「てっきり…。何でしょうか…???…瀧田チーフ殿。」
菜帆子。
静かな声で順平。
「あ、いや…。てっきり…。もぅ…、みなさん、結婚してるか、誰か良い人。」
その話に佐津香、
「あら、嬉しい~~。良い事言う~~。」
菜帆子、
「…って、佐津香さん、傷えぐってどうすんのよ。」
佐津香、間髪入れずに、
「いやいやいや。ねぇ~~。私だって、ここにいるみんな、奇麗な人ばっか、良く集めたもんだって、感心してんだから~~。」
「うんうんうん。確かに。それは言える。」
愛結美、ニコニコと。そして両肘を机に、広げた両手の指を組んで。その上に顎を乗せて、
「まっ。でも~~。結婚と恋人はね~~。…その殆ど…。」
順平、思わず愛結美に、
「うそ。そぅなんすか…???」
「ここで結婚してんのは…。」
佐津香。ぐるりとメンバーたちを見回して、
「ん~~~~~。いないわね。」
いきなり順平、
「うそ――――――――っ!!!」
菜帆子、いきなり、
「順平~~~。」
「いやいやいやいや。」
順平、
「マジで…???」
「私も含めて。だけど…。」
佐津香。
間髪入れずに順平、
「うそだっ!!!」
佐津香、ニッコリと、
「ほんと。」
愛結美、順平を見て、目をパチパチとさせながら、
「みん~~な、独身。」
龍二、
「うそだ。」
その声で他のメンバーから龍二、
「龍二~~~~。」
順平、顔をゆっくりと回しながら、
「いやいやいや。え~~~~。俺なんか、みんな、てっきり~~。何か、見てると、女子アナや女優に似てる人いるぅ~~って、思ってたくらいだから。」
佐津香、
「あら~~嬉しい~~。ねね。因みに、菜帆子さんは…???…誰…???」
瞬間、順平、
「…と~~。言われても~~。」
困ったように、
「顔、見れば、分かるんすけどね~~。名前が…。あっ。でも…、愛結美さんは。ほら。朝のニュース番組の…。」
そして順平、自分のスマホで、ササササと。そしてその画像を出して愛結美に。
画像を見て愛結美、
「へっ…???…私、この人と…???」
菜帆子も、
「あ~~ん。どれどれ~~~。」
順平、菜帆子にもスマホ画像を…。
菜帆子、
「わ~~お。うんうんうん。確かに。…でも。順平、良く、この人…。」
「あ~~、はい。僕、いつも、朝、立ち食いそば屋でそば食ってから出社なんです。そん時、いっつも店のテレビで朝のニュース番組。…で、ここに異動になってから、あれ…???…曽我野さん、あの人に似てるって思って。」
菜帆子、
「へぇ~~ぇえ~~。…って言うか、私、ニュース番組、あんまり見ないから分かんないけど…。」
「…って言うか~~。凄いじゃん。みんな…、女子アナや女優に似てるなんて。ねぇ~~。それこそ、そういうのって、化粧品に関しては、中々素敵なセンス~~。」
佐津香。
菜帆子、その声に、
「ですよね~~。」
順平、
「あ。…でも…。まさか…。佐津香さん…。…ご結婚…???…あ、いや…。さっき…、確かに、娘に身長、越されたって…。…でも…。…私も含めて。だけど…。って…。」
いきなり菜帆子、ボールペンを順平に投げつける真似を。
「こら~~~。そういう事、大先輩に言う~~~???…って言うか、佐津香さん。本当なら、ここにいる人じゃないんだから~~。とっくに取締役になっている、はず~~。」
順平、申し訳なさそうに、両手をヒラヒラと、
「あ、いや…。それは、重々分かってます。凄い功績のある人だって事は。」
佐津香、
「かかかかか。まぁ~~。私自身、ここ、長いから。」
「長いって…、何年すか…???」
すぐさま、菜帆子、
「34年。」
いきなり順平、目を真ん丸にして、
「さ、3。…34年っ!!!…って。滅茶苦茶凄いじゃないっすか~~。」
菜帆子、口を尖らせて、
「そぅだよ~~。本当なら、私たちが気さくに佐津香さん。なんて言える立場の人じゃないんだから~~。」
懸命に深く頷く順平。
「確かに。うんうんうん。」
「まっ。確かにね~~。今の社長が新しいブランドの…。今の、雲母(きらら)ね。あの事業の先駆けとして室長になった時と同時に、私、ここ、入ったから。」
佐津香、思い出しながら。
順平、
「えぇ、知ってます。雲母自体が、凄いですもんね。」
佐津香、
「うん。…で、雲母が、軌道に乗って、そして今の社長に就任して、今日まで。」
そこまで話して佐津香、
「かかかかか。ほんとに私、ここ、長いよね。」
菜帆子、
「長いってもんじゃないでしょ、もはや、神でしょ。誰も佐津香さんに頭、上がんないんだから。」
「あ。」
順平、
「確かに。…部長も。佐津香さんには、結構、ペコペコしてますもんね。」
菜帆子、左指でボールペンを弄びながら、
「ザッツ、ラ~~イ。」
佐津香、
「順平君~~~。今、資料送った~~。お願~~い。」
「了~~解で~~す。はい。ありがとうございます。」
菜帆子、順平に、
「ねね。彼女って、どんな子…???」
順平、すかさず、
「25歳す。」
「若っか。」
好きになれない。 vol,015. 「てっきり…。何でしょうか…???…瀧田チーフ殿。」
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