、
「さて。私たちも、この辺で…。」
菜帆子、
「だ~~ねぇ~~。」
順平も、
「ですね~~。」
「あ。そうだ。愛結美と吉竹に電話。」
菜帆子も、
「おっと。…んじゃ、私、愛結美さんに。」
佐津香、
「オッケィ~~。んじゃ、私、吉竹に。」
順平、
「んじゃ、俺、鍵。」
順平、鍵を閉めて、またその鍵をプランターの下に。佐津香に、
「佐津香さん、ここっすよね。」
佐津香、
「OK~~ありがと。」
そして菜帆子はスマホを耳に、
「うんうんうん。そぅ。」
佐津香もスマホに、
「そぅ。うん。…でぇ~~。」
愛結美、スマホを耳に、
「とにかく、ありがとう~~。」
吉竹も、
「申し訳ない。助かりました。じゃあ、小埜瀬さん、今は…。布団の中。」
佐津香、
「うんうんうん。そっ。」
「それにしても、不動産がね~~。はははは。大したもんだ。」
佐津香、歩きながら、
「そうなの。だから、こっちの方がびっくりして~~。あ。それと…。」
佐津香、菜帆子に、
「今回の事、みんなには…。」
口に右人差し指を。
菜帆子、
「うん、分かった。」
そしてスマホに、
「でね。」
佐津香も、
「で、吉竹~~。今回のこの件、みんなには…。」
吉竹も、
「はいな。分かりました。他言無用。」
「うん。お願い。…小埜瀬さんにも、男のメンツってもん、あると思うから。」
「まっ。確かに。…それにしても、今まで全く起きなかったって言うのは、凄いね~~。」
「それに関しては、私たちもびっくり。ただ、酔っぱらってみんなに絡まれちゃったら、困るけど…。」
「ですよね~~。まっ。とにかく、無事に。」
佐津香、
「うん。ミッション完了~~。」
「お疲れさまでした。」
そして通話はふたり、共に、切れる。
そしてふたり共に、
「ふぅ~~~。」
順平、ニコニコと、
「無事に。終了~~。ははは。」
佐津香、順平に、
「だよね~~~。…あ~~~。それこそ順平~~。彼女に電話~~。」
順平、目を丸く、
「おっと。」
菜帆子、
「かかかかか。そっちの方が、一番じゃ~~ん。」
順平、照れ笑いしながら、
「んじゃ。お言葉に甘えて。」
通りに出て菜帆子、タクシーを。
そして、3人共に。
駅まで…。
そして…、それぞれ…、帰路に…。
小埜瀬は…、そのまま、スーツ姿のままで…。
菜帆子のスマホにライン。
「うん…???…順平…???…今、電話しても、いいっすか…???…うん、いいけど…???」
すぐさまラインの着電。
「もしもし菜帆子さん…。」
菜帆子、
「うん。何…???」
アパートまで数メートル。
順平の声。
「佐津香さん…、亡くなった旦那さんって…。」
その声に菜帆子、
「あ~~ん、それ~~。まっ。ウチの部署でも、知ってい人もいれば、知らない人もいるけど…。私ら、三十路は知ってるね~~。」
スマホから、
「へぇ~~~。」
「佐津香さんの旦那さん。」
「はい。」
佐津香も自宅まで数メートル。さっきから頭から離れない小埜瀬。
…それはつまりは…。亡くなった夫と、どこかが…似ているのだった。
そして…。玄関に着いて、ドアを開けて、
「ただいま~~~。」
順平、スマホを耳に、
「ウェルナー症候群。」
菜帆子、
「うん。…あっと。でも、これも~~。他言無用。…とは言っても、佐津香さんの事だから、いずれは誰にでも、知れ渡るってのは、承知してるって思ってるけど…。自然に耳に入るって言うのは別に…、仕方がない事だから。…いや。だって、事実の事だから…。」
順平、話を聞きながらに、
「えぇ。はい。まぁ…。ですよね~~。…って言うか…、聞いたこと、ない。ですよね。ウェルナー症候群。」
「うん。珍しい病気のひとつ。何でも、難病のひとつって。」
「へぇ~~~。」
「早老症のひとつ。なんだって。」
アパートのドアを開けて中に。
スマホから、
「そうろう症…???…何すか…、それ…???」
「早く老いるって書いて早老症。」
「あ~~。そっち…。ん~~~。」
「つまりは、人より老いが早いって言う訳。…でぇ~~。佐津香さんの旦那さんも。かな~~り~。お酒は強かった。酒豪だったらしいから。でぇ~~。家に帰ってからは、バタン。…でもって、その度に、佐津香さんと優維香ちゃん、ふたりでリビングに運んでソファに。」
順平、歩きながら、
「へぇ~~。」
好きになれない。 vol,094. 佐津香、「まま。昔の事…、だけどね~~。」
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