佐津香も、涙を零しながら、
「ヨシ。良くやった。」
須美、佐津香に…。こちらも涙を流しながらに、
「サッちゃん。優維香ちゃん。うぅぅぅぅ。」
佐津香、
「うんうんうん。」
すぐさまカメラとマイクが…。
キャスターの声、カメラはインテリアショップ・ジョエル・トラディショナル事業部、
部長の真宮と課長、池辺に。
「おめでとうございます。第1位。名誉ある、金賞受賞。」
真宮、丁寧に一礼をして、
「ありがとうございます。インテリアショップ・ジョエル・トラディショナル事業部、部長の真宮です。」
キャスター、
「そして。」
興奮さながらの池辺。何とか落ち着こうと…。
「ありがとうございます。インテリアショップ・ジョエル・トラディショナル事業部、課長を務めさせて頂いてます、池辺菜瑠美です。」
キャスター、
「今回の受賞。国内でも、インテリア出展では、最大級と聞いてますが…。」
真宮、顔をコクリと。
「えぇ。そうですね~~。」
梶、映像を見ながら、
「今回も…。…どうやら…。」
けれども、尊。
「えぇ…。…でも…。2,008,965票で…。2,009,885票…。凡そ1000票さ…。この差は…???」
その声に梶、真っすぐにビジョンを見て、
「えぇ。……。…でも…、負けは負け。…幾ら、1000票差とは言え。」
「はい。」
やがて…。とあるホテル内でのある会議室で…。
ホテル側数名と契約中の七瀬と賀寿恵。
その賀寿恵のスマホに…。賀寿恵、スマホを手に、そしてホテル側に軽く会釈をして、
「すみません。少し、外れます。」
ホテル側、快く会釈をして…。
賀寿恵、席を離れる。小声でスマホに…、
「弓です。少し、ごめんなさい。」
そして、ドアを開けて会議室の外に。
七瀬、ホテル側にお辞儀をして、
「…では。…こちらの方に。」
目の前の資料に手を添えて。
ホテル側の男性、ボールペンを右手に。そして笑顔で、
「いよいよですな。七瀬社長。」
そして、同じように他の2人も…。
ノックをして、中に入ってくる賀寿恵。
そして七瀬の隣に。七瀬の左耳に。
その賀寿恵の耳打ちに七瀬、ニッコリと、
「そっ。ありがと。」
すると、七瀬の目の前の男性。笑顔で、
「七瀬社長、何かしら、嬉しい事が…。」
その声に七瀬、笑顔で、
「えぇ。只今、有明で開催されてます、インテリアゴールデン、スタッフコレクションで、私共の出展が、金賞を受賞したとの報せが。」
「素晴らしい~~。」
男性の右側の女性。
「国内でも、全国的な規模の…。」
七瀬、笑顔のままで、
「えぇ。」
男性の左側の若い男性、
「確か…、インテリアショップ・ジョエルさん。前回も金賞を…。」
七瀬、頭をコクリと、
「えぇ。…でも、今回は、特に、厳しいと、思っていたんですが…。」
「厳しいと…、仰いますと…。」
真ん中の男性。
「えぇ。…前回までは…、審査員の審査のみが条件だったもので…。」
「はぁ…。」
「ところが今回は、一般のゲストも…。そして…、インターネットでも、気に入ったインテリアに投票できるという、今までにない革新的な方法で…。」
「いやいやいや。それでしたら、審査と言うプロの審査に加えての、一般の人たちの投票。どういう結果になるかは…。」
七瀬、
「えぇ。全く不透明。」
「それでも敢えて…。」
「えぇ。ありがたく、栄誉、頂きました。」
男性、
「実に素晴らしい。今回のこの一件も。私共とジョエルさん。末永く、栄誉ある事と、信じております。」
男性、腰を上げて七瀬に右手を。
七瀬も腰を上げて右手を。
「ありがとうございます。ご期待に沿う事。お約束致します。」
お互い、ガッシリと握手をして…。
数分後には七瀬。賀寿恵、共にホテルを後に。
そして…。
こちらでは、ホテルの一室で隆英、落ち着きながらもコーヒーを飲みながらタブレットを…。
そして画面に表示されたニュースに、
「おや。ジョエル、金賞受賞。ははははは。これは、これは…。麗子さん。…かかかかか。励みになりますなぁ~~。何と、何と。」
そして、指でトン。すると…。
「おや…。銀賞は…。へぇ~~~。トータルインテリア・伊玖伊那。なるほど…。…つまりは…、あの…、インテリアでも…。…ジョエルには…、及ばず…。か…。へぇ~~~。」
そして隆英、可笑しそうに、
「かかかかか。…と、言う事は…。…つまりは…、僕のデザインも…。…くくくくく。及ばなかったと…。…いやいやいや。やりますね~~。中々~~。麗子さん。」
つまりは…。こういうことである。
今回のインテリアゴールデン、スタッフコレクション。
トータルインテリア・伊玖伊那の出展は、伊玖伊那の社長、梶が、
窪塚に渡した数枚のインテリアのデザインの中のひとつを、社員にアレンジさせたものだった。
「こういうデザインがあるが、これに君たちのアレンジを加えてくれ。」
と…。
社員はそれを見て奮闘したのだった。
好きになれない。 vol,055. 佐津香も、涙を零しながら、「ヨシ。良くやった。」
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