そしてまた隆英の話。そして、今のジョエルの事…。
話は続くが…。
ふと、麗子、食べ終わったお皿を少し前に。
そして腕組みをして、テーブルに両肘を就いて。
そして、隆英を見つめて、
「ねね。私からひとつ、提案があるんだけど…。」
瞬間、フォークの食べ物を口に入れての賀寿恵、思わず目を丸くして麗子を見る。
隆英、そんな麗子の言葉に、僅かに顔を傾げて、
「…???」
そして、
「何か…。」
麗子、隆英を見ながらニコニコとして…。
隆英、そんな麗子に目をパチクリと、
「うん…???」
そして麗子、今度は腕組みした腕を解いて、左手で頬杖を就くように。
そして、また隆英に、
「ねぇ。」
隆英、思わず眉間に皺を…。
そして麗子、また腕組みして両肘をテーブルに。
「隆英。あなた…、私の会社で働いてみない…???」
その声に賀寿恵、思わず、目を真ん丸にしてドキン。いきなり口を窄める。
隆英もいきなりの事で、目を真ん丸に。そして、今度は目をパチクリと…。
瞬間、頭の中で、
「…麗子さん。…この人、何を考えてるんだ…???」
麗子、隆英を見てニッコリと。そして左に僅かに顔を傾げて、
「ねぇ。どぉ…???…ウチで働いてみるって…。」
賀寿恵、小さな声で、
「しゃ…、社長…???」
「…って言うか…。」
麗子、
「ここで、あなたと久しぶりに会った。あの時に、思わずピ~~ンと、来ちゃったんだけど~~。」
隆英、その声に、
「は、はぁ…。ピ~~ンと。」
「そぅ。ピ~~ンと。」
車を運転しながらの賀寿恵、
「なんと、あの、ピ~~ンとが、まさかの現実になるんですから…。」
後部席で七瀬、
「ふふ~~ん。ピ~~ンと来て、こりゃ面白い事になるかもってね~~。」
こちらは、タクシーの中。隆英、
「あの、ピ~~ンがねぇ~~。俺を日本に呼び寄せた。…何か、面白い事になる。かぁ~~。」
そして、ほくそ笑みながら、
「さ~~て。何が待っているの…やら…。…乞うご期待って、訳か。」
隆英、会場から出る前に、一般であるために、スタッフコレクションの投票は済んでいる。
午後3時。会場内…。特に…、前回のスタッフコレクションにて、
金賞を受賞した、インテリアショップ・ジョエルのトラディショナル事業部の面々。
そして、方や、惜しくも金賞を逃し銀賞となったトータルインテリア・伊玖伊那の面々も、
ライバル企業でもありながらもお互いのインテリアを目に焼き付けた事になる。
その感触と言うのも…。
それぞれが…、それぞれで…。事実。
「まさか…。」
だったのである。
ジョエルのメンバーたちも、伊玖伊那のインテリアには圧倒されていた。
…けれども、逆に、伊玖伊那のメンバーたち、そして管理職すらも、表情は表情で、
ゲストさながら…では、あったのだが…。自分たちの場所に戻れば…。
誰しもが、顔を左右に、
「分からない。ここまでも…。これまでも。…か。」
と。
確かに。中には、
「行ける。」
と、手応えを感じているメンバーも、両企業に、あった事も事実。
…けれども、優維香を始めとして悠里。そして真宮、池辺にしても…。
事実、気持ちは、
「分からない。」
つまりは、審査員にすれば…。今回に限っては、伊玖伊那が一歩リード。
と言う、感触が、4人の中にはあったからだ。
但し。今回から導入された、「一般投票」これが、大きく左右すると言うのが…、
これは、何処の出展企業でも同じ事ではあるが…。全く予想が付かないのだった。
時間が経過すると共に、全出展企業の…、その全員の鼓動は高鳴っていた。
そして…。審査員も出展企業も知らない部分で投票は常にその結果は出ていた。
東京エレファントモールで開催された、インテリア・ゴールデン・スタッフコレクション。
実に、この日、実際に訪れたゲストの数、総動員数、223、645人。
ただ、確かに…。その数が全て投票された訳ではない。
当然だが、出展企業の関係者は投票する事は出来ない。
あくまでも、ゲストと、それ以外の一般が条件。
何故なら、出展企業の場合は、その企業全てに、
使用するデバイスの情報が全てAIで管理され、個人のプライベートのデバイスであろうとも、
個人情報として提示するのが条件。
因みに、その条件を守らない企業であれば出展不可となっている。
しかも、ゲストに渡される投票用紙にしても、個人情報が含まれる部分があるために、
必須事項として、記入しないと無効になってしまう。
ネットも同様。投票が出来ない仕組みになっている。
それだけ厳重な仕組みになっているにも関わらず、今回のスタッフコレクション。
何と、蓋を開けてみれば、インターネットに関しても、そのアクセスは1000万を優に超えていた。
但し。インターネットを介しての投票は、その約7割。
そして…、午後5時。「投票終了」の映像がビジョンから…。
まだ多くのゲストが会場にいる中で…。
好きになれない。 vol,052. 「あなた…、私の会社で働いてみない…???」
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庄司紗千 花笠音頭
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。