「私…、今、最初に自分の足で…って、言ったよね。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.195

ドキドキ  「陽織が初めて外に出て最初に自分の足で、歩いて行った場所が、エンカント。飲み屋さん。」
そこまで言って柚香、
「…ん…???」
顔を傾げて。そしてまた、
「…ん~~~~???」

そんな柚香を見て真輝、こちらも僅かに頭を傾げて、
「…ん…???…どしたの…???」

柚香、真っすぐに前を向きながらも両目をキョロキョロと、
「私…、今、最初に自分の足で…って、言ったよね。」

真輝、そんな柚香を見て、顔を傾げて、
「うん。…でも、それが…、何か…???」

少し考えているふうな柚香、
「陽織…。最初に自分の足で、歩いて行った場所…がぁ~~、エンカント。…飲み屋…さん。」
するといきなり柚香、目をも開いて、
「す~~ご~~~。」
なんともにこやかに。
「凄い、凄い。陽織~~~。」
そして真輝に顔を。
「ねぇ、ねぇ~~。陽織、凄いよ~~。」
ニコニコしながら。

そんな柚香を真輝、目をパチクリと。そして、何を言えばいいのか困ったような表情で…。
「えっ…???…いや…。何が…???…どうした…???」

そんな真輝の声にもそっちのけの柚香、嬉しそうに、
「うんうんうん。陽織、凄いよ。最初に自分の足で、歩いて行った場所が、エンカント。飲み屋さん。…普通、子供の。」
真輝に顔を、
「それも、2歳だよ。2歳。2歳までの記憶しかないんだよ。」

真輝、その声に、チョコンと顔を…、
「うん。」

「そんな状態で…。夜。深夜だよ。深夜0時。いきなり眠りから覚めてさ。パジャマから服に着替えて。家の玄関から外に。穿いているのはスニーカー。」

真輝、そんな柚香を見て、
「う、うん。」

柚香、僅かに頭を傾げて、
「まぁ~~。何処をどう歩いたか…、走ったかは…、分かんないけど…。…で、辿り着いたのが、飲み屋さん。エンカント。当然、ネオンライトで真っ暗な夜の中に明るい場所。当然、目にはね~~。」

真輝、またしても、
「う、うん。」

「ある意味…。産まれて初めての体験。…でも…。」
真輝に向かって、
「陽織、ちゃんと言葉は話せる、訳だから。」

真輝、まだ、柚香が何を言っているのか…、分からない感じで、
「う、うん。確かに。しっかりと…、言葉は、話せる。…って言うか、さっきも病院で言ったけど…。少し、高飛車。」

柚香、口を尖らせて、
「ん~~~。そこが私にも、ちょっと分かんないんだけど~~。…でも。」
柚香、また、考えている風に…。
「初めての夜に自分でひとりで…。しかも入った場所が飲み屋。エンカント。…どんな気持ちだったんだろ。…当然、大人ばっか。…2歳程度の記憶しかないはずなのに。恐くなかったのかな~~。」

そこまで柚香の話を聞いて、ようやく真輝、口を大きく開いて、
「あぁ~~~。そういう事か~~。うんうんうん。柚香さんの言っている意味、今、分かった。」

瞬間、柚香、真輝を見て、
「えっ…???…はっ…???」
けれども笑顔で、
「うんうんうん。うん。そういう事~~。」

真輝、ニコニコと、
「確かに。」

柚香、
「それに。それにだよ。外に出掛けたはいいものの…。しかも…。初めて入ったその店に、お金も何もなしで、何度も行って。…それに、お酒も飲んでるって…。私…。お酒、飲めないのに。陽織は飲んでても平気。」

歩きながらその声に真樹、前を向きながらも、
「う~~ん。…確かに。そういう…、事になる。」

柚香、
「でしょ。」
真樹を見て、
「でしょ、でしょ。」

少し、考えてる風でもあるが真樹。顔を僅かに傾げて…。
「う~~ん。」

柚香、真樹を見て、
「何か…、問題…???…でもさ。ほら。亮輔さんや阿須賀さんも、良く行っているお店。」

その声に真樹、
「あすか…さん…???」

「うん。亮輔さんの彼女。」

瞬間、真輝、
「わ~~お。彼女、いたんだ~~あいつに。」

「物っ凄い、可愛いって言うか、奇麗。モデルみたいな人。」
「へぇ~~~。」

「…って言うか~~。うんうんうん。凄いよ陽織。そういうトコに行くなんて。私は…、どちらかと言えば…。お酒は飲めないし…。…でも、友達と、料理を食べるための…、居酒屋には…行くけど…。」

いきなり真輝、
「居酒屋、行くんだ…???」
ポツリと。

その声に柚香、真輝を見て、
「ふん。」
目をパチクリと。
「メグや、友達と…。」
口を尖らせながら、
「ん~~。でも、メグとの方が多いな~~。あっ。メグって、私の高校時代からの親友。」

真輝、
「あ。そうだったんだ~~。でも…。親友って、前も聞いてたから。…そっか~~。」
そして真輝、頷きながら、
「うん。確かに、陽織さん、凄いね。うん。産まれて初めての体験。しかも、飲み屋…。」
そして、空を見るような感じで、
「かぁ~~。…俺なんかも…。そういう意味で言えば…。…多分…。無理かも…。目が覚めて…、自分が誰か分かんなかったら…。また、そのまま、寝ちゃう。」

すぐさま柚香、真輝に、
「でしょ~~~。」








LIBRA~リブラ~   vol,083.  「私…、今、最初に自分の足で…って、言ったよね。」

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