「女性優位の職場で、磨かれろ~~ってね。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

THMIS mama “お洒落の小部屋”

好きになれない。  vol.129.

ドキドキ 「そんなヤツだからな~~。ある意味、みんなに愛されちゃってんじゃない…???…いや…。会社の事は分かんないよ。俺たちは。」
峻。
「まぁ~~。だからこそ…???…女だらけ。あ。これ言ったらカミさんに怒られるけどな。圧倒的に、女性優位の職場じゃん、エレガンザ化粧品。マーケティング事業部。」
小埜瀬を見ながら、
「まっ、他の部署も大して男性はあんまりって、極々少数って…。順平ちゃんたち来ても、そういう訳よ。しかも…、奇麗どころが揃っている。部長、女性ばかりのところで…。でも、凄いっすよね。メンバーがやりたい事は全部やらせてくれますから。逆に、やってみろ感覚…???…だからいいんすよね~~。…ってな。」

小埜瀬、話を聞きながらに、
「へぇ~~ぇえ~~。」

奈菜、
「だから胡桃ちゃん、武一っちゃんをエレガンザ化粧品にって。紹介したのよ~~。」

瞬間、小埜瀬、目を真ん丸にして、
「うそ――――――っ!!!…そうだったんすか~~???」

武一、最後のビールを飲んで、
「お代わり。」

峻、
「あいよ。」

そして小埜瀬にコクリと、
「あぁ。」

奈菜、
「女性優位の職場で、磨かれろ~~ってね。いや。普通だったら、自分の恋人をさ。そんな…、如何にも嫉妬してくださいって感じの女性優位の職場に紹介する…???…有り得ないでしょ。ところがどっこい。この武一。嫉妬どころか毎日、会社の事を胡桃ちゃんに報告。嘘つけないから。まっ。だから、エレガンザ化粧品、今もって国内大手でいられるんでしょうけど…。」
奈菜、武一を見て、
「ねぇ~~~~。」

武一も料理を食べながら、
「はいはいはい。お蔭様で、未だにカミさんには頭上がらずで~~す。」

峻、
「…で…???…小埜瀬さんは…???」
武一と奈菜を見て、小埜瀬を見て、
「奥様。」

瞬間、小埜瀬、申し訳なさそうな、けれども微笑みながら右手を振って、
「いえ…・。」

峻、
「えっ…???」

奈菜、
「あら。」

「結婚は…、して…たんです…けどね。それが…。」
にこやかにも下を向いて、
「まぁ…。その…。何て言うか~~。病死で…。」

峻、いきなり口を噤み、
「わっ。」

奈菜は、
「あら~~~。」

武一、
「甲状腺癌で…、亡くなったそうだ。」

峻、
「……。」
思わず口を噤んで、
「悪い事、聞いちまったな。」
申し訳なさそうに。

奈菜も、
「お気の毒に…。」

けれども小埜瀬、こちらも申し訳なさそうな顔で、そして顎の下で右手をヒラヒラと、
「いえいえ。もぅ~~。20年も前の事ですから…。そんな…。別に…。」

峻、
「へぇ~~。20年。」

奈菜、
「えっ…???…あっ。…でも、20年って…。一度…、結婚なさって…。…で…???」
奈菜、今度は武一を見て、そして小埜瀬を見て、
「でも…、それから今まで…。…もしかして…、まだ独り身で…???」

小埜瀬、照れながらも、
「えぇ~~。あ~~。はい~~。」

峻、目を丸く、
「嘘だろ。」

奈菜、
「あら…、まぁ~~~。まだ、おひとり…。」
そして奈菜、武一を見て、
「武一っちゃん。それこそ、会社。」

瞬間、武一、
「えっ!!!…いや。…ちょっと。」

峻、
「武一~~~。」

武一、いきなり顔をへなへなとさせて、
「ちょ…、ちょっと…。いや…。俺だって、今さっき、ここに来る途中で…。その事実を…。そんな…。」

峻、
「それこそ、おまえ。マーケティング事業部~~。誰か~~。可愛いの、奇麗なの、揃い踏み~~。」

思わず武一、
「いやいやいやいや。勘弁。勘弁して。まっ。確かに。ウチの会社…。確かに、女性優位で…。…では、あるけど~~。そんな…。いきなり…。」

奈菜、
「ところで…、小埜瀬さんって、今、おいくつ…???」

小埜瀬、
「56になりました。」

峻、思わず、
「ぶっ。」

奈菜、目をパチクリと、
「56。」

峻、思わずまた、顔を傾げて。

奈菜、
「あらまぁ~~。50~~6~~。」
また目をパチクリと。…そして…、そのままカウンターの中に。

武一、いきなり、
「おぃ。おぃおぃおぃ。そっちから聞いておいて、何だよ。」

峻、カウンターの中から、
「うん。うんうんうん。まっ。何とかなるさ。…50…超えてたって。まっ。世の中、60過ぎても、しっかりと…。と、言う事もあらぁな。なぁ。」

小埜瀬、苦笑いをしながら、
「あははははは。はは。あ、はい。まぁ…。はい。」
そして、
「まっ。仕事…、一筋って…感じで…。やってきましたから。逆に…、独り身で…、体が軽く…。」

武一、
「まぁな。」

カウンターの中から奈菜、
「お子さんは~~???」

その声に小埜瀬、
「ひとり。男子で…。」

「あら。…じゃあ何…???…20年前に癌で…。奥さん。…で…、その後、お子さん。」
「私の…母親がいましたから…。」

瞬間、峻も武一も、
「へぇ~~~。」
そして、ふたり同時に、
「そぅ言う事…。」








好きになれない。   vol,023.   「女性優位の職場で、磨かれろ~~ってね。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
 


《PR》

庄司紗千「3センチの中央線」
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。

アメーバ