愛実、
「はっ…???…マレーシア…って…。…おぃおぃおぃ。旦那～～～。」
そして、柚香と真輝の吉報はフランスでも…。
フィリップのファミリーがスマホのオンラインで、
「柚香～～。イェ～～イ～～。」
２０２２年、１０月１６日日曜日。
都内某所のブライダルセンターでの結婚式。
かなり目立ち始めた柚香の体を労わるように…、
では、あるのだが、亮輔の音頭で始終賑やかに行われた。
しかも…。既に知っている人もいるようだが、この日初めて知った招待者たちは、
柚香の体の中の双子が女の子と知ってまた歓声が響いた。
ただ…、半年後の真輝のマレーシアの出向に、
真輝が勤務している、「廿浦(つづうら)オートモーティブエンジニアリング」の、
車両技術部長の安齋(あんざい)は同じ招待者たちに、
新婚の真輝の出向にある意味、詰め寄られてはいたが…。
どうやら…、マレーシアに駐在している日本技術者自らのラブコールだと言う。
しかも…、その時点で真輝の車両技術部門の課長昇格にも抜擢されたのであった。
短期間での大卒の課長就任は異例中の異例。
そして…柚香は汀から勝巳の苗字に。
その後…、柚香と真輝の生活…。
と、言えば…。
吾大の一声であった。
「真輝～～～。おま、汀家に入れ。…んな、出向つぅたって、そんなん、何年も掛かる訳じゃなし。おまえのいない間は、俺たちがしっかりと、汀家を守る。まっ。かあさんも咲耶も、今じゃ、行き来している訳だ。ど～～んと、任せろ～～。」
愛佳も、
「そうね～～。その方が、かあさんも安心。」
勝巳の苗字で、そのまま汀家に入る事に…。
そして…。…遂に、待望の双子が…。
けたたましい産声で、病院内に、響いた…らしい。
吾大、顔を見て、
「いやいやいやいやいや～～。かかかか、そっくりじゃねぇか～～。正に瓜二つ～～～。」
その声に愛佳、
「かかかかか。当たり前じゃない～～～。双子なんですから～～。」
幸乃も涙を浮かべて、
「うんうん。うんうん。良く頑張った～～、柚香～～。」
その時、柚香、
「えっ…???」
瞬間、真輝も、
「うそ。」
片方の赤ちゃんを抱いている幸乃の顏のすぐ傍に、
ニッコリとした顔の陽織。
…けれども、僅か２秒で、その顔は消えてしまったが…。
思わず柚香、真輝の左手に右手を。そして、
「ねね、今の…。」
真輝も、そんな柚香に…。顔は見ずとも、
「あぁ…。うん。確かに、陽織。」
柚香も、
「うんうんうん。」
けれども、幸乃と愛佳、そして吾大は全く気付いていない。
柚香、
「何だったんだろ…、今の…。」
真輝は口を尖らせて、
「ん～～～。」
そして…。名前は…。姉には、「愛梨(あいり)」
そして、妹には、「円華(まどか)」と付けられた。
…そして…。それからというもの、忙しくなってきたのが吾大と愛佳。
まず毎日が自宅と汀家、行ったり来たり。
しかも…、吾大が何かしら、ふたりに大懐き。
吾大が汀家から帰る時には、ふたり共に。大号泣。
幸乃もその時だけは、
「あらあら。」
柚香は産休を取って研究室は休んでいるのだが…。
そして…、いよいよ…。真輝がマレーシアに…・。
その時もふたりは大号泣。
…そして…。あっと言う間に、愛莉と円華も２歳に…。
確かに、真輝が不在で海外。
ここ２年は吾大と愛佳が幸乃も伴ってふたりをあちらこちらに…。
…そして…、真輝、約束の３年のマレーシア出向も、残り１年。
久しぶりに、１週間の休暇を取り日本に。
そして自宅に。世の中、夏休みを終えた９月に…。
柚香は柚香で、研究室では、主任研究者にまでのぼり付けていた。
柚香も、久しぶりの真輝との再会に有給を使っての休暇。
そして、親子水入らずでの小旅行に。
何と、２歳のふたりを連れての東京ディズニーランド。
吾大からは、
「おぅ。行っといで～～。」
久しぶりの真輝の車。２年前に購入したはいいものの、そのままカーポートに…。
東京から千葉に…。そして…、車は順調に…。
夏休みが終わったと言っても、観光バスが目立つ。
そして、時折止まる、信号待ち。けれども久しぶりの親子旅行。
もはや真輝も柚香も話が止まらない。
その時、いきなり柚香の助手席の窓の外、黒い自動車がいきなり転がり込んで来た。
柚香、瞬間、口を左手で覆って、両肩を縮こまらせて、
「うそ。わっ!!!」
真輝も、顔を左側に、
「嘘だろっ!!!」
すぐさま後ろのふたりを。すると…。車の後方…。
何と、すぐ後ろの車の向きが真横に。真輝の車スレスレに。
ただ…。
そんな後方よりも真輝の目に飛び込んで来たのが…。
「陽織っ!!!」
その声に柚香も思いっ切り頭を後ろに。
「ハッ!!!」
車の後部座席、まさか、いるはずのない陽織が麦藁帽を被って…、
しかも…、その当時、フランスから帰ってきた柚香のノースリーブのワンピースを着て…。
LIBRA～リブラ～ vol,228． ２０２２年、１０月１６日日曜日。
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